メンズサイゾー事件簿

無実の男性をどん底に陥れたDQN妻の身勝手

518EKIhrKdL._SS500_.jpgイメージ画像:『無実(上)』著:ジョン・グリシャム/ゴマブックス刊

 2000年9月7日の朝7時頃、福島県会津若松市で会社を経営していた男性Aさん(63)は、いきなり警察に逮捕されてしまった。容疑は「女性に対する強制わいせつ」。市内に住む主婦B子が、「Aさんに自宅でわいせつ行為を受けた」と被害届を出したのだ。

 ところが、Aさんはまったく身に覚えがない。B子の自宅に出向いたことは確かだが、それは彼女の夫と仕事の話をするために訪れただけのこと。しかも、その夫が留守だったので、B子と世間話をして帰っただけである。わいせつ行為など一切していない。当然、Aさんは容疑を否認。しかも、物的証拠は何一つない。にもかかわらず、取り調べに当たった刑事たちはAさんを犯人と決め付け、彼を送検した。しかし、検察では嫌疑不十分として不起訴処分。Aさんの身は潔白と認められた。

 だが、Aさんが逮捕された際、新聞に実名で報道されてしまっていた。これが原因で、「わいせつ犯と仕事をする気はない」と取引の打ち切りが相次ぎ、事件前200社はあった取引先が5分の1以下に激減。銀行までもが、「警察沙汰になったから」との理由で取引を停止するほどであった。

 そこで青木さんは、釈放後の同年10月、「虚偽の被害届によって逮捕され、社会的な信用が著しく損なわれた」として、B子を相手取り、300万円の損害賠償を求める訴訟を地裁会津若松支部に起こした。しかし、取引を切られた事が原因で、事件から1年後には会社は倒産。Aさん一家は、生活すらできなくなるほど困窮してしまう。

 一方、Aさんが起こした民事訴訟の口頭弁論では、B子は真っ向から争う姿勢をみせた。

「たしかにAさんからわいせつ行為を受けた」
「被害届は本当。私はウソなんてついていない」

と、あくまでAさんからの「わいせつ行為」を主張し続けたのである。

 そして01年の11月、福島地裁会津若松支部は、「わいせつ行為が行われた事実はなく、(B子の)被害届は虚偽」と認め、B子に対して150万円の支払いを命じる判決を下した。裁判官は、B子のウソを見抜いていた。

 B子はすぐに控訴したが、翌年の02年4月、仙台高裁はこの控訴を棄却、判決が確定した。

 この判決確定を受けて、AさんはB子を虚偽告訴容疑で会津若松署に同年6月に刑事告訴。民事で敗訴した後も、B子はAさんを「わいせつ犯」と決め付けていたからである。

 翌03年7月、福島地検によってB子は虚偽告訴罪で起訴された。この裁判の初公判で、B子はやっと「Aさんがわいせつ行為を行った事実はなく、提出した被害届けの内容はまったくのウソ」と認めたのだった。

 しかも、そのウソをついた理由というのが、「夫に構ってもらえなかったので、事件の被害者になれば夫が自分に親身になってくれると思ってやった」というから驚きである。

 この裁判では、一審ではB子は懲役1年の実刑判決。裁判長は、「平然とウソをつき、無実の人を罪に陥れようとしたのは言語道断」と断じた。

 ところが、有罪となったにもかかわらず、B子は反省や謝罪の言葉すら一切口にしない上に、「量刑不当」を理由に、即日控訴した。つまりB子は、身勝手なウソでまじめに働いてきたAさんの生活と家庭をメチャクチャに破壊したにもかかわらず、「懲役1年は重過ぎる」と主張したのだ。

 だが、この控訴は却下され、その後の04年2月には、B子はこれを不服として最高裁に上告している。だが、事件の内容を見る限り、おそらく上告も却下されたのではあるまいか。

 それにしても、何一つ非がないにもかかわらず、甚大な被害をこうむったAさんは、誠にお気の毒としか言いようがない。
(文=橋本玉泉)

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