「人生を変える言葉」「人生を変える一冊」などを目にすることが多くなってきた。先行き不安なご時世だからこそ、そういった言葉や本がおのずと注目されるのだろう。決してタナボタ的な意味ではなく、「現状を劇的に変える何か」を求めてしまうのは、現代人の性なのかもしれない。
しかし、人生を変えるというのは、そう簡単なことではない。確かに、過去の偉人が残した名言や、己の琴線に触れる本と出会い、「人生が変わるような気がする!」と感銘を受けることはあるだろう。だが、その後は実行力が問われるところ。「さっそく会社に辞表を提出」など、何らかの行動が伴わなければ、人生は変わらない。
では、もう少し簡単な部分から変えてみてはどうだろうか? 例えば、オナニー。ムラムラしたらズボンを下し、テキトーなオカズを脇にシコシコとシゴき、射精する……。もちろん、長年親しんだやり方なのだから、それなりの快感は得ることができる。このオナニーという分野において、何らかのステップアップを計ってみてはいかがだろう。「現状のオナニーを劇的に変える、新しいオナニー」なら、人生を変えるよりもハードルは低いはずである。
まず、手軽なところからご紹介すると、「利き手と逆の手でシゴく」というやり方がある。しばらく女性とセックスしていないことを、「右手が恋人」と、やや自虐的に表現することがあるが、オナニー内で浮気を試してみるという方法だ。「ただ単にシゴきづらいだけでは?」と思うかもしれないが、そのぎこちなさが、性行為に慣れていない若い女性に手コキされているかのような感覚をもたらし、ハマるとやみつきになるという人も少なくない。また、最近ではネットからオカズを得ている人も増えているが、利き手と逆の手でペニスを握ることによって、マウスは利き手で操作できるので、速やかに画面の切り替えを行なうこともできる。さらに、利き手と逆の手を使うことによって、脳を活性化させるという説も存在する。おのずと、神経を集中させなければならないことによって、新しい快感ポイントが見つかるかもしれない。
次に、体勢を変えてみるというのも試す価値は大いにある。おそらく、たいていの人は寝っ転がるか、座った状態でオナニーを行なっているだろう。そのラクな体勢から、あえて立ち上がってみるのだ。できれば、壁などに寄りかからず、自分自身の筋力で立つのがベスト。経験者に話を聞くと、「膝がガクガク震えるが、そのガクガク感がたまらない!」のだそう。余談だが、運動不足を痛感し、ウォーキングを始めたという者も。一石二鳥とはまさにこのこと。また、起立状態が屋外での性行為を連想させるらしく、オカズに青姦作品が増えたという脳内革命が起きた者もいた。なお、青姦物のAVを見るだけなら構わないが、自身が屋外に飛び出してしまわないよう、その点は理性を保っていただきたいものである。まもなく三月とはいえ、まだまだ寒いこの季節、屋外でオナニーなど、風邪を引いてしまう危険性が高い。そもそも、万が一人目に触れると、公然猥褻罪に問われることになるので、要注意である。
精液の発射対象もひと工夫したいところ。発射対象といっても、オカズのことではない。普段はティッシュに発射しているなら、例えば自身の手に出してみる。自分の精液の質感や温度など、身を持って体感できるので、「女性はこれを口や顔などで受け止めているのか」ということをリアルに想像できるようになり、興奮が増したという人がいた。ただし、受け止めきれないこともあるようなので、布団上よりは床の上でお試しいただきたい。ほか、いつものティッシュをトイレットペーパーやキッチンペーパーに変えたことによって、「(精液の)勢いが良くなった」という人もいた。おそらく、「ティッシュよりも丈夫だから、破けることはないだろう」という安心感が、発射の勢いに拍車をかけたのではないだろうか。面白いのが、「コンビニなどのレジ袋」が良いという。柔らかく、まとわりつくような感触が快感を高めるそうだ。
ほか、日頃のオナニーを変える方法はいくらでもあるだろう。人生を劇的に変えるのは難しいかもしれないが、オナニーならその可能性は充分ある。単調な日々に退屈していると愚痴を漏らすよりも、まず出来る部分から変えていくことによって、いずれ何かが見えてくるだろう。
(文=菊池 美佳子)