『安堂ロイド』視聴率一桁目前も“カルト化”で人気に!?

1202andou_main.jpg※イメージ画像:TBS系『安堂ロイド』公式サイトより

 視聴率が人気のバロメーターとなるドラマ界。今クールの人気作品では、米倉涼子が型破りな外科医を演じる『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)が、28日放送の第7話の平均視聴率が23.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と今期最高を記録し、4週連続の20%超えを果たしている。堺雅人と新垣結衣のコンビが好評な『リーガルハイ』(フジテレビ系)も、27日に放送された8話までの平均視聴率が18.3%と堅調だ。

 その一方で、川口春奈主演の『夫のカノジョ』(TBS系)が、視聴率3.0%という今世紀のプライム帯(午後7~11時)で放送された民放連続ドラマでの最低記録をつくり、8話での打ち切りが決定。明暗がはっきりと分かれている状況といえる。そんな中、記録的な大ヒットとなったドラマ『半沢直樹』(TBS系)の後を受けて放送されることで注目されていた『安堂ロイド~A.I.knows LOVE?~』は、12月1日に放送された第8話の視聴率が10.7%と1ケタ目前にまで落ち込んだ。

 初回こそ19.2%と及第点ともいえる数字だった『安堂ロイド』だが、2話で15.2%と急降下すると、その後は10%台前半を推移している。放送当初から、「ターミネーターのパクリみたい」「ストーリーが安っぽい」とネガティブな声が相次ぎ、伊集院光は自身のラジオ番組で「ツッコミどころがすごすぎて」「俳優さんたちってえらいな」と、“内容に対して不満を言わずに演じる役者”への評価ともとれる感想を述べていた。

「爆笑問題はラジオで『相当おもしろい』『大島優子がうまい』と語っていて、他局のプロデューサーらもTwitterで絶賛するなど、意外に業界内の評価は低くない。視聴率7%台を記録するなど低空飛行の『クロコーチ』(TBS系)は、ネット上では『けっこうおもしろいのに』と高評価なこともあり、そもそも“視聴率は人気のバロメーターなのか”、という議論もありますからね。確かに、“キムタクドラマ”なのにSFという要素を入れ込んだことはかなりチャレンジングで、硬派な企業ドラマの『半沢直樹』の次のクールというギャップもあって異色さが際立っています。しかし、落ち込みも激しい今期のドラマ全体の中で2ケタを維持できているのは、木村のおかげという声もあります」(芸能ライター)

 ネット上では「最初はなんだこれと思ったけど、なんだかんだ見てる」「一周回っておもしろくなってきた」という声もあるように、ハマり始めている視聴者の声も少なくないようだ。

 視聴率が低調でもカルト的な人気を博した例として、現在3作目の映画『劇場版 SPEC~結~ 爻ノ篇』が公開されている『SPEC』(TBS系)シリーズがある。2010年に連続ドラマが放送された際の平均視聴率は10.5%で、番組の公式Twitterでは「視聴率、ダメでした」と“敗北宣言”まで飛び出した同作品。しかし、11年に発売されたDVDは9日間でTBSの年間売上1位になるなど好調で映画化、ハリウッドでのリメイクまで伝えられた。

「『安堂ロイド』は、本来深夜などで一部のファンをひきつけるようなタイプの作品であることは確かですね。木村主演作という時点で深夜枠はありえませんが(笑)。どうしても奇抜なストーリーに目が行きがちですが、原作に『エヴァンゲリオン』の庵野秀明監督や摩砂雪氏などがクレジットされているように、木村演じる安堂のOSが書き換わった際、“活動限界”というエヴァ的な縛りがあったり、ナース型アンドロイドである本田翼の持つドクロ顔の人形が、複雑なストーリー仕立てでSFファンの間でも話題になった映画『ドニー・ダーコ』のウサギを模したもののようだったり、といったパク…もといネタ探しも楽しめると思いますよ。いっそ謎だらけ設定だらけにして視聴者を混乱させまくって、最初からカルト化を狙っちゃえばよかったんですけどね」(同)

 本田は一度姿を消すものの、8話から復活したことでネット上は沸き返っており、CGを使ったアクションシーンなども「キムタクが吹っ飛ばされるシーンなんかなかなか見れない」となんだかんだで話題を集めている『安堂ロイド』。現在は賛否両論あるものの、カルト人気が高まれば、いずれスクリーンで安堂ロイドの姿を見られることも…?
(文=津本ひろとし)

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