はっ、いかん!
スーハースーハーと深呼吸を繰り返し、我流のアンガーマネジメントで冷静さを取り戻す。そして、ふたたび彼女を見る。
ぐぬぬぬぬっつ…。
今年はまだ一度も顔パスしてないが、今日がその1回目になりそう…。
そのまま回れ右して帰ってもよかったが、礼儀としてちゃんと断るべきだろう。そう思い、ゆっくり彼女に近づくと声をかけた。
「あ、あのぉ、リカちゃんかな?」
恐る恐る話しかけると、リカちゃんは顔を歪めて「はい」と返事。どうやらそれは、彼女なりの笑顔だったようだ。
ツツーっと背中に嫌な汗が走った。
リカちゃんは、ガンバレルーヤのまひるを一回り小さくした感じだった。身長は155センチくらいで、体重は60キロ台後半から70キロ台前半といったところか。
体重に比例して胸も大きそうだったが、この見た目では、いくら巨乳であってもマイナスポイントをカバーしきれるものではない。
チクっ。
リカちゃんの笑みを見て、少し胸が痛んだ。だがこちとら聖人君子ではない。心を鬼にして断るしかないだろう。
だが、どうやって断ろうかと言葉を選んでいるうちに、先手を取られてしまった。
「やっぱりダメですか? 私みたいなのじゃ」
こちらが口ごもっているのを見て察したのか、リカちゃんは申し訳なさそうな顔でそう言った。
なんだか俺を見ているようだ…。
筆者は初対面の女性に「俺みたいなので大丈夫? 嫌だったら断っていいんだからね」と口癖のように言っているので、心の奥底から”同類相憐れむ“気持ちが湧いてきてしまった。
「だ、ダメじゃないよ。今日はよろしくね」
気づくとそう答えていた。
こうして、ホテル街に向かうことになった。