コンドームを処理した筆者は、浴室に入り、バスタブにお湯を溜める。
部屋に戻ると、ベッドの上のアヤメちゃんに声をかけた。
「いま、お湯を溜め始めたから、後でゆっくり湯舟に浸かりなよ」
「は、はい。ありがとうございます」
「ジェットバスもあるから、リラックスできると思うよ」
「楽しみです」
お湯が溜まったタイミングで、アヤメちゃんはひとりで浴室に入った。本当は、混浴をもう一度提案したかったが、あえて我慢した。
彼女が浴室にいる間に筆者は着替えを済ませ、帰り支度。
20分ほどすると、アヤメちゃんが浴室から出てきた。
「あれ? ショーイチさんはお風呂入らなくていいんですか?」
「うん。どうせ家に帰ってからすぐにシャワーを浴びるから」
「そうですか。でも、すごく気持ち良かったですよ」
「喜んでもらえて嬉しいよ。あっ、しまった!!」
「え? どうしたんですか?」
「どうせなら泡風呂にしてあげたかったな」
「え?」
「ほら、アメリカの映画とかで見たことない? 泡あわのお風呂って」
「は、はい」
「その泡風呂もできたんだよ」
「そうだったんですかぁ」
「じゃあ、次のデートの時もこのホテルを使おうか?」
「え?」
「あっ、無理しないでね。もし次の機会があったらの話だからさ」
「本当ですか。すごく嬉しいです」
「じゃ、じゃあ、また会ってくれたりするのかな?」
「はい。こちらからお願いしたいくらいです!」
「ありがとう。俺、今、すっごく幸せだよ」
こうして連絡先を交換し、再会を固く約束した。
ホテルを出た後、駅の改札口まで彼女を見送り、デートは無事に終了した。
本当に2度目のデートが実現するかは分からない。でも、もし実現するのなら、次回は待合室で待たずに済むよう部屋を予約しておきたいものだ。
結局、今回のデートでは彼女のメイドの話をまったく聞けなかったが、二度三度とデートを重ねていくうちに聞き出せそうな予感がしている。
ホテル代の出費が痛いところだが、今から再会が楽しみでならない。
(文=所沢ショーイチ)