事務所とのドロ沼裁判で判明したビジュアル系バンドの悲哀

alvino0705main.jpg※イメージ画像:ALvino Official Siteより

 1997年にメジャーデビューし、翌年にリリースしたシングル「未来航路」がオリコン初登場3位を果たすなどして、当時は人気の高かったヴィジュアル系バンド『La’cryma Christi(ラクリマクリスティ)』。2007年に解散したが、翌々年には再結成し、再びライブ活動を行っている。同時期である1998年にメジャーデビューし、半年後に日本武道館でワンマンライブを行ったほか、2000年には西武ドームでのライブを果たすなどして、同じく人気の高かったヴィジュアル系バンド『PIERROT(ピエロ)』。そのラクリマのKOJIとピエロの潤、ヴォーカルの翔太が加わり結成されたバンド『ALvino(アルヴィノ)』が、所属事務所とドロ沼裁判を繰り広げていると6月、東スポが報じた。記事によればメンバー3名は金銭トラブルにより、元所属事務所のスウォード社を相手取り訴訟を起こしたのだという。5月20日に東京地裁で行われた本人尋問では、原告の3名が、同社の社長と法廷で直接対決したようだ。

「法廷に現れたアルヴィノのメンバーらはそれぞれ、KOJIがTシャツにデニム、潤は赤い髪に黒ずくめの服、翔太は黒のスキニーデニムにボーダーTシャツ、と、裁判所だからといってスーツを着て来るでもなく、めいめいが普段の服装でそのままやってきた、といった雰囲気。そんなラフな装いに反して、彼らが語った金銭トラブルは深刻なものでした」(司法記者)

 KOJIが法廷で語ったところによれば、2007年1月に契約した当初は、月25万円が月末に振り込まれ、年末には30万に報酬アップ。潤と翔太の報酬はそれぞれ月25万円、15万円。しかし、外部委託の写真撮影、ファンクラブの会報の編集や、レコーディングに関することも自分たちでやらないといけなかったという。それらの仕事に比べて報酬が安いと感じていたそうだ。

「翌年の夏から支払いが遅れて、だんだん酷くなっていきました。支払ってくれるように求めたんですが『今お金がないから待ってほしい』と。自分の報酬は後回しでもいいんで、メンバー2人には先にと言いました。蓄えもあったので。でも2009年から2010年までは厳しかった。蓄えが底をついてきたころで…恥ずかしい話ですが、通帳の残高が一ケタになったこともありました…。そんなときにラクリマクリスティの再結成とライブの話があり、この報酬を全額もらえたら生活できると、社長に相談しました」(尋問でのKOJIの供述)

 ソロ活動の報酬については、8割がアーティスト、2割が事務所、という話をしていたとKOJIは述べている。未払いもあったため、このときは例外として相談したようだ。

「ところが、所属事務所のほうは、ラクリマ再結成で得られるソロ活動の報酬を『未払いの報酬の相殺』と考えていた、と主張しています。一方、KOJIは『そのように言ったことはない』と述べており、真っ向から対立していました。それにしても、一斉を風靡したヴィジュアル系バンドの元メンバーが、月25万円の報酬でファンクラブの会報も自分たちで作っているとは…。顔も知られているからバイトもしづらいでしょうし、世知辛い世の中です」(先の司法記者)

 未払いであるとメンバーらがが主張している報酬額は、KOJIが約1011万円、潤が約339万円、翔太が約191万円、と大金である。

 対する元所属事務所の代表取締役は、代理人を立てず自ら立ち上がり、KOJIにこう質問をぶつけた。

「いいですか? まず、ラクリマクリスティのときは売れてました。そのときの給与は月額30万。それから解散してアルヴィノというバンド。全く経験がない。それに対して月25万。この業界から見れば高いとは思わなかった?」

 ラクリマで活躍していた時期も、報酬は月30万円だったという。そんなKOJIは「思わなかったです。実績のあるバンドは再結成がある場合もあり、その後、その時に、アルヴィノっていうバンドよりも大きい収入があると考えたら、そういうメンバー2名が在籍しているバンド…高いと思わなかったです」と淡々と反論していた。

 この日メンバーらの後に行われた、元所属事務所代表の尋問では「ラクリマクリスティのソロ活動の報酬は未払いの相殺と捉えている。未払いの給料があるということについては認めます。数字は分かりませんが」と答えている。

「社長はスタジオ代が払えなくなり動産執行され、KOJIのギターを競落した人がそれをヤフオクに出品したこともあったようです。また報酬未払いが生じているのに、社長の妻はブログで贅沢な暮らしぶりを綴っているなどメンバーらは主張しているようですね」(冒頭の司法記者)

 裁判所がどう判断を下すのか、注目される。
(文=近藤チカゲ)

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