【フィリピーナのつぶやき】お前の母ちゃんは売春婦!

moneygirl0418.jpg※イメージ画像 photo by stevendepolo from flickr

【フィリピン在住ジャパニーズ・ことぶき太郎が、魅力的なフィリピン娘の生態に迫る】

「お前の母ちゃんは売春婦!(プタ・イーナ・モ!)」

 という、最高の罵倒言葉がフィリピンにある。

 プタは売春婦、イーナは母親、モはあなたの意味だと聞いたことがある。語源はわからないが、スペイン語でもプタ(プータ)は馬鹿野郎とか、くそったれという罵倒する言葉だから、おそらくスペイン統治の産物であろう。

 兄弟喧嘩であったら、自分の母親を罵っていることになるが…、プタに売春婦という意味があるかどうか、辞書を引いたことはない。

 子供の頃、「で~べそ、でべそ。お前の母ちゃん、で~べそ!」と囃したてながらいじめたことを思い出す。プタ・イーナ・モは、そんな程度ではすまない。状況しだいでは、命を懸けて発しなければならない言葉だ。

 自虐的にプタとつぶやくように言うこともあるが、相手に対してはプタだけで喧嘩になる。ピーナに対して(もちろんピノイに対しても)絶対に言ってはいけない言葉である。そして、言われたら最悪であると思って間違いがない。

 よくつぶやかれたり、面と向かって言われたりしていた日本人おやじがいた。

 60歳を過ぎてから、39歳で3人の子持ちピーナと結婚した人である。3度目の結婚。俺より10年間ほど経験が豊富であるにもかかわらず、ものすごい勘違いおやじ。

 何を考えてるのかわからないという人間に、初めて会ったような気がした。

 この人、フィリピンに来た当初住居が定まっておらず、俺の勤務していたホテルに長期滞在していた。その関係で付き合わざるを得なかったのであるが…いやはやなんとも、プタ・イーナ・モである。

 どこの国にも当てはまらない、独自の常識とマナーを持っていた。女に対しての意識も尋常ではない。見栄っ張りで滑稽な持論を展開する。付き合うのも大変であったが、不思議な人間には興味がある。

 フィリピン人の奥さんからの相談事で始まり、そのおやじからの相談と頼りにされてしまったのであるが…結局は別居生活が始まるのだ。それは、この人独自の身勝手な解釈による、欲望妄想生活の始まりだった。

 あるビレッジに小さな家を借り、2カ月交代ぐらいで日本とフィリピンを行き来していた。

 よく金が続くなと思っていたら、日本では借金の山。家を手放し10部屋もないアパート経営。親の財産を目当てに母親と裁判中。と奥さんから耳にした。

 そして、なんとその時には、子どもができていたのである。奥さんは養育費と日本の戸籍取得のために離婚はせずにいた。本人のおやじも、口ではいい事ばかり言うが、本音は揉めごとを起こしたくないだけ。何か言われる前に言い訳をする。

 まあ、言った事は7割ぐらいは実践していたので、それは褒められることではあるが、性欲に関しては70近くなっても異常の域を出なかった。

 一人住まいを始めてすぐ、どこで見つけたのかひと目で悪女ピーナとわかる女を手に入れた。金を盗まれ貴金属を盗まれて警察沙汰。だが、言葉のわからないおやじが悪者になり、そのまま示談。

 手を切れという俺の助言を無視しての始末であったが、その後も未練たっぷり。なぜかと聞いたところ、「アナルセックスを許してくれたから」とのこと。唖然として言葉が出なかった。

 次にメイドとして雇った女をくどいて一発。わざわざ俺に電話をしてきて、メイドが誘ってきてやっちゃったと言う。

 あとでそのメイドが俺のところへ来て、レイプされたから警察へ行くという。話が違う。それも早漏気味で自分だけ満足して、恥ずかしかったのか怒りだしたというではないか…。もちろん警察は止めさせた。

 次は日本語のできるデパートのセールスレディ。被害が出る前に、俺はその女の子と話をして配置換えをした。

 その次はゴルフ場のキャディ。デートに誘ったはいいが、言葉がわからないので俺に電話をしてきて通訳を頼む。彼女だけでなく従姉妹が一緒だった。二日後、その従姉妹からレイプ罪で警察に通報されてしまった。知人の警察官を通して、取り下げた。

 本人に、その意識はない。

 従姉妹に言わせると、初めて会ったのにいきなり抱きつかれてキスをされそうになったという。
おやじに言わせると、挨拶代わりのハグだという。

 とんでもない馬鹿おやじ。

 そして22歳のマッサージの女の子を金で口説いて同居。おやじ曰く、処女でアナルセックスOKだ。そんな…、また変なところでへんてこりんな嘘で飾る。

 そのほかにも、ゴルフ仲間から紹介された若い女の子と契約。

 んっ…契約? その契約書を見せてもらった。週3回のセックスとデートで契約金7000ペソ。その他いろいろ書いてあったが、契約書の写しは彼女も持っているという。

 私は犯罪を犯してます。と証言してるようなものだ。

 そんなことを正しいことだと思って、堂々とやっているのだから不思議な人だった。

 当然のことながら、日本人の友人知人は離れていき、元妻のピーナも養育費と戸籍を獲得したあと、日本で離婚。フィリピンでは、離婚をしていない。なぜかといえば、何かあったらフィリピンで裁判を起こせばいいからだ。妻の権利を主張できる。

 しばらく連絡がなく、ありがたいと思っていたら、元妻のピーナから連絡があり日本で亡くなったという。

 借金を抱え親兄弟と裁判で争い、最初の日本人妻とのいさかい。病死したと言っていた、存命中の二番目の日本人妻とのいざこざ。3歳にも満たない子どもを持ち、糖尿病や心臓病・精神安定剤など7種の薬のほかにビタミン剤・亜鉛剤を常用し、中国産とフィリピン産のバイアグラもどきの薬を愛飲していたエロおやじ。

 フィリピンでは日本人にも嫌われ、友人もなく言葉も覚えず、現地の人間とも親しくなることはなかった。

 最期を看とったのは、最初の日本人妻との間にできた子ども3人のうちの2人と、3番目の妻であったピーナと赤ん坊だけだったらしい。実の母親も兄弟も来ることはなかったという。

 冥福を祈りながらも、あの世で女の尻を追いかけているのではないかと思う。

 私も馬鹿だったけど、あの人はもっと馬鹿だった。と元妻のピーナが言っていた。

 心の中で(プタ・イーナ・モ)と寂しくつぶやいていたことだろう。
(文=ことぶき太郎)

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