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壮絶!夫婦ゲンカで硫酸のぶっかけ合戦


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※イメージ画像 photo by Hannah Johnson Photography from flickr

 東京・世田谷区に住む国立音楽短大講師のFさん(25)は、妻のE子さん(24)とかなり険悪な関係になっていた。2人は以前から夫婦仲が悪かったのだが、最近になってFさんが別れ話を切り出たためにE子さんが反発。夫婦ゲンカが絶えない状態になっていた。

 そして昭和36年7月6日の朝8時頃、些細なことから2人は言いあいになり、やがて激しい口論になった。それによって頭に血が上ったE子さんは家を飛び出すと、近くの薬局に駆け込んだ。そして、購入したのは何と「硫酸」だった。

 硫酸を入手するのは、実際にはそれほど困難ではない。ただし、薬局や薬店であってもどこにでも常備してあるとは限らないし、劇物扱いになるため購入するには印鑑が必要である。もしかしたら、E子さんはあらかじめその近所の薬局に硫酸が置いてあることを確認していたのかもしれない。

 ともかく、E子さんは薬局で希硫酸300ミリリットル1ビンを買い求めた。希硫酸とは適当に希釈した硫酸である。濃硫酸は粘度が強く扱いにくいため、適当薄めたものが売られている。その硫酸を持って自宅に戻ると台所に行き、そこにあったドンブリに硫酸を注ぎ入れると、それを部屋にいたFさんの顔面に浴びせかけた。

「ギャーッ!」

 顔などに凄まじい痛みと熱さを感じたFさん。ところが、それでもFさんはE子さんからドンブリを奪い取り、わずかに残っていた硫酸を彼女目掛けて放った。E子さんは両手に硫酸を浴びた。

 2人はただちに国立世田谷病院に収容された。医師の診察の結果、Fさんは顔や胸に全治3週間の火傷を、E子さんも両手に全治1週間の火傷を負った。それにしても、夫婦ゲンカに硫酸を使うとは、何とも凄まじい話である。

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事件を報じた当時の新聞。「毎日新聞」昭和36年7月6日夕刊より

 しかも、同様の事件がこの直後に発生している。事件から20日後の7月26日朝8時頃、やはり東京・世田谷区で49歳の男性が寝ていたところ、40歳の内妻からワインのビンに入れた硫酸をかけられ、上半身に全治1カ月の大火傷を負った。その際、男性がもがいて手で払いのけた硫酸が飛び散り、内妻やそばで寝ていた13歳、12歳、2歳の子供たちにもかかり、いずれも2週間の火傷を負った。犯行の動機は、夫婦仲の不和だった。この事件が先の事件に触発されたものかどうかは分からないが、その可能性も否定できない。

 ちなみに、化学に詳しい知人に聞いたところ、硫酸や塩酸などの強酸類は確かに危険ではあるものの、すぐに水をかけるなどの処置さえ行えば火傷も軽くすることが出来るため、一般に言われているほど恐くはないという。むしろ、「水酸化ナトリウムなどの強アルカリ性の薬品などのほうが、粘膜などの組織を分解してしまう作用が強いので、そちらのほうが格段に恐い」とのことである。
(文=橋本玉泉)

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