『堕落劇場 美しい女が信用できないコレだけの理由。 』吉沢明歩

 美しい薔薇には棘がある。では、なぜ美しい薔薇は棘を持つようになってしまったのだろう?

 この作品は、薔薇のように美しい女・吉沢明歩が、棘だらけの危険な女へと変わっていった理由と、悲痛なアクメに嘆く断罪の模様を描いた転落物語である。

 かつて彼女は、情緒不安定なDV男を恋人に持っていた。しかし、どんなに暴力を振るわれても、時折彼が見せる優しさと、彼女自身の気の弱さから別れを切り出すことができなかった。そんなある日、些細な誤解から彼は自殺を図ってしまう。突然の悲劇に嘆く明歩であったが、依存する相手を失ったショックから、突如人格が崩壊してしまう。死体を見つめながら冷たく笑う氷の女へと……。

 美貌を武器に次から次へと男を惑わせ、妖しい笑みを浮かべては濃厚なフェラで男を堕としていく彼女。やがて、一人の男と結婚を前提に同棲を始めるまでになるが、彼女は罪を繰り返すことを止めなかった。

 そして遂に、美しき薔薇の棘が無残に削ぎ落とされる日がやってくる。

 婚約者に見放された彼女は、罠とも知らずに暗い地下室を訪れる。そこで待っていたのは、欲望に飢えた鬼畜な牡たち。見知らぬ男たちに次々と襲われた彼女は、必死になって抵抗するが力及ばず、屈辱のセックスを重ねていく。そして抵抗する力を失った時、本当の地獄を知ることになる。

 調教、競売、性奴隷。美しすぎたがゆえに女であることに溺れ、快楽に堕ちてしまった弱い女を見事に演じきったあっきー。汚い欲望汁で美顔を汚される度、力なく男を見上げ恍惚を浮かべる表情は、棘より鋭い「悦楽」という名の武器そのもの。見る者を突き刺しながら、己の運命をあざ笑う女の姿に、これぞ女優・吉沢明歩の新境地だと確信を覚えた。
(文=文月みほ)
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