セコい男が通う「疑似キャバクラ」とは?

 オトコたる者、誰もが「若くて可愛い女の子とおしゃべりしたい」という願望を持っている。「いや、俺は熟女のほうが好きだ」というタイプの男性には、ここではあえて触れないでおこう。さて、若くて可愛い女の子とおしゃべりするにはどうしたら良いのか? 職場でそういった行為に派手に取り組むと、セクハラと捉えられてしまうこともある。そもそも、「弊社には何故かカワイコチャンがいない!」という人もいるだろう。だが、それをどうこう言うのはお門違い。職場の女子社員たちは、女優でもなければモデルでもなければキャバ嬢でもない。

 ということは、若いカワイコチャンと喋るには、キャバクラへ行けば良いということになる。しかし、時代は平成の大不況下。長引く不景気のせいで、キャバクラ遊びからずいぶん遠ざかっているという人も多いだろう。しかし、諦めるのはまだ早い。キャバクラよりも安い値段で、若いカワイコチャンが接客してくれる店も存在する。俗にいう「セクシー居酒屋」と呼ばれる形態の飲食店だ。女性店員が、ビキニにホットパンツなど、露出度の高い格好で接客してくれるのが売りになっている。常連だという男性に話を聞いたところ、「20代のフリーターでも行ける程度の金額」なのだという。ポイントは、奥側の席に座ること。店内を行き来する女性店員の姿を、存分に目で追うことが出来る。通路側に座ってしまったとしても、店舗によっては、壁に鏡が張られ、女性の姿が写るようになっているとのこと。ただし、あくまでもキャバクラではないので、隣に座ってもらっておしゃべり、というわけにはいかない。別料金を設け、女性店員がゲームに加わるなどのオプションがある店舗もあるようだが、そうなると「安い料金で若いカワイコチャンと喋る」というコンセプトには反してしまう。

 キャバクラにもセクシー居酒屋にも行くカネがない! カネはないが、若いカワイコチャンと喋りたい! ……そういったキャバクラ難民は、いったいどうしているのだろうか? ほとんどの男性は、諦めて自宅待機というところに落ち着くわけだが、中には「擬似キャバクラ」を利用している者もいる。擬似キャバクラといっても、激安キャバクラという意味ではない。普通の小売店の女性店員に対して、必要以上に話しかける、セコい男性も存在するという意味である。つまり、正確にいうと、「擬似キャバクラに行く」というよりは、「擬似キャバクラを構築している」といったほうが合っているかもしれない。

 代表的なのが、携帯電話ショップだ。大手家電量販店ではなく、小規模な携帯電話ショップを想像して頂きたい。競争激化のケータイ業界は、売る側も必死である。それを逆手にとって、買う意思もないのに、若い女性店員に機能などについて詳細に質問しまくる男性客をしょっちゅう見かけるようになった。店員側としては、一応客なのだから、邪険に扱うことも出来ない。しかも、機能に関しての質問なのだから、なおさらである。「ケータイの機能について質問するだけで楽しいものなのか?」と疑問に感じる人もいるかと思うが、トークの内容よりも、「若い女性と喋る」ということが重要なのだろう。

 一方で、プライベートトークに踏み込むパターンもあるようだ。コンビニを「擬似キャバクラ」にしている男性に多いのだが、常連になることで、レジの女性店員と親しくなり、やたらと親しげな態度をとるケース。「いつもありがとうね」などの労いの言葉で女性店員の警戒を解き、どんどんプライベートトークにさせていくタイプである。「昨日はいなかったね?」「そっか、大学のサークルがあったんだ!」「頑張り屋さんだね」など、「いいお客さん」としてさりげなくプライベートトークを展開させていく。

 「擬似キャバクラ」を構築する男性の言い分としては、「連絡先を聞いたり、下ネタを持ち出したりしているわけではないのだから、ノープロブレムだろう!」と思っているのかもしれない。しかし、女性店員側の身になって考えてみよう。高額な時給を受け取っているキャバクラ嬢と違って、彼女たちに支払われている賃金は、決して高くはない。要するに、彼女たちの時給には「おしゃべりサービス」は含まれていないのだ。女性店員たちからも、「お値段以上とはまさにこのこと!」「私は時給の安いホステスか?」という苛立ちの声が挙がっている。もちろん、中には「お客さんが、自分の顔を覚えてくれていると嬉しい」という意見もあった。人によって、受け取り方は様々であるが、必要以上に馴れ馴れしく接するのは、控えたほうが無難だろう。
(文=菊池 美佳子)

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