「こんばんは。トーコちゃんかな?」
「あっ、はい。ショーイチさんですか?」
「うん。さっき【イククル】で約束させてもらったショーイチだよ。今日はよろしくね」
「こ、こちらこそよろしくお願いします」
「大丈夫? 引いてない?」
「え?」
「ほら、実物の俺って、写メの数百倍はエロそうでしょ?」
「ええっ? そ、そんなことないです」
「いやいや、そんなことあるんだって。めちゃくちゃエロいけど平気かな?」
「フフフ、正直なんですね」
「そりゃそうだよ。女性の前では嘘がつけない性格だからね」
「ありがとうございます」
「えっ? どうしたの?」
「気を使ってくれてるんですよね? 安心しました」
「ち、違うって。本当にエロいから、覚悟ができていないと大変だよ」
「さっきまで怖かったんですけど、ショーイチさんなら大丈夫だと思います」
「ありがとう。じゃあ、このままホテルに向かうってことでいいかな?」
「はい。よろしくお願いします」
こうして、ラブホ街に向かって歩き始めることにした。
彼女の知り合いに目撃されても大丈夫なように、親密そうに思われない一定の距離を保ち、会話を続ける。
「今まで一度もイッたことがないんだよね?」
「まっ、まぁ、そうですね」
「あれ? 言いよどんだってことは、オナニーでイッたことはあるのかな?」
周囲に気づかれないよう、エロい単語を発する時だけ声のボリュームを落とす。いくらエロの権化みたいな筆者でも、それくらいの思慮分別はある。
トーコちゃんの方も、周囲に目を配りながら、小声で答えてきた。
「は、はい。道具を使ってすると、イクことがあります」
「道具って、ローター? バイブ? それとも電マ?」
「で、電マです」
「俺は男だから分かんないけど、アレって本当に良さそうだね」
「は、はい。エッチな動画を観て、私も試そうと思って…」
「それっていつのこと?」
「もう10年くらい前です」
もしかしたら彼女は、電マオナニーをしすぎたせいで、セックスの時にイケなくなってしまったのかもしれない。過度な刺激に慣れてしまい、通常の愛撫ではウンともスンとも言わなくなった可能性があった。
しかし、ここでそれを指摘するのはナンセンス。彼女が必要以上に恥じてしまうかもしれないからだ。
「あのさ、もちろん俺は頑張るけど、トーコちゃんはあまり緊張しないでね」
「え?」
「ほら、イカなくちゃって考えすぎると、プレッシャーになって逆効果だと思うからさ」
「フフフ、そうですね」
「だから、気楽に楽しんでほしいな」
「はい! でも、ショーイチさんもあまりプレッシャーに思わないでくださいね」
「う、うん。トーコちゃんも気遣ってくれてありがとう」
こんな会話をしているうちにラブホに到着した。