自殺未遂・発狂・確執…若手芸人たちの苦悩と葛藤

geininschooldays.jpg※イメージ画像:『スクールデイズ』ワニブックス

 23日に放送された『ロンドンハーツ3時間SP』(テレビ朝日系)で、フルーツポンチの村上健志とジャングルポケットの斉藤慎二が、今時の若手芸人事情を象徴するかのような言い争いを見せた。

 『ロンハーSP』の人気企画「ウラでこんな事やってました」で、恒例のダメ人間ぶりを暴露された村上。そんな村上に日ごろから不満を募らせていたという斉藤は、ここぞとばかりに「あんた全然面白くないよ!」と噛み付き、言いたい放題。一方、村上は後輩である斉藤の言葉に一言も言い返せずあえなく撃沈。ヒートアップした場の空気を考えれば、どうにでも笑いを生めそうだったが、村上は一切の笑いを放棄し、後輩の若手芸人に苦汁を舐めさせられる結果となってしまった。

 フルーツポンチといえば、NSC東京校の10期生で、同期にはオリエンタルラジオやはんにゃがいる。早くから出世をした黄金世代の中核をなすコンビだ。しかし、早くに芽を出したということが原因なのか、前記した3組の関係がどこかギクシャクしているというのは、読者の多くが気づいていることだと思う。『ピラメキーノG』(テレビ東京系)で共演しているフルポンの村上とはんにゃの金田哲が、飲みに行けば必ずいさかいを起こすというのは、『ロンハー』でもよく話題になることだ。

 とはいえ、飲みに行くほどの間柄であれば、どんなに確執があろうとも仲の良い証拠。本当に深刻なのは、一切の親交を絶ってしまうことだ。そして、以前、自分たちとそんな関係にあったのがオリエンタルラジオだったと、はんにゃの金田が23日深夜に放送された『ブラマヨとゆかいな仲間たち アツアツっ!』(テレビ朝日系)の中で語っている。

 デビュー後すぐに売れたように思えるはんにゃだが、そんな彼らより早くに脚光を浴びたのがオリラジだった。一躍スターダムにのし上がったオリラジを、影で支えるような仕事の毎日に苛立ちを募らせたはんにゃ。2組は、いつしか目も合わせないような関係になっていたという。そして、ようやく自分たちにもスポットライトが向けられるようになると、もう1つの問題が起こった。はんにゃの「はんにゃじゃない方」と呼ばれていた川島章良が、ブレイク時にも関わらず、周囲から邪険に扱われ、それを深く悩んでしたというのだ。あまつさえ、自殺未遂を考えたびたび楽屋で発狂していたというから穏やかでない。

 圧倒的な個性を持つ金田に対し、確かに川島は地味なキャラクター。周りからは、「金田がいなけばお前は何もできない」「金田がいなかったら絶対売れてない」と言われ続け、精神的に不安定になった。当時、犬猿の仲でだったオリラジの中田敦彦に向かって、突然、「お前も俺のこと馬鹿にしてんだろ!」と、川島は絶叫したという。しかしそんな川島も徐々に今のポジションに慣れ、『アメトーーク!』(テレビ朝日系)で「じゃない方芸人」などに出演するころには、思い悩むこともなくなったという。「なんでもいいから褒められるといいですね」と川島は過去を振り返った。

 川島の例は特別かもしれないが、今の彼ら世代の状況は確かに微妙だ。芸歴10年目を向かえ、これまでの“活きのいい若手”という立場でもなければ、もちろん中堅でもない。そんな宙ぶらりんな状況で、どうすればいいのか、という悩みは大なり小なりあるに違いない。まして、ここのところ『ロンハー』で注目を集めているのは、ジャンポケやパンサーといった彼らより若手の面々ばかり。大御所たちも未だ健在で、中堅全盛という今のテレビバラエティ界で、とにかくイジられていればいいという新鮮な若手でもなくなったフルポンたち世代。どうにか居場所を見つけなければならないが、冒頭で記したように、若手に食われているようでは先が見えない。今のように周囲に頼っているようでは消えていくしかない。
(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/
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