まずは一安心。今まで出会える系サイト遊びの最中に補導員に声をかけられたことは一度もないが、万が一に備えてシミュレーションしておくことは大事なのかもしれない。
無事にチェックインし、部屋でふたりきりになる。
「安心してね。ふたりっきりになっても急に人格変えたりしないからさ」
「はい」
「でも、こういう遊びって怖くない? もし俺の背中が入れ墨だらけだったりしたら、怖いでしょ?」
「え?」
「あ、もちろん俺は入れ墨なんてしてないけどさ」
「はい」
「ちなみに、あのサイトで遊ぶのって何回目なの?」
「み、三日前くらに登録してたんですけど、会うのは今日が初めてです」
「マジで? それは光栄だなぁ」
「すっごくドキドキしてました。でも、ショーイチさんが優しそうだったので」
「本当に?」
「はい。それに、私がお願いする前から写メを送ってくれたのも安心でした」
「それなら良かった。絶対にクミちゃんを裏切らないからね」
「フフフ、ありがとうございます」
「でも、気を付けてね。俺みたいに優しい男ばかりじゃないと思うからさ」
「え?」
「ほら、入れ墨とか薬とかやってるような男が来たら怖いでしょ」
「は、はい」
「そういう時は、付いていっちゃダメだよ」
「そうですね」
「あっ! こういうのはどう? アルタの前に交番があるでしょ?」
「は、はい」
「その前で待ち合わせするのもアリだと思うよ」
「え?」
「ほら、交番の前なら何かあったらすぐ助けてもらえそうでしょ?」
「そ、そうですね」
「だから、今度もし他の男と待ち合わせすることがあったら、交番前で待ち合わせすることをオススメするよ」
「は、はい。覚えておきます」