最近の若い世代はSNSでのやり取りが主流になっているので、電話でコミュニケーションをとる機会が減っているのだろう。それゆえ、“ワン切り”という言葉を知らなかったのだと思われる。
その後、クミちゃんに“ワン切り”を説明し、無事に電話番号の交換に成功した。
「またヒマができたら、いつでも電話してくれる? 忙しくてもできるだけ駆けつけるからさ」
「はい。ショーイチさんも遠慮しないで電話くださいね」
「本当に? だったら今夜から毎日電話しちゃうよ」
「え?」
「嘘、嘘。俺のほうはいつでも大丈夫だから、クミちゃんの都合にあわせるからね」
「はい。ありがとうございます」
その後、ホテルを出て駅の改札口まで彼女を見送り、デートは無事終了した。
電話番号を交換したものの、筆者のほうから電話する勇気がなかなか出ない。
呼び出し音がなるだけで彼女が出なかったらどうしよう? 留守電に切り替わったらなんて吹き込めばいいのだろう? それに、着信拒否されていたらその場で泣き出してしまいそうだ。
メールならいくらでも誘えるが、電話で誘うという行為は本当に苦手なのである。
それに、彼女をイカせられなかったのは心残りではあるが、ひとつ大きな問題があった。
それは、彼女の誕生日が5月だということ。
つまり、もう少しで19歳になってしまうのだ。そうなると、18歳という希少価値がなくなり、こちらのやる気が多少なりとも落ちてしまう。
だから、あまりクミちゃんに固執せず、新たな18歳のコとの出会いを開拓していくべきかもしれないなぁ。
(文=所沢ショーイチ)