韓国ドラマや韓流アーティストを過剰に押し出したあからさまな韓国推しが災いし、いまやネット上で“最も嫌われているテレビ局”の感もあるフジテレビ。昨年8月から行われるようになったデモは現在も継続しており、最初のデモから1周年となる8月17日に行われたデモには約1,000人が参加したほか、9月には名古屋でもデモが行われた。これら一連の騒動を受けてか、昨年10月の改編期には撤退を表明するスポンサーも少なくなかったと言われている。
こうした視聴者の“嫌フジ”感情は視聴率にも如実に表れ、昨年、日本テレビに視聴率首位の座を奪われて8年ぶりの首位陥落。今年も依然として視聴率は低迷している。
「5月にはテレビ朝日が月間視聴率で開局以来初の4冠を達成し、日テレとともに好調な推移を見せていますが、フジテレビは日曜9時のドラマ『家族のうた』の視聴率低迷によって打ち切りとなって以降、ドラマ全体も低調です。また5月には伊藤利尋アナウンサーが車で接触事故を起こし、当て逃げではないかと囁かれたりする騒動もあったほか、同月20日には営業局員がタクシー運転手に暴行を働いて逮捕され、その3日後に今度はプロデューサーが飲酒運転で車に追突してまた逮捕……と、視聴率低迷だけでなく、不祥事も多かったですね」(芸能ライター)
日曜9時枠は、現在放送中の『TOKYOエアポート』も初回こそ14%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と高く、局内が歓喜に湧いたというが、二回目で早くも5%下げ、一桁視聴率に。ドラマ、バラエティ、報道と、どれをとっても低調だ。これまで朝の情報番組枠では他局をおさえトップに君臨してきた『とくダネ!』も、2012年度上半期平均視聴率では3位に転落。これまで年間推定3億円のギャラを受け取ってきた司会の小倉智昭キャスターにも降板説が囁かれ始めた。
もちろんフジ側も、こうした事態を手をこまねいて見ているワケではない。今年10月の番組改編を「新しいフジテレビの未来図を描くスタート地点」と位置付け、気合いを入れて取り組んだという。にもかかわらず、10月8日には、ゴールデンタイムのバラエティ番組の視聴率がが全て一桁台に。19~21時に放送された体育会系番組『ALLSTAR WARS』は6.8%。その直後、21~23時15分まで放送された、秋の新ドラマ出演陣を集めたトークバラエティ『タモリ・中居のガチでいいのに!? ~ドラマチックリビングルーム』は8.1%という有様だ。
そしてなんと、24日に放送された『世界は言葉でできている』2時間スペシャルは、それらよりもさらに低い6.2%という結果に。同番組は昨年10月から今年3月まで深夜帯で放送され、半年の休止を経てゴールデンタイムに昇格したもの。ひとクセある芸人や歌手、文化人などのパネラーが、古今東西の偉人・有名人たちが残した名言の空欄を独自の発想で埋め、「元の名言を超えるグッとくる言葉を創り出す」という主旨の番組で、ゴールデン昇格を記念して小泉今日子が“主宰者”を務めたが、視聴者の興味は引けなかったようだ。
「クイズ番組に強い、というのとは違った意味で『賢そう』な芸人やタレントを使って『うまいこと』言わせようとしているんですが、かなり寒いことになっていました……。Twitterなどでリアルタイムで視聴者が感想をつぶやいているのを見ると、『普通に偉人の言葉とその背景を紹介する番組なら観るのに』という声もありました。確かにファミリーで見るには、偉人の言葉やうんちく、再現VTRありの作りの方が、ありきたりだけど見やすくて手堅かったハズ」(前同)
真っ白な背景のだだ広いスタジオ空間を使い、出演者も見慣れたひな壇タレントを極力出さずに、あえてオシャレな雰囲気の番組作りを狙っていたようだが、奇をてらいすぎていたのかもしれない。そもそも、「こういうのがカッコイイんだよ、センスいいでしょ?」とでも言いたげな制作側の意図が見え隠れしている時点で興醒めで、「時代遅れ」という冷めた声もネット上に頻出している。前衛的なことに取り組んでも叩かれるのならば、一体どうすればいいのか……そこを試行錯誤するのがテレビマンたちの宿命だが、ひとつの答えとして「セルフリメイク」を適用するらしい。というのも、過去のヒット番組として「あの頃は面白かった」と芸人たちやお笑いファンが口を揃える伝説の番組『ボキャブラ天国』を復活させるというのだ。
「10月28日から深夜でスタートする『ワラッタメ天国』なんですが、制作発表では“『ボキャブラ天国』の遺伝子を継ぐ、新たな「天国」が登場!”と伝えられていまして、要するに『ボキャ天』のセルフリメイク。それなのに、“まったく新しいバラエティ番組が誕生!”と煽っているんですよ(苦笑)」(前同)
“まったく新しいバラエティ”と銘打ってはいるものの、過去の遺産にしがみついてると冷笑されても致し方のない状況だ。視聴率低迷にあえぐフジテレビの迷走はいつまで続くのだろうか。
(文=近藤チカゲ)