エロは禁止すべき? 緩和すべき?

知っていて損はない海外「ポルノ規制」事情

polno_top.jpgイメージ画像 photo by terren in Virginia from Flicker

 日本でも「児童買春・児童ポルノ禁止法改正案」で「単純所持」の禁止が盛り込まれていたことから、エロ業界が戦々恐々としているが、実はポルノの規制というのは、世界レベルで議論されている大問題になっているのだ。

「学園モノのエロゲーは禁止なの!? ドラえもん(しずかちゃんの入浴シーン)やドラゴンボール(ブルマの裸シーン)もアウトなの!? そりゃあんまりだよ!」

 改正案が発表されたとき、「厳しい」と反論したユーザーは少なくない。だが、海外では児童ポルノに対してもっと厳しい規制がかけられている。

 例えばアメリカでは、たまたま児童ポルノの画像がパソコンにあっただけで実刑判決を受ける……なんてケースも珍しくない。中には冤罪で捕まる場合もあり、社会問題にもなっている。

 

 だが、世界にはこれよりも厳しい「規制」をかけようとする国もある。旧ソ連諸国のひとつ、ウクライナだ。人権先進国としても名高い国だが、すべてのポルノを禁止する法案が正式に制定され、6月11日に議会を通過。最終的にビクトル・ユシチェンコ大統領が法案にサインして、正式に施行される見込みとなっている。ウクライナの人権活動家や芸術的なコミュニティのメンバーが法案反対運動を起こしたが、訴えが聞き入れられることはなかったという。

 この「すべてのポルノ」がどの範囲まで及ぶのかは不明瞭な部分が多いが、法案では、医学に使用するための写真だけは所持が認められている。となると、それ以外のエロ写真や裸が載っている紙媒体や映像はアウトのようで、これらを所持しているだけで最高禁固3年もしくは罰金刑を受けるという。例えば、幼い娘が泳いでいる写真を持ち込んだだけでもアウトになりかねないので、ウクライナに渡航する際はくれぐれも注意が必要だ。

 このように世界レベルでポルノの規制は進んでいる。日本だって、そのうち「エロ本は全部禁止! 18歳未満の女の子の裸はもちろん、水着写真もダメ!」なんてことになる恐れもある。

 しかし、過剰な規制は「犯罪の地下組織化」を招く可能性が限りなく高い。アメリカでは1920年代に「禁酒法」が制定されたが、その結果、マフィアによる酒の密売が横行し、「禁酒法」は単にマフィアに資金を稼がせるための手段になってしまった。日本でも石原都知事の下、歌舞伎町の「浄化作戦」が行われたが、その結果、町全体の活気が失われるという事態に陥った。暴力団関係者が裏に潜ってマフィア化するなど、より物騒になった感も否めない。

 こうした規制による弊害で、性規制の見直しを迫られているケースも増えている。台湾では「社会秩序維護法」という法律で、国内での売春を禁じていた。ところが暴力団組織が地下潜行した売春業をバックアップし、犯罪が悪質化するハメに。結果、売春を合法化する方針を打ち出し、年内にも法案を通過させる”軌道修正”を迫られる事態となった。台湾大学の王准教授は「成人女性が自分の判断で選ぶのなら、問題はない」と話しており、売春の合法化を推進している。

 また、イギリスでは10代の少女の妊娠(毎年4万人)が問題視され、総額9億円をつぎ込んで妊娠予防のための避妊教育(YPDP)に取り組んだ。ところが、この避妊教育で少女たちの性に対する関心度が高くなり、少女たちの妊娠率は逆に上がってしまった。その結果、イギリス政府はYPDPの中止を発表した。

 必ずしも「規制=改善」とはならないのがポルノの世界。何でもかんでも規制しようとするのが昨今の日本の風潮だが、それはむしろ犯罪の悪質化を招くだけにすぎないのかもしれない。

 

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