第5回ポプラ社小説大賞受賞作、水嶋ヒロ(名義は齋藤智裕)の処女小説『KAGEROU』の発売日が12月15日に決定し、書店などでの購入予約も開始された。Amazonのベストセラーランキングではすべての本の中で3位に食い込む予約状況で(※記事UP時点では8位にランクダウン)、ヒットは間違いないだろう。244ページを予定しており、定価は1,470円(本体1,400円)。まだ書影は公開されていないが、水嶋本人がTwitterで「デザイン案がほぼ決まりました!」と報告している。
実はこの『KAGEROU』、ポプラ社としては初めて”責任販売制”を導入する商品になる。責任販売制とは、書店からの返品率を改善する狙いで始まった新しい制度で、定価に占める書店の取り分を現行のおよそ22~23%から数%引き上げ、その代わりに、返本する際の負担を書店に求めるもの。
小学館や講談社など大手出版社が提示しているマージンは35%だが、今回のポプラ社の場合、マージンは26%だというから書店にとって特別高くはない。ただし、書店からの初回指定注文は満数出荷なので普段あまり配本に恵まれない中小書店にとっては、売れ線の商品を大量に仕入れることができるチャンス。追加注文分も満数出荷の予定だ。もちろん、大量に仕入れたものの全く売れず、返本の山となってしまった場合はそうした中小書店にとって大きな痛手となることは間違いないが、ポプラ社にとっては、売れなくてもあまりデメリットのないやり方と言えるだろう。
本当に水嶋が執筆したものなのか、という「ゴーストライター説」や、選考途中で水嶋ヒロの作品と判明したから受賞に至ったのだ、という「出来レース説」も相変わらず飛び交っているが、発売日まであと1カ月を切った。未だに小説の出来についての評判は露ほども漏れ聞こえておらず、果たして完成が発売予定日に間に合うのか不安だが、ファンならずともその日を楽しみに待ちたいものである。
まだ半信半疑