2011年テレビバラエティー10大ニュース

 東日本大震災、福島での原発事故、台風による水害、中東で吹き荒れた革命の嵐にビン・ラディン、カダフィ、金正日といった独裁者たちが相次いで死亡した2011年。まさに激動の1年と呼ぶに値する今年、当記事ではそんな1年間に起こったテレビバラエティー界での10大ニュースをお届けしたい。

shimadashinsuke1222.jpg※引退会見時の紳助氏

【紳助引退】
 今年のテレビバラエティー界を振り返る上で決して欠かせないのが島田紳助の引退。日本のテレビ史でも重大な位置を占める大物芸人の引退理由は暴力団幹部らとの黒い交際だった。ポスト紳助というイス取りゲームは来年あたりから本格化するだろう。

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【大御所、逝く】
 『オレたちひょうきん族』(フジテレビ系)などの人気番組を手がけた名プロデューサー・横澤彪が死去し、坂上二郎や立川談志らの大御所芸人が相次いで亡くなった。テレビの黎明期を知る彼らの死は、新しいテレビバラエティーの時代を告げるものになるのだろうか。

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fujikougi1222.jpg※イメージ画像(参照記事より)

【フジ抗議デモ】
 俳優の高岡蒼佑のツイートに端を発すると言われている「フジテレビの偏向放送に対する抗議デモ」は、8月に2度行われ、延べ参加人数1万人を越す大規模なものとなった。これを機に、多くのネットユーザーは、韓流批判をする芸人を持ち上げ、韓流に媚びる芸人を叩くようになった。芸人たちも、どの立ち位置をとるのか模索したことだろう。ほとんどが触らぬ神に祟りなしだったが。

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fujimori1222.jpg※イメージ画像:「夏あげモーション」オリラジ藤森慎吾&あやまんJAPAN

【コンビのバラ売り本格化】
 フットボールアワーの後藤輝基やオリエンタルラジオの藤森慎吾のように、コンビでありながらピンでの仕事を豊富にこなす芸人が急激に増加した。制作費を安く抑えながら、より効率のいい笑いを求めるという現場の判断がこうした結果を生んだのだろう。来年以降もこうした傾向はますます顕著になるに違いない。

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arashinisiyagare1222.jpg※イメージ画像:日本テレビ『嵐にしやがれ』オフィシャルサイトより

【アイドルバラエティーの躍進】
 年間平均視聴率13.5%の『嵐にしやがれ』(日本テレビ系)、12.9%の『VS嵐』(フジテレビ系)、12.0%の『ひみつの嵐ちゃん!』(TBS系)という数字を残した嵐の地位はすでにバラエティー界でも不動のものだが、さらにそこに関ジャニ∞という刺客が本格参戦してきた2011年。来年には、中居正広が自分の番組で起用しているKis-My-Ft2もバラエティーに本格進出することだろう。

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pikaruteiri1222.jpg※イメージ画像:フジテレビ『ピカルの定理』オフィシャルサイトより

【ピカル芸人のブレイク】
 ピース、平成ノブシコブシ、渡辺直美といった実力ある若手がブレイク。これまでのネタブームや一発屋ブームで出てきた芸人たちとは違い、ファミリー感のある若手が一挙に売れたのは「はねる」以来といえる。若い世代から圧倒的に支持される彼らの前途は明るい。

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katoucha1222.jpg※イメージ画像:加藤茶オフィシャルブログ「加トちゃんぺ」より

【芸人たちの金星ラッシュ】
 さまぁ~ずの大竹一樹は女子アナを射止め、落語家の林家三平は女優、Take2の東貴博は元グラビアアイドル、そして68歳の加藤茶が23歳の一般女性と結婚するなど、芸人たちが次々と金星を挙げた1年だった。

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panku1222.jpg※イメージ画像:『爆笑オンエアバトル パンクブーブー』
よしもとアール・アンド・シー

【パンクブーブー2冠達成】
 M-1終了の発表から1年を通して話題を振りまいた「THE MANZAI 2011」。参加漫才師1,516組の頂点に立ったのは2009年にM-1を制したパンクブーブーだった。「絶対にスターにならないといけない」と語る彼らに与えられた賞品はフジテレビのレギュラー番組というもの。コケるワケにはいかない番組作りに注目だ。

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kitanotakeshi1122.jpg※イメージ画像:『別冊+act. Vol.6』/ワニブックス

【たけし全局制覇】
 4月からNHKBSプレミアムで『たけしアート☆ビート』を始めたビートたけし。これによって、”全テレビ局冠番組制覇”という偉業を成し遂げた。気になる総番組出演料については、10億ともそれ以上とも報道があったが、実際は全盛期に遠く及ばないということ。その半分程度というところだろう。

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【ナイナイ復活】
 昨年の療養復活から年が明け、今年は何かタガが外れたように勢いのあったナインティナイン。視聴者離れが危惧される使いづらい大御所芸人と、まだまだ数字的にも認知度的にも不安な要素の感じる中堅の間というポジションが彼らの飛躍を支えたといえる。これからの若手の台頭のためにも、彼らの大御所化はテレビバラエティー界にとって大いなるプラスとなるだろう。

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 今年7月にスタートしたテレビの完全地上波デジタル化。テレビバラエティー界にとって、まだ直接の影響はないに等しいといえるだろうが、年末を迎えて相次いで発売されている各メーカーによる「全録ハードディスク」の普及具合によっては、根本的な作り方を変えなければならなくなるだろう。つまり、制作サイドにとって重要な番組作りの要素となっていた視聴率や時間帯という判断材料が使えなくなるということだ。もちろんそれらの要素がまったく無意味ではないにしろ、いつでも好きなときに好きな番組を見ることのできる全録によってその重要度が下がるのは当然だろう。そして、そんな既存のシステムが打ち破られる変革期に台頭するのは若い世代だ。紳助引退という衝撃のあった2011年だが、来年の今頃記者は、「紳助引退を皮切りに始まっていたテレビバラエティー界の大再編」という記事を書いているかもしれない。

(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/
著書『松本人志は夏目漱石である!』(宝島社新書)

『オレたちひょうきん族 THE DVD 1981-1989』

 
紳助が引退したため再販は無理かも?

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