中国発のポータルサイト「百度」のファイル共有サービス「Baiduライブラリ」が、マンガ入手し放題の無法地帯になっていることは、今月1日以降の報道でご存知の方も多いだろう。
asahi.comによれば、百度は「(出版各社の)要請に従い削除している」とのことだが、切込隊長BLOG(http://kirik.tea-nifty.com/diary/2011/02/baidu-e8e4.html#more)にこの一件が取り上げられ、さらにそれが2ちゃんねるでも話題を呼ぶと、マンガ作品のアップロード数は激増。著作権侵害の状態がいっそう悪化した格好だ。後手に回りがちな対応への批判が高まるなか、メンズサイゾー編集部は「百度」のマーケティング部に取材を行い、「Baiduライブラリ」の運営目的と今後の対応についてコメントをもらうことができた。
Q1:「Baiduライブラリ」を設置した目的は?
A1:Baiduライブラリは、資料や自分の作品などをまとめたドキュメントをオンライン上で閲覧・共有できる文書共有サービスです。例えば、趣味や仕事などさまざまなドキュメントを、ユーザー同士で共有したり、気になるファイルを検索・閲覧・ダウンロードできます。
Q2:設置当初の想定ユーザー層は?
A2:文書共有サービスは、まだまだ馴染みの薄いサービスですので、現時点では特定のユーザー様を想定してということはございません。ご利用シーンとしては、自分の作品を多くの人に見てもらいたいクリエイターの皆さまや、企業の皆さまのPRの場としてなどが想定されるかと思います。
Q3:現在、権利者の許諾のない状態での電子書籍の配信がなされており、またサイトのシステム上も、権利者の許諾のない状態での配信を防止することが不可能となっているように見受けられます。この点につきまして、今後、システムを改良し、法的に問題のない電子書籍配信を可能にしていく予定はありますか?
A3:Baiduライブラリでは、サービスの利用規約で著作権を侵害するドキュメントの投稿禁止をご説明しており、また著作権侵害物をチェックするシステムも導入しておりました。今後は、システムの強化、及びご利用者様への規約の周知を徹底していきたいと存じます。著作権侵害物の削除の要請に関しましては、ご指摘頂いているドキュメントを含め、内容を確認し、順次削除対応中でございます。
最後に電子書籍リーダーへの対応などの予定を尋ねたが、「まずは、今回の件に関する対応及び改善を優先していく考えでございます」と、真摯な回答をもらった。全体としても、著作権侵害の意図はなく、違法なアップロードファイルに関しては削除するという至極まっとうな姿勢がうかがえた。とはいえ、不法状態が続くなかでサービスを停止しないという方針を貫くことは、一時的に株価の低下を抑える効果はあっても、長期的な視野において得策だと言えるのだろうか。
法的な環境整備が不十分であるだけに、インターネット事業、なかでもファイル共有サービスの運営者は著作権への対応に敏感でなければならない。それでなくとも「中国=著作権無視」というイメージが世界中に蔓延している現状を鑑みれば、中国発の「百度」は、「著作権保護という資本主義的な価値を尊重する企業である」といったイメージが形成されるまでは、「YouTube」や「ニコニコ動画」などの動画共有サービスよりも、一層厳格な規定と運営策を用意し運営を行うべきだったのではないだろうか。
(文=ホーリー)
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