【テリー・天野のメンズ的映画評 第7回】

オッパイ、お尻、コスプレ、女闘美!! 何でも揃った男のお子様ランチ映画、参上!!

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 さぁ、ひさびさに強烈な映画がやってきたよ!! TV局のエライさんが会議でテキトーに組み合わせたキャストで「病気で死んで悲しいね」的ドラマを繰り広げる、そんなヘドが出る女子向け邦画に風穴を開ける快作だ!!

 その名も『ビッチ・スラップ』!! いきなり”ビッチ(売女)”に”スラップ(ビンタ)”と、タイトルだけでワクワク。映画界のドカメシ(漫画『ドカコック』より)的桃源郷が広がる素晴らしさだよ!!

 2億ドルのダイヤ強奪を企てた3人の女たち――ムショ帰りの娼婦ヘル(エリン・カミングス)、麻薬売人のカメロ(アメリカ・オリヴォ)、そして2人についてきたストリッパーのトリクシー(ジュリア・ヴォス)。彼女たちはダイヤの持ち主である暗黒街のボス・ゲイジを拉致せんと、砂漠のど真ん中にある彼の隠れ家にやってくる。

 だが、そこでのゲイジの態度にカッときたカメロは、勢い余って彼をブチ殺してしまう。

 なりゆきとはいえ、思いっきりアセる美女たち。ダイヤはどうするのよ? いやそれより、これがケイジの上司であるピンキーに知れたら一大事! ヤツは泣く子も黙る伝説の大ボスだ!!

 ピンキーの追っ手が来る前にダイヤを探せと躍起になる3人。そこにカメロを恨むコギャルのキンキ&パンク野郎のイカれカップルや、事情も知らず接近してきた保安官など面倒な連中が次々と現れ、そのつどピンチにさらされる。おまけに互いに対する不信感もグングン芽生え、そしてついにピンキーの影が彼女たちの背後に!!

bitch01.jpgどうする? どうなる? 巨乳美女軍団!!

 でも、こんなストーリーは正直あってないようなもの。『ビッチ・スラップ』は主役3人のセクシーダイナマイトぶりにこそ、存在意義と価値がある。セクシー美女が展開上なんの必要もないのに水をかけあい、全身びしょ濡れになりながらじゃれ合い、しかもそのつどドアップになる胸元にケツ! おまけに「ボイ~ン」とか「ドッカ~ン」とか効果音が入るのだ。たまに話がサスペンスっぽい様相を見せるけど、天使姿でストリップしたり、尼僧服の下に革ビキニ着てたりと、人様にマジメにモノを見せようという態度がさっぱり感じられない。もちろん褒めているのだけど。

 思えば70~80年代には、こういった必要なものしか盛り込まれてない、男のための映画がゴロゴロしてたのにね。最近じゃ洋画も邦画も女子供向けの小奇麗な映画ばかりが横行し、この手のはすっかり横に追いやられてる感がある。

 でもこうやって、たまには出てくるから嬉しいよね。観る者の脳細胞がプチプチ音を立てて死んでいく、無意味だけど意味のある映画が。本作のようなセクスプロイテーション映画が、本当はもっともっと量産されて欲しいんです。そしていつか、このジャンルの大家である故・アンディ・シダリス大先生が再評価される日も……来るんだろうか?(笑)
(文=テリー天野)

◆『ビッチ・スラップ 危険な天使たち
監督・脚本:リック・ジェイコブソン
出演:ジュリア・ヴォス、エリン・カミングス、アメリカ・オリヴォ
製作年:2009年
劇場:シアターN渋谷
公開日:2010年10月23日(土)~
上映時間:109分
配給:リベロ/日活

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