セックスに、「相性」という概念は存在するのか? 

※イメージ画像 photo by Sir Jack Winchester from flickr

 人間関係を構築するうえで、男女問わず「相性」がネックになることがある。仕事でもプライベートでも、どうにもこうにも相性が合わないという人物がいるだろう。また、仕事上でタッグを組むには最高のパートナーだが、プライベートでは絶対に関わりたくないというタイプもいる。その逆で、飲み友達としては最高だが、仕事で絡むのは真っ平御免と感じるタイプも存在する。だからといって、その人物が悪人ということではない。たまたま、自分の性格や仕事のやり方と合わないだけである。尚、こちらが「合わないな」と感じているだけでなく、先方とて同じ考えかもしれない。これが、「相性」というものなのだろう。

 では、セックスでの「相性」はどうだろう。よく、「セックスの相性が合わない」という声を聞くが、セックスにも「相性」という概念が存在するのだろうか? 

 まずは、肉体面での相性について。女性の膣は伸縮性に富んだ器官なので、どのようなペニスにもフィットする作りになっている。よって、「カノジョがガバガバだから」とか「俺のペニスがデカすぎるから」ということは、基本的にはないはずだ。

 とはいえ、あまりにも身長差がありすぎるカップルの場合は、体位によっては不具合が生じることもあるようだ。例えば、男性側が180センチ超えで、女性側が150センチ未満の場合。まずは前戯のシックスナインにおいて、男性側が身体を折る体勢になるので、疲れることがあるという。肝心の挿入では、寝っ転がった状態での体位なら大した不都合はないようだが、立ちバックは難しいようだ。

 立ちバックに不具合を感じているのは、男性が160センチ未満で、女性が170センチ超えのカップルも同様。女性の腰の位置が高すぎて、男性側が背伸びをする恰好になるという。このケースは、女性側が足を大きく開くことで、腰の高さを低くすると良いだろう。

 次に、セックス内容に関する相性について。巷に溢れるセックスのハウツー本には、「セックスには相性という概念は無く、お互い話し合うことで解決できる」と書かれているものもあるが、話し合いで解決できるなら、とっくに話し合っているはずだ。また、面と向かって話し合いづらいからこそ、世のカップルがこんなにも頭を悩ませているのだろう。

 また、男性と女性では、「相性が合わない」と感じるポイントが決定的に違う。女性向けのセックスハウツーには、「してほしいことをカレに伝えましょう」という記述があったりもするが、女性が思う「相性が合わない男性」は、「してほしいことをしてくれない男性」ではないのだ。むしろ、「してほしくないことをする男性」に対して、相性が合わないと感じている。例えば、男性側がクンニリングスをしてくれなかったとしても、多くの女性は「クンニリングスは気持ち良いが、匂いが恥ずかしいから、ナシでも結果オーライだわ」と自己解決することが多い。しかし、イラマチオやアナル攻め、精飲など、自分が好まないプレイに関しては、「変態行為を強要するオトコ」とジャッジし、二回目以降はセックスに対して消極的になってしまう。尚、ここに挙げたのはあくまでも一例である。イラマチオやアナル攻め、精飲を好む女性も存在するので、ご安心を。

 男性は全く逆という人が多かった。要するに、「してほしくないことをする女性」ではなく、「してほしいことをしてくれない女性」に対して「相性が合わない」と感じるようだ。男性の場合は、「女性にしてほしくないこと」が少ないのかもしれない。確かに、「カノジョから施される睾丸マッサージが苦痛でたまらない」とか、「耳たぶを甘噛みするのはカンベンしてほしい」というお悩みは聞いたことがない。むしろ、「即尺をしてくれない」「後背位を頑なに拒む」などのほうが、融通がきかないと感じる男性がほとんどであった。

 以上を踏まえると、「セックスの相性が合う相手」というのは、「してほしいこと」と「してあげたいこと」、「してほしくないこと」と「したくないこと」が一致する相手という結論に達する。相性が合わない相手に対しては、歩み寄りによって解決するも良し、さっさと肉体関係を解消して相性の合う相手を探すも良し、人それぞれといったところか。
(文=菊池 美佳子)

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