6.11「脱原発100万人アクション」全国同時開催! 新宿アルタ前にも空前の人数が集結

toudendemo0613_01.jpg一連のデモではおなじみになった手作りプラカード

 去る6月11日、かねてから告知されていた、複数の市民グループの呼び掛けによる「6.11脱原発100万人アクション」が全国43以上の都道府県で行われた(著者確認による)。今回の企画が「デモ」ではなく「アクション」となっているように、街頭デモだけでなく、講演会や学習会、映画上映会、ディスカッション、ライブコンサート、写真展など多種多彩な形で展開された。

 東京でも各地でデモや集会が実施されたが、中でも4月10日の「高円寺デモ」を企画した「素人の乱」http://www.shirouto.org/ が主催する「新宿デモ」には多くの参加者が集まった。

 スタート地点の新宿中央公園には、雨模様だったもののすでに14時過ぎには目測で500~600人以上が集まっていた。スタート前には主催者あいさつの後、賛同者のスピーチやバンドの演奏なども行われた。その中には、5月7日の渋谷に引き続きタレントで歌手の藤波心氏によるメッセージや、アイドルグループ「制服向上委員会」の面々が「ダッ!ダッ!脱・原発の歌」を披露。参加者の喝采を浴びた。

toudendemo0613_07.jpg素人の乱・松本哉氏
toudendemo0613_02.jpg「原発は矛盾だらけ」と訴える作家・雨宮処凛氏
toudendemo0613_04.jpg制服向上委員会の面々は『ダッ!ダッ!脱・原発の歌』で喝采を浴びた

 デモ隊は15時にスタート。すでに雨も上がり、天候としてはまずまずの状況となった。デモ隊は、高円寺や渋谷と同じくいくつかのてい団に分断されての行進となった。多くの警官隊に囲まれながら、甲州街道を新宿駅南口方向に進み、同西口方面を通過して大ガードをくぐり、歌舞伎町から新宿三丁目手前で右折、再び甲州街道を通って新宿駅東口前広場がゴールだ。

 土曜日だったためにオフィス街である西口方面は通行人などが少ないと思われたが、それでも道を歩く人たちは立ち止まってデモ隊を見物する姿が多く見られた。中には、沿道の事務所や飲食店などから外に出てくる人々も少なくなかった。

 しかし、デモの情報については、まだまだよく知られているとは言い難い部分がある。デモ隊が通過している時、筆者は新宿に張りめぐらされた地下街、つまり京王モールや新宿サブナードといった場所を走り回ってみた。そこは、震災前に比べていくらか人出が少ないように見えたものの、買い物客が行き来するという見慣れた光景だった。試みに幾人かの買い物客に頭上を通っているデモのことを聞いてみたが、「知らない」と首を振る人がほとんどだった。

toudendemo0613_08.jpg歌舞伎町脇を通過するデモ隊

 デモ隊に目を移すと、歌舞伎町や駅前などの人通りの多い場所では、さらにデモの行列は注目を集めていた。さすがに実際に目にすると人々の関心もわき起こるようで、「これって、何なの?」と驚くカップルの姿や、「新宿ですごいデモがやっているよ!」と携帯電話で興奮気味に話す若い女性の姿もよく見掛けた。

 渋谷のデモの時も感じたが、沿道の通行人がデモ隊に対して冷淡な目を向けることが少ないこと、反・脱原発というフレーズに目を向ける人が結構いることなどは、ある種の驚きだった。今回も、歌舞伎町をデモ隊が通過する際は、靖国通りを横断できずに通行人の多くが困惑したであろう。「迷惑だぞ」「さっさと通せよ」などと、ヤジのひとつが飛んでもおかしくはなかっただろう。しかし、そんな気配はまったく感じられず、せいぜいクルマの流れの合間を見て横断する人が何人もいたくらいで、むしろ警察の交通整理の遅さに不満を口にする通行人が少なくなかった。

 デモ行進の状況としては、小競り合いのようなものは何度もあったものの、全体としては無事に進んだ。新宿駅東口のいわゆる「アルタ前」にデモ隊の第一てい団が到着したのは、16時23分ごろだった。警察が流れ解散を命じたものの、応ずる参加者は少なく、次々にデモ隊が到着。アルタ前はすさまじい数の参加者でごった返した。

 やがて18時から「アルタ前アクション」へと移行し、音楽や歓声などによって参加者たちは反・脱原発のアピールを続けた。

toudendemo0613_05.jpg東口「アルタ前」に終結するデモ参加者

一連の反・脱原発アクションでは、政治あるいは社会活動などとは縁のない、一般の市民の参加や関心が強いことが最大の特徴であろう。主催スタッフの一人である東電前アクションのシゲさん(57)も、「これだけ一般の人々が参加するのは、かつてのべ平連の時代以来ではないでしょうか」と話す。

「やはり政治とか理屈ではないわけです。今回の原発事故は、自分たちの生活に直結しているわけですよね。食べ物が危ない、水が危ないとなれば、誰もが関心を持って当たり前だと思います」(シゲさん)

 日が落ちてからも、アルタ前からはなかなか人が去らなかった。警察は何度も解散を指示したものの、多くの参加者は応じなかった。そこで何度か警官隊が広場に侵入してきたが、大きな衝突などはなく、逮捕者が出ることはなかった。

toudendemo0613_08z.jpg夜になっても歓声を上げ続ける参加者たち

「この行動と熱意がどれほど継続できるのかがポイントだ。今日の参加者だって、学校や仕事がある。(アクションが)先細りにならなければよいが」(50代男性)

 一方、原発停止に希望を寄せる声もある。前出のシゲさんは言う。

「現在、全国54基の原発のうち、37基が点検などで停止している(7日現在)。残る17基が止まれば、脱原発の実現の可能性は高くなります。そのためにも、各地元での議会等への働きかけが重要でしょう」

 不安要素も少なくない。だが、原発や放射線への不安は、日に日に高まっている。原発をめぐる動向については、目が離せない状況であることに今後とも変わりはなかろう。
(取材・文=橋本玉泉)

追記:
6.11アクションへの参加者数は、新宿では主催者発表で2万人。デモの隊列からの目測や、アルタ前に芝公園などからの参加者が合流したことなどを考慮すれば、この数字は実数とそう遠くはないと考えられる。少なくとも、渋谷や高円寺と同程度の参加者があったと考えられよう。また、NHKが新宿での参加者を2,400人と報道したことに、多くの視聴者から抗議が寄せられたという。

『原発のウソ』

 
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