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嫌ならファン辞めれば?

成長を支えたのに切り捨て? AKB48運営と古参ヲタの深まる溝


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※画像:2012年AKB48 リクエストアワーより(C)AKS

 峯岸みなみの「丸刈り」事件で世間を揺るがせているAKB48。これを認めて衝撃的な丸刈り謝罪映像を発信したAKB運営にはバッシングが殺到し、ピークを迎えていたAKB人気が猛スピードで凋落していくきっかけになりかねない。アイドル史に残るこの重大事件を受けて、せっかくついていたライトなファン層が「引いて」しまうことで、一気にファン離れが進みそうだ。しかしこの騒動以前に、すでに古参ヲタと運営側の間にも深い溝ができていたようだ。

 選抜総選挙やじゃんけん大会、AKB紅白などAKB48には毎年恒例となっているさまざまなイベントがあるが、つい先日、前夜祭を含め5日間にわたって今年も開催された「リクエストアワード」は、他のイベントとはちょっと趣が違う。普段テレビなどでは流されない劇場公演曲やカップリング曲も含め、AKBと姉妹グループのすべての楽曲の中から好きな曲にファンが投票してランキングを決めるというもので、一般の視聴者らにAKBの存在と人気をアピールするための総選挙やじゃんけんとは違うのだ。どちらかといえば既存のヲタ向けの企画といっていい。とはいえ注目度は非常に高く、今回もYoutubeで全世界発信するなど大がかりなイベントになったのだが…。

 今回のリクエストアワード(以下、リクアワ)が終わったあと、古いヲタはもちろん、初期からAKBを追いかけているメディア関係者までが「これはやばいんじゃないか」という危機感を持ったという。確かに初日に運営が仕込んだチーム対抗企画やグダグダすぎるMC、ゲストを活かさないステージは問題で、プロデューサーの秋元康がGoogle+でスタッフを叱咤した。だが「週刊文春」(文藝春秋)に掲載された、リクアワ初日の晩の食事会を終えて高橋みなみと談笑する秋元氏の姿を見ると、それすらも予定調和だったようにしか見えない。そうではなく、今回少なからぬ人々が抱いた「危機感」とは、MCなどのわかりやすい部分以外の目に見えないところで、運営と古参のファンの間に大きな亀裂が入ってしまったということらしい。

「AKBが、たとえそれが建前でも『ファンと一緒に作り上げていくグループ』であるということは、初期から言われていることです。しかし、今回のこれはあまりにも無責任というか、ファンの声を聞いたというポーズを取るだけで、逆効果だったと思います」(アイドルライター)

 やり玉に挙がったのは「支配人信任投票」という茶番劇。これまでAKB劇場の支配人だった戸賀崎智信がAKBグループの総支配人になり、AKB劇場支配人にはSKE48劇場支配人だった湯浅洋氏がスライドするなど、NMB48を除くすべての支配人が入れ替わることについて、ファンに信任投票を行ったのだ。

「一見、ファンの声を聞こうとしているように見えますが、実際に劇場支配人がどういう仕事をし、どんな決定権があるかなんてファンにはわからない。本当に表面的な部分だけしか知らないから、メンバーの大量離脱を引き起こしたSKEの湯浅支配人をAKBの支配人にしたくないと思う人間は多いでしょうし、ただ気にくわないだけで投票する人も多い。実際、湯浅氏は不信任という結果になり、SKEのメンバーが擁護に回り、『SKE支配人に離れてほしくないファンが不信任にした』という美談に仕立てようとしてブログなどで言及せざるを得なくなった。結果的に湯浅氏はAKB劇場支配人研究生という変な立場になったが、ユーモアを理解できない一部のヲタやメンバーから『研究生は失礼だ』などと的はずれな批判まで噴出。もう運営が考えるよりファンは教条的で意固地だし、ファンが考えるほど運営は万能ではない。昔のように劇場で秋元氏と意見交換できた頃とは違うんですよね」(アイドルライター)

 支配人信任選挙は面白いアイデアではあったが、彼らの仕事ぶりを映像にまとめて公開しておくなどの事前の準備があれば少しは投票の指針になり得たかもしれない。準備が足りなかったこと、そして、特にSKEを中心とした一部のメンバーやヲタによる暴走で、最悪の後味を残してしまったといってもいい。またゲスト出演者の人選にも一部ファンから疑問の声が。

「もともとAKBのイベントは意味不明なゲストが多いですが、今回は武井壮にキンタロー。にハマカーン。旬の人だとしても、AKBのイベントに来る客が見たいゲストだとは誰も思わないですよ。メンバーのMCに不安があるなら、コーナー司会にMCが達者な人を呼んでメンバーと絡ませればいいのに、ゲストのほうが緊張してカミカミになっているんじゃ意味がないでしょう」(ファン)

 リクアワは初期の楽曲もランクインするため、すでに卒業したメンバーがサプライズでゲスト出演することも多く、ある種の同窓会的なイベントでもあった。そのことを鑑みれば、もう少し彼女たちと縁のある芸人を呼ぶという選択もあっただろう。

 だが、最大の問題は、最終日だという。リクアワ最終日は上位25曲が発表されたが、二期生の秋元才加のソロ曲「虫のバラード」が5位、上海のSNH48へ移籍が決定している宮澤佐江のユニット曲「奇跡は間に合わない」が2位、そして志半ばで解散してしまったチーム4の「走れペンギン」が1位。2年連続で1位になっていたカラオケ人気ナンバーワンの定番曲「ヘビーローテーション」は4位にランクダウンと、ドラマティックな結果になったのだが、問題は2位「奇跡は間に合わない」の披露直後に登場した振付師・夏まゆみ氏のスピーチだった。

 立ち上げから数年、AKBプロジェクトに参加していた夏まゆみは、モーニング娘。の振り付けでも有名なカリスマ・コレオグラファーだ。初期メンの中には、秋元康の名前は知らないが、夏まゆみの名前があったからAKBのオーディションを受けたというメンバーもいるほど、影響力の大きい存在だった。しかし実際に彼女の指導を受けたのは、1期、2期のメンバーと3期の一部のみで、その後は疎遠になってしまっていた。前田敦子の卒業コンサートとなった東京ドームコンサートにも、彼女は見学を希望したものの、関係者からはリアクションがなかったという。

 今回のリクアワでの夏まゆみ登場は、的はずれなゲストにうんざりしながら宮澤の2位で盛り上がった懐古派のヲタにとって、感動と興奮の頂点だった。また、彼女のスピーチ「辛いときほど“底力くん”に会えるチャンスだと思え」というのもまた、新しいファンやメンバーの心を打つほど素晴らしいものだった。

「でも、問題はそこなんです。夏先生登場でクライマックスを迎えてしまったので、1位の『走れペンギン』のインパクトが薄まった。運営的には、夏先生と宮澤らのシーンで旧世代を労い、『走れペンギン』で新世代の盛り上がりっぷりを打ち出したかったんでしょうけど、完全に持っていかれてしまったんですね。しかも島崎遙香センターの楽曲が1位をとったということで、島崎ファンが増長していて、ネットで『島崎のおかげだ』と騒ぎすぎ、他のチーム4ファンから反感を買うというおまけ付き。そして最後の最後に、最悪の支配人信任投票結果発表ですから、余韻も何もない…。古参ファンが『夏先生を総支配人、いやプロデューサーにしろ』って騒ぐのも無理はないですよ」(前同)

 これらの声から伝わってくるのは、新規ファンはともかくとして、古参ヲタとAKB運営との間には深い溝ができているということである。古参にとっては、今のAKBが「場当たり的にサプライズをしかけるだけ」に見えるようだ。初日にダメ出しされたMCを含めた構成をなんとか形にしたのは峯岸みなみと指原莉乃の「バラエティコンビ」で、彼女たちの手腕は光ったが、その峯岸は冒頭で記したように、熱愛スキャンダルを暴かれて頭を丸め、研究生降格となってしまった。オリジナルメンバーと2期生が次々にAKBを離れていきもはや数人しか残っていない今、古参ヲタも一緒にグループを卒業した方がいいのかもしれない。ただAKBがここまでのグループに至るまで、成長を支えてきた自負があるファンとしては「運営に切り捨てられる」という忸怩たる思いもあるようだ。
(文=潜水亭沈没)


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