5月26日、新宿区歌舞伎町で売春クラブを経営していたとして、29歳と35歳の男二人が警視庁保安課に売春防止法違反で逮捕された。警察によると、二人はマンションの一室で乱交サークル「マリブ」を2008年秋ごろにオープン。逮捕されるまでに少なくとも1億3,000万円以上の売り上げがあったという。
誰でも手軽に参加できる乱交系パーティーが現れてきたのは、01年頃から。それまでは乱交パーティーといえば、至極マニアックでしかも原則として夫婦やカップルでなければ参加できなかった。しかし、1990年代末頃から三行広告などで一般に参加者を募集し、男性だけでも参加できるパーティーが登場した。
よく誤解されるが、裏風俗の大人のパーティーと乱交系パーティーはその成り立ちも内容も別物だ。大人のパーティーでは、風俗なので男性はお客、男性から指名するが女性から声を掛けることは絶対に無い、一対一のプレイを基本とする、などが特徴だ。これに対して乱交系の場合、身分証明書を提示しての会員登録が必要、男女共に会員なので立場は対等、複数プレイが基本などといった原則があった。女性会員の募集も、「主宰者独自のルートや口コミなどによる部分が大きかった」(元乱交系サークル主宰者)という。
ところが、03年ごろから乱交系が人気になり、数も増え始めると、「会員登録・身分証不要」などといったパーティーが増え、その内容が大人のパーティーとほとんど変わらないようなものが増えていった。
内容が大人のパーティーに近づけば、その運営方法も似てきてもおかしくない。女性も会員ではなく従業員として募集するようになっていった。実際、そうしたケースは近年多いという。ある都内で働く現役デリヘル嬢の女性(34)は言う。
「その手のパーティーにお手伝いに行ったことは何度かあります。知り合いの女の子(デリヘル嬢・筆者注)の紹介で。もちろん、お仕事として」
特に、09年に夕刊紙「リアルスポーツ」(旧「内外タイムス」)が休刊してからは、大人のパーティーは広報手段を事実上失ってしまっており、営業内容がそのままに乱交系へと横滑りしているケースは十分に考えられる。
さて、今回摘発された「マリブ」だが、「最高級乱交サークル」というキャッチコピーで参加者を募集していたようだが、「参加費は男性が1万5,000円から2万2,000円」というから、同種のパーティーの中ではごく一般的と言えよう。
乱交系パーティーの摘発としては、昨年10月に香川県で逮捕者が出たケースが記憶に新しい。最近ではこうした、「従来はなかった取り締まり強化が目立つように感じる」とある事情通は話す。
「風俗はほぼ警察の管理下に入ったも同然。そうなると、手の内に収めきれないジャンルをつぶしにかかってくるのは当然でしょう。今後もボーダーライン上にある営業を違法風俗店と見なして取り締まりのターゲットにしてくることは十分に考えられます」
現在、インターネットで参加者を募集している同系統のパーティーはかなりの数だ。しかし、入れ替わりや閉鎖も少なくない。今回のような摘発が増えれば、こうしたジャンルがさらにアングラ化していく可能性も考えられるであろう。
(文=橋本玉泉)
ちょっと交ざりたいかも?