K-1の今後はどうなる? 身勝手すぎる谷川氏の決別宣言に非難轟々

tanigawa0406.jpg※イメージ画像:K-1 OFFICIAL WEBSITEより

 昨年まで格闘技「K-1」を主催してきたFEGの代表取締役・谷川貞治氏(50)が、同社公式サイトで声明を発表した。谷川氏は、ファイトマネーの未払いや多額の負債を認めた上で謝罪し、K-1のアマチュア部門は創始者の石井和義館長が引き継ぎ、ワールドGPとワールドMAXは新組織「K-1グローバル・ホールディングス」が主催運営すると説明。さらに、自身はK-1のイベントプロデューサーを辞し、新たな格闘技イベントを立ちあげると発表した。

 存続すら危ぶまれていたK-1のゴタゴタにひとつの区切りがついた形だが、この声明に対して関係者やファンから強い非難が浴びせられている。

 谷川氏は声明の中で、石井館長が脱税で逮捕・収監されたことでK-1が運営危機に陥ってから盛り返すまでを振り返って「FEGを作り、私がプロデューサーに立つことでなんとか乗り切ることができました」「皆さんも理解しているかと思いますが、K-1は毎回会場に人が集まり、テレビの視聴率もそこそこ良く、スポンサーにもたくさんついていただき、赤字など出したことはありません」と自画自賛。

 その一方で「ネット等で噂されているK-1の(ファイトマネー等の)未払い問題で、皆さんに迷惑をかけているのは事実です」としている。赤字を出したことがないのに選手や関係者にギャラを支払えなくなったというのは、どういう理屈なのか。一部スポーツ紙では、ファイトマネーの未払い額だけで合計約8億円にのぼっていると報じられており、人気ファイター・桜庭和志は2年以上もギャラを貰っていないという。ファイトマネーは払って当たり前の経費なのだから、これは立派な赤字ではないのだろうか。

 さらに、谷川氏はネット等で未払い問題に言及している関係者を「そのことを発言している人のほとんどは関係のない部外者だったり、未払いのない人だったりします」と斬り捨て、「そのことを口にせず、耐えて試合に出てくれたり、手伝ってくれている業者がどれほどいたことか。(中略)苦しい時こそ、人って本当の姿が見えるんですよね」と、まるでギャラ支払いを求めた関係者が情け知らずとでも言いたげな記述をしている。

 谷川氏は新K-1の誕生の経緯についても言及。それによると、K-1の未払い問題や負債を解決するために新しいオーナー探しに奔走し、韓国の投資家・金健一(キム・ゴニル)氏らに接触したが、「うまく解決できなかった」という。その後、K-1の商標が石井館長や担保として商標を押さえていた企業から、不動産・株式投資会社「EMCOMホールディングス」に移った。香港に設立された「K-1グローバル・ホールディングス」がEMCOM社の子会社となり、新K-1を主催することになったというが、このEMCOM社の元社長で大株主なのが前述の金氏だった。K-1グローバル社の社長に就任した金氏は、新K-1のオーナーとなる。

 FEGの事業を引き継いだわけではないので、金氏がFEGの未払い問題や負債を解決する義務はない。FEGは石井館長から借りていた「K-1」の看板を失っただけともとれるが、谷川氏はFEGの未払いや負債は「K-1グローバル・ホールディングスが契約金として少しずつ解決していってくれます」とした。事実、新K-1と契約した選手にFEGの未払いギャラの半額が支払われたと海外で報じられている。

 だが、この裏には新K-1のライバルとなる新イベントの存在がある。オランダの格闘技ジム「ゴールデン・グローリー」の代表バス・ブーン氏が新格闘技イベント「グローリー」を立ちあげるため、K-1ファイターと次々と契約している。谷川氏によると、ピーター・アーツやジェロム・レ・バンナら人気選手が、グローリー側と既に契約合意したという。

 前述の新K-1によるFEGの未払いギャラの選手への支払いは、「新K-1と契約したら」という条件付き。グローリー側と契約した選手には支払いが保証されていない。いわば、新K-1は選手がグローリーに流れないように、未払いギャラを盾にしているといわれても仕方ないやり方をしている。

 ブーン氏によると「谷川氏と金氏が一緒にオランダを訪れ、複数のファイターに未払いギャラ半額分の支払いも含めて契約を申し入れた」というが、谷川氏は現在は金氏と密接な関係にはないと主張している。FEGと新K-1の関係を示すような怪しげな動きだが、谷川氏が新K-1とどのような関係にあるのかは今のところ不明だ。

 谷川氏自らの今後については、新たな格闘技イベントの立ち上げを目指すという。「すでにテレビ局の人にも相談しましたが、みんな『メチャクチャ面白い」と言ってくれています」「格闘技が元気をなくした責任を強く感じているだけに、もう一度最後の勝負をしようと思っています。すでに協力していただける投資家の方々もたくさん現れています。これは面白いですよ。ぜひ、期待してください!」と自信満々の様子だ。

 しかし、ギャラ未払いや負債のハッキリとした解決方法が明示されないまま、新イベントの立ちあげを宣言するというのは無責任すぎるだろう。負債返済のために一発逆転を狙っての新イベントという考えなのかもしれないが、あまりに不安要素が大きい。

 谷川氏は声明文の最後の方で「いつか本でも書いてみたいです」と記し、暴露本を書く用意があることもチラつかせている。関係者に対する牽制かもしれないが、そんなことに気を配る前に、命を懸けてリングに上がっていた選手たちへの報酬の支払いを第一に考えてほしいところだ。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops

『K-1 PREMIUM 2004 Dynamite!!』

 
ボビーが「モス!」って言ってた時期は好きでした

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