「ダウンタウンがフジテレビから消える日も近い!?」という内容の記事が20日発売の東京スポーツ新聞に掲載されている。記事によると、年内で放送を終える『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』に続いて、昨年からレギュラー化された『爆笑 大日本アカン警察』も打ち切りが検討されているというのだ。今年始まったばかりの松本人志が出演する『おもしろ言葉ゲーム OMOJAN』はすでに放送開始からわずか半年で幕を引いている。加えて『アカン警察』まで終了すれば、フジテレビでダウンタウンを見るのは特番だけということになってしまうという。
東スポは、こうしたフジテレビのダウンタウン切りを、「ドラマプロデューサーとして名をはせた大多亮氏が常務取締役に就任、番組編成で大きな力を持つようになった」ためと指摘し、テレビ局関係者の話として、「その大多さんは、関西ノリが大っ嫌い(笑)。そこでこれまで“聖域”だったダウンタウンにも手を付け、抜本的に改革しようとしている」と紹介する。視聴率の低迷が叫ばれるフジテレビとすれば、脱関西ノリが“バラエティのフジ”復活への秘策ということなのかもしれない。
確かにここのところフジテレビが打ち出した新しいバラエティには、タイトルだけではどんな内容なのかわからないコジャレたものが多い。たとえば、今秋始まったバラエティだけを見ても、『オデッサの階段』『テラスハウス』『キャサリン三世』(関西テレビ・フジテレビ系)と、まるでドラマや映画のようなタイトルが並ぶ。東スポの指摘する、関西ノリを排除した結果が、こうしたシャレたタイトルのバラエティという形になったのかもしれない。
しかし、そんな脱関西ノリを象徴するようなフジテレビの新しいバラエティ2本が数字を稼げてない。『アイアンシェフ』と『世界は言葉でできている』だ。初回こそ平均視聴率で10.7%と、近頃のゴールデンバラエティの及第点といえる2桁を記録したが、2回目ではよもやの6..9%という23時台のバラエティにも劣る数字だった『アイアンシェフ』。さらに、『世界は言葉でできている』にいたっては、初回から6.2%という大コケを見せ、2回目も4.7%という数字を記録している。脱関西ノリの旗印ともいえる、新バラエティは、ことごとく視聴者に受け入れられていない様子だ。
また、こうしたフジテレビと同様に、関西色を徹底的に消してスタートしたTBSの新バラエティ『日曜ゴールデンで何やってんだテレビ』(TBS系)も、ビートたけし、石橋貴明という関東屈指の大物2人を揃えながら、視聴率は初回から1桁台と低迷している。脱関西というのがバラエティ界の大きな流れの1つだとしても、それをそのまま体現したからといって、簡単に結果を出せるというわけではないのだろう。
昨年、視聴率三冠(全日、ゴールデン、プライム)の座を日本テレビに明け渡したフジテレビ。さらに今年はテレビ朝日の台頭で2位すら危ういという状況だ。しかし、そんな逆境を跳ね返すために登場した フジテレビの“脱関西系バラエティ”のことごとくは低迷中。フジテレビとすれば、新しいバラエティ番組を提供しようと必死なのだろうが、目指す方向が少しズレているのではないか。練りこみすぎた企画に、視聴者が追いついていけないのかもしれない。やはり、サッカー日本代表の試合が高視聴率を取り、プロ野球のクライマックスシリーズや日本シリーズの視聴率が好調だったところを見ると、バラエティに必要なのは、小ジャレたタイトルより、単純に感情移入ができ、熱くなれるという点ではないか。多くの国民が一喜一憂するようなバラエティ。そして、そんなバラエティには、関西ノリや関東ノリなど関係ないに違いない。
(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/)著書『松本人志は夏目漱石である!』(宝島社新書)