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「伝説のおかま」東郷健が死去! マイノリティ解放に生きた偉人の足跡


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※イメージ画像:『薔薇門』/ダイキサウンド

 「伝説のおかま」と呼ばれた政治活動家・東郷健氏(享年79)が他界した。FMラジオのパーソナリティーなどを務める巨匠マドモアゼル・マダム・キタロー氏や、東郷氏と親交のあった劇作家・高取英氏、歌手の渚ようこさんらがネット上で訃報を伝えている。それによると、4月1日に亡くなったとされている。

 1932年に兵庫県加古川市で生まれた東郷氏は、衆議院議員の祖父、兵庫県議の父を持つ名家で育ったが、父母の死後に財産分与で異母兄と衝突。遺産相続権を失い、親族と絶縁状態になって銀行員、ガソリンスタンド経営など職を転々としたとされる。その後、事業失敗による負債を返済するためにゲイバーを開き、ゲイ業界に進出する。上京後は新宿二丁目などでゲイバーを経営する傍ら、株式会社噂の真相が発行するゲイ雑誌「The Gay」(現在は休刊)などの編集長を務め、エイズ啓蒙活動やゲイのための診療所開設。さらに、政治レベルからマイノリティの人権解放を訴えるために政治団体「雑民党」を結成し、衆・参議院選や東京都知事選に立候補した。また、寺山修司の劇団「天井桟敷」とコラボした名盤『薔薇門』は、マニアの間で伝説のレコードとして評価されている。

 彼を一躍有名にしたのは、立候補時の過激な政見放送である。「おかま」「おチンチン」「セックス」などのワードを連発する東郷氏の政見放送は異質であった。放送禁止用語を使うことも多く、「おかまのどこが悪いのや。びっこがなんで悪いのや。めくらを差別したらあかん」という発言もあった。また、「メカンチ」「チンバ」という言葉を使った政見放送で、NHKが該当の音声を削除して放送したため、それを不服として裁判を起こしたこともあった(東郷氏が敗訴)。メディアを揶揄する「マスゴミ」という言葉も、東郷氏が政見放送で使ったのが最初とされる。

 同性愛者でありながら結婚して子供もいる東郷氏だが、政見放送では「ゲイの人達は『結婚せなあかん』という偽りの結婚をしてしまいます。男が男を愛することへの差別からくるものです。(中略)私も三人の子供があり、偽りの結婚もしました」と、世間体によって偽装結婚せざるを得ないゲイの現状を訴えている。

 1977年の衆院選の選挙公報では、伝説として語り継がれる以下の政見文が掲載された。

「オカマ、パンパン、妾、ホステス、サド、マゾ、レズと差別され区別されているあなたへ送る愛の詩 もしもあなたが異常者と呼ばれ 変態扱いされるのなら 私は言おう あのロッキードの黒幕達に 平気で嘘を言っているお前たちこそ異常だと さあズボンのチャックをひきずり下ろせ 戦争にまつわる資本家共に向かって 君の銃口を立てて発射せよ」

 マイノリティ問題の議論が盛んになる20年以上も前、今より遥かに風当たりが厳しかった時代に、このような主張を公の場で展開していたことに驚きと畏敬の念を抱かざるを得ない。泡沫候補として当然のように毎回落選していた東郷氏だが、この強烈なメッセージは多くの人々の心に残り、熱烈な政見放送マニアまで生み出している。71年から95年まで、東郷氏は十数回にわたって各選挙に立候補し、マイノリティのための主張を訴え続けた。

 天皇制廃止論者であった東郷氏は、それゆえに右翼から襲撃されたこともある。1984年、東郷氏らが『新雑誌X』に昭和天皇がマッカーサーに犯されているイラストを掲載。これに激怒した野村秋介氏(93年死去)と一水会代表(当時)の鈴木邦男氏が東郷氏の“襲撃”を指示し、右翼青年によって新宿の路上で大ケガを負わされている。

 生前、東郷氏が筆者に語ったところによると、右翼の大物で日本愛国党総裁の赤尾敏氏に「おかまが選挙に出るとは許せん」と、木刀を持って追い回されたこともあったそうだ。だが、赤尾氏が1990年に死去する数年前に突然、彼が東郷氏の元を訪れ、「お前には負けた」と言い残して去っていったという。どんな圧力にも屈さず、供託金を毎回没収されながらも選挙に出続けた東郷氏の存在は、右翼の大物にとっても認める価値があったのだろう。

 今やマツコ・デラックス、ミッツ・マングローブ、はるな愛らオネェタレントがテレビでもてはやされ、昔に比べれば同性愛者は市民権を得ている。その道筋を開いて先鞭を付けたのは、間違いなく東郷氏だったといえるだろう。彼の主張の是非は賛否両論あるが、差別を受けようと襲撃されようと考えを一切曲げなかった強い信念は賞賛に値する。だが、そんな東郷氏も晩年は週刊誌に「ホームレス寸前」と報じられ、2006年に新宿ゴールデン街にバーをオープンさせるも昨年閉店するなど、残念ながら不遇だったようだ。

 「せめて、自らに恥じなく眠りたい」が座右の銘だった東郷氏。信念を貫き通した彼の生きざまに、恥ずべき点は一つもないだろう。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops

『常識を越えて―オカマの道、七〇年』


まさに伝説でした。ご冥福をお祈りいたします。

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