知らぬ間に蔓延!? 「無痛ケジラミ」の恐怖

holdcruch1201.jpg※イメージ画像 photo by bbheart from flickr

 ほとんど報道されることがないが、医師や風俗嬢などに聞いてみると、STD(性行為感染症)にかかるケースはかなり多いとのことだ。すでに数年前からエイズ(後天性免疫不全症候群)や梅毒といった、重篤な症状に至る可能性のある感染症患者の増加が懸念されているものの、国や行政は果たしてどれほどの施策を実施しているのであろうか。

 さて、STDといってもその種類は非常に多い。上記2種類のほか、淋病(淋菌による感染症)、クラミジア感染症、ヘルペスなど、その数は20種類以上にも及ぶという。

 その中で、ある意味最も深刻度が低く、それゆえに実態が判明しにくいのが「ケジラミ感染症」である。

 ケジラミとはシラミ目ケジラミ科の昆虫。体長は約1ミリから1.5ミリで、ひし形で横にやや長い体型を持ち、その外観はカニに似ている。主に陰毛やその根元の皮膚に寄生し、激しいかゆみを生じさせる。セックスなどの直接接触によって感染するほか、シーツやタオルなどから感染することもある。しばしば誤解されるのだが、ケジラミはもっぱら陰部やその周辺に寄生する。ケジラミと言うくらいだから毛に寄生すると思われている向きがあるが、実際には毛の生え際の皮膚にしがみついており、陰毛には卵を産みつける。また、頭髪や頭皮には毛質や皮膚の状態が異なるために寄生できない。たまに「まつ毛にケジラミが寄生した」などというケースを雑誌で見かけたりするが、かなり疑わしい話である。あったとしても、極めてまれな事例だろう。

 さらに、寄生したケジラミは水や洗浄に非常に強い。シャワーや入浴ではびくともしない。熱には弱いが、風呂のお湯程度の温度では死なない。

 治療には剃毛と駆除薬(例:スミスリンパウダー)が極めて有効。ただし、毛に卵が産みつけられている場合は、陰毛をすべて剃り落とす必要がある。駆除剤には卵を殺す効果のある製品も販売されているが、万全を期すには剃毛が効果的である。

 このケジラミ感染症は、STDの中でも受診や通院なしに完治する。病院で受診しても、医師から「薬局やドラッグストアで売っている駆除薬を使えば大丈夫」といわれることがほとんどだ。駆除剤は、パウダー状のものが1,000円前後、シャンプータイプでも3,000円程度である。また、剃毛するだけでも繁殖できなくなるため、日が経てば寿命が来て全滅する。

 ケジラミ感染の唯一の特徴にしてデメリットは、「とにかくかゆい」ことである。人によっては、仕事も手につかず、夜も眠れないほどかゆいケースもあるらしい。

 ところが、まったく逆に、ほとんどかゆみを感じないケースもあるという。筆者もそうしたケースに何人かあったことがあるが、「彼女から言われて気付いた」とか「トイレで自分の股間を見たら、毛の間に何か動いていたので分かった」といったパターンである。

 ある男性(39歳・独身)は、どうやら風俗で感染した(らしい)というが、気付かないまま何週間も放置していたという。そしてある日、陰毛に「妙なツブツブ」があるの見つけ、発覚。試しに抜いてみると、まるで稲穂のように小さな粒がたくさんついていたのでネットで調べるとケジラミの卵と分かった。

 驚いた男性は、まずはきれいに剃毛。かなりの毛に卵が産みつけられており、その多さにすぐまとめて灰皿で燃やしたという。

 次に、剃った股間やその周辺を見てみると、皮膚にシミのような、色がやや異なった小さな箇所がいくつもある。「もしや」と思った男性は、試しにピンセットでそのシミのようなところをつまんでみると、果たしてそれはケジラミだった。そのままつまみ上げると、ベリッとかすかな音がしてケジラミが剥がれた。かなりしっかりと皮膚にしがみついていたらしい。「剥がす時には、ちょっと痛かったですよ」

 剥がれたケジラミは、「やや大きめのフケかかさぶたのような外見」で、足を引っ込めるとゴミのようにしか見えなかったという。

「このまま捨てて、どこかに逃げられたら気持ち悪い」と思った男性は、近くにあったライターの火でケジラミをあぶった。すると、「一瞬にして死んだ」という。もう一度やってみると、さっと火に近づけただけでケジラミは死ぬことを確認した。

 そこで男性は、片っ端からケジラミをピンセットで剥がすと、ライターの火で処理した。1時間ほどで、50匹以上のケジラミが処理できたという。

「でも、いつまでやってもキリがないので、翌日には薬局で駆除パウダーを買ってきましたけれどね(笑)」

 幸い、男性には彼女も奥さんのいなかったため、誰かに感染させることはなかったようだ。しかし、気付かずに放置してパートナーに感染させてしまい、トラブルになったケースも珍しくないという。「かゆみ」よりも、そうした人間関係への波及に気をつけるべきかもしれない。
(文=橋本玉泉)

 

 

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