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「談志が死んだ」異端者であり破壊者である立川談志の目指したもの


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※画像は『談志の落語 八』静山社より

 1936年(昭和11年)、東京に生まれた落語家の立川談志が2011年11月21日、息を引き取った。戒名は「立川雲黒斎家元勝手居士」(たてかわうんこくさいいえもとかってこじ)。生前、彼が決めていたものである。また、「俺が死んだら、新聞には"談志が死んだ"と書いてくれ」と彼は言っていた。死んでなお、洒落を貫く姿勢はさすがとしか言いようがない。本記事も、そんな彼への敬意と哀悼の意を込めて"談志が死んだ"をタイトルにさせてもらった。

 そんな立川談志を語る上で欠かせないのは、「古典落語」「笑点」「参議院議員」というキーワードだろう。

 1952年、高校を中退した談志は5代目柳家小さんに入門。柳家小よしと名乗り、落語家人生をスタートさせる。1954年には二つ目に昇進し、柳家小ゑんに改名した談志は、このころから寄席のほかに日劇ミュージックホールなどにも出演、ジーパン姿で漫談を披露する。その後、後輩であり最大のライバルといわれた古今亭志ん朝に真打の昇進で先を越されながらも、1963年、立川談志を襲名後、真打昇進。古典落語の名手として高い実力と人気を示した。

 1966年、現在も人気番組として続いている『笑点』(日本テレビ系)を企画立案した談志は、初代司会を務め同番組の礎を築く。晩年、ほとんど番組に関わらなかった彼も、雑誌のインタビューや自身のラジオ番組などでは、ことあるごとに笑点の話題を持ち出していた。思い入れは相当強いのだろう。

 そして笑点で全国的な知名度と幅広い層からの人気を確立した彼は、1969年、衆議院議員選挙に立候補。惜しくも落選するが、1971年、再び国政に挑み、見事参議院で当選を果たした。しかし、議員になったからといって、それまでの破天荒で直情径行な性格が変わるわけではない。沖縄開発政務次官として沖縄海洋博覧会を視察した談志は、二日酔いで記者会見に臨み、「寄席があるから」と言ってはたびたび国会を欠席した。なぜそんな彼が国政に興味を持ったのかはわからないが、彼の議員活動は1期6年で終わることとなる。

 公私ともに親交のある爆笑問題の太田光は、後に談志の議員活動について、「あれが言いたかっただけでしょ。"寄席があるから"ってやつ。そう言って国会を欠席するってことがやりたかっただけじゃないですか」と自身のラジオ番組内で語っている。なるほど。つまり談志は絶対的な力の象徴ともいえる国にケンカを売ったわけだ。しかも、ただ売るのではなく、その中に入って売る。そこには、常人では計り知れない美意識と談志特有の筋道が伺える。

 思えば、彼が笑点を企画し放送を開始した1960年代、テレビにはまだ純粋なタレントがいなかった。当時テレビで活躍していたのは、舞台コメディアンや落語家、放送作家という人々だった。そんな彼らは、それまで培ってきたものをそのままテレビで披露するということに終始する。しかし談志は違った。彼はあくまでもテレビという新しいメディアに合ったものを模索し続けた。その集大成が大喜利を主体とした笑点だったわけだ。もちろん、彼のほかに萩本欽一やザ・ドリフターズなど、早くからテレビを意識した人々も多い。しかし彼ほど「テレビタレント」というものにこだわり、自身の根底である落語に限らずさまざまな分野に挑戦した人間も珍しいだろう。そこには、未だにどこか高尚なイメージのある落語というものに対する反発があったのかもしれない。

 立川談志という人間は、とことんまで"絶対的なもの"に対して反抗する。それは国であり、「人間の業を肯定するもの」と称した落語であったといえる。そう考えると、「拉致被害者の家族は、拉致されるような場所を歩かせていたことを恥じるべきだ」という彼の発言もまた、絶対的に不幸だという世間の意見に対し述べたものなのだろう。そして彼は人間にとって絶対である死に対しても、洒落をきかせることによって反抗した。自らの生き様を肯定する見事な死に様といえるだろう。不世出の異端児である立川談志の冥福を祈る。

(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/
著書『松本人志は夏目漱石である!』(宝島社新書)

『落語決定盤 立川談志 ベスト』


ご冥福をお祈りいたします

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