【元デリヘル店長の回想録】「チューしただけでこんなに濡れちゃった」現役大学生デリヘル嬢と宅飲みで…

 そう、彼女は顧客との本番を平気で口にする女のコだったのだ。

 風俗において、本番の有無は絶対に避けては通れない道だ。

 多くの場合、そういった話は胸の中にしまい込み、信頼できる同僚同士だったり、スタッフだったりと、少数の間で話したりするものだ。

 しかし、ミリムはそんなルールなどお構いなしに、私や多くの女性従業員がいる前で


「この人、エッチしてあげたらすぐに本指名で返ってきたよ!」

「エッチすればすぐ指名してくれるのに何で皆しないの?」


 と、発言してしまう癖があった。

 本指名が返せない女のコたちからすれば、当てつけのように聞こえてしまうのは無理もない。

 それに、本番行為は店のルールで禁じられているのに、堂々とそれを破っていることに怒りを感じているキャストも少なくなかった。

 ミリムが本番に応じるせいで、自分たちもそう見られる可能性は当然高い。


「あのコはさせてくれたのに、君はさせてくれないの?」


 などと言われるようになる。

 いわゆる“風俗あるある”だが、これがウチの店でも起こったらしい。

 その中心にいるのは、ミリムだけではなくランキング勢なのだが、彼女が目立った発言をし過ぎたために悪目立ちし、


【ミリムのせいで本番を求める客が増えた】


 と矢面に立つことになった。

 だから、こうして彼女を定期的に食事に連れ出し、個人的に話を聞いてやりガス抜きさせていた。

 「私は店長から特別な待遇を受けている」と感じさせることで、陰口を叩いている人間と私は違う、と自分を納得させることができるのだ。

 確かにミリムは店のルールに反しているが、集客力を考えれば、手放すには惜しすぎる人材。たとえほかの従業員に叩かれていようと、店の利益になるなら店長として目はつぶれる。


「イライラぶつけてスッキリしたよ」

「あはは。それは良かった」

「ねぇ、店長! 私の家、ここから近いんだ。家で飲み直そうよ!」

「いいの?」

「店長だから特別だよ! 早く行こ!」


 居酒屋の会計を済ませると、私は彼女とタクシーに乗り込んだ。

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