号泣、怪我、奇声にたかみなダウン…AKBの握手会が阿鼻叫喚の地獄絵図

 2月9日、10日に埼玉スーパーアリーナで行われたAKB48の全国握手会で、複数のメンバーが怪我をしたり、過呼吸になって倒れたりという事故が起きた。この握手会では、文字通り握手をするほか、ミニコンサートやゲームなどのアトラクションも行われた。だがライブ中に禁止されているかけ声(MIX)や奇声が多数聞こえるなどマナー違反が続出。熱愛スキャンダルのあった峯岸みなみ・柏木由紀のファンが、あえて総監督の高橋みなみの握手レーンに並び、彼女に言いがかりをつけていたともいう。これが事実かどうかは定かでないが、高橋は体調不良で倒れてしまった。

 中でもひどかったのはゲームコーナーだ。この日は『A1グランプリ』と銘打って、チーム対抗のゲーム大会が決行された。ゲーム内容は、周囲に白い粉を大量に配置した円形の特設ステージ上で、ビーチフラッグや綱引きをし、負けた方はステージから脱落して粉まみれになってしまうという、テレビなどでは定番のもの。だがリング上に3チームのメンバー8人ずつ、計24人があがり、お互いを落としあう企画で、悲劇は起こった。

 24人もの人間が乗るにはステージが狭く危険で、一人でも倒れれば将棋倒しに他のメンバーも倒れ下敷きになってしまう。案の定、9日には小柄ながら負けん気の強い石田晴香が押しつぶされ、おまけに鼻を蹴られたショックで号泣してしまう。この事故があったにもかかわらず、翌日も同じゲームが行われ、市川美織が口の中を切り流血、小林茉里奈が腹を押され号泣、仁藤萌乃が過呼吸で倒れて途中退場の惨憺たる結果となった。他の出場メンバーも憔悴しきった様子で、仲間に肩を借り退場していく姿なども見られた。

 まるでキャットファイトだが、あまりに大勢がステージの中央に密集しているため、観客から見て誰が誰かもわからない状態でまさしく「誰得?」のこの企画。さらにメンバーたちにとって過酷だったのは、最下位となったチームに課せられた罰ゲームだ。女性にとって年齢美醜を問わず気になるものが“体重”だが、彼女たちはアイドルであるにもかかわらず罰ゲームで公開体重測定をする羽目になったのである。この罰ゲームは事前にメンバーに知らされておらず、かねてよりポッチャリ体型とファンの間で言われていた島田晴香は泣き出してしまうという後味の悪い物になってしまった。

 さらにひどいのは、そんなメンバーの姿を見て大喜びしている嗜虐的なファンたちがいることだ。今やAKBの握手会には、熱狂的なファンばかりではなく、親子連れや小中学生もイベント感覚でやってくる。メンバーの怪我や号泣する姿を見て手を叩いて喜んでいた無責任で過激なファンの影で、ショックで泣きそうな顔をしたり、顔をしかめて帰って行く人々もいた。

 以前から様々な問題を指摘されていた握手会だが、ここまで負傷者や号泣者を出したのは前代未聞のこと。ゲームの内容はテレビなどでは定番となっている簡単な物だが、実際にテレビでは入念なリハーサルを繰り返して安全性を確保し、出演する芸人も力の加減をわきまえるなど暗黙のルールが存在する。安易に企画だけを真似て安全性考慮やルールの徹底を怠れば、想定外の事故が起こっても不思議ではない。「ファンを第一」と公言するならば、幅広い世代に広がったファンへ向けて何をすることが求められているのか、今一度考えるべきだろう。
(文=潜水亭沈没)

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