『芸能人 原紗央莉 性欲、進化と深化』原紗央莉

 カメラの前で筋書きのないセックスを魅せること。それはどんな一流AV女優であっても、羞恥を伴うものである。ドラマであれば別の自分になりきることで恥ずかしさは克服できる。しかし、「素のセックス」を晒すことは、己の欲望を剥き出しにすること。女優という仮面で隠し通すことのできない人間性までも浮き彫りになりかねない行為なのである。

 今年1月。押しも押されぬトップAV女優の原紗央莉ちゃんが、そんな葛藤を乗り越え、筋書きのないセックスだけを魅せる作品『芸能人 原紗央莉 22歳、性欲、覚醒』をリリースした。自身でも女優人生のターニングポイントとなったと公言し、話題を呼んだ作品なので覚えている方も多いと思う。あれから半年。彼女は、再び決意をした。もっと深い素顔を曝け出す覚悟を決めたのだ。それが本作『芸能人 原紗央莉 性欲、進化と深化』。

 前回は、男が変わる度に変化していく生身のセックスがテーマとなっていた。今回はそこに『焦らし』という要素が追加。尋常ではない精神状態へと追い込まれた彼女の、欲望の深層に潜む核を抉りだしていく作品となっている。

 オープニングのセックスから、トランス状態でまぐわう紗央莉ちゃん。長い愛撫に痺れを切らし、大きな目を見開いて男に挿入を懇願。挿入されると、待ち焦がれたというように自分から腰を突き出し肉棒を奥へと飲みこんでいく。その様子は衝撃的だが、これはまだまだ序盤。続くシーンでは、椅子に拘束され、目隠し+ヘッドフォンで、身動きだけでなく、視覚聴覚までも奪われた状態で全身をねちっこく愛撫され、極限状態まで焦らされてしまう。2人の男の指や舌先が触れただけで「ひっ」と喉を鳴らして反応する様子は生々しく、口を半開きにして喘ぐ顔は、性器のごとく卑猥。彼女にこんな表情があったとは信じられないほどイヤらしい。

「いぎたい、いぎたい~っ!!」

 肉感的な四肢をビクビクと震わせて、唸り声をあげる彼女。性欲だけに全てが支配されてしまったのだろうか。2本の肉棒が差し出されるや、白目をむきながら唾液を滴らせ、すすりあげていく。そうして迎えたラストファック。狂えるセックスを魅せる紗央莉ちゃんは、雄の体液を放出させることが雌の使命だとでも言わんばかりの貪欲さを剥き出しにしていく。

 羞恥心を薙ぎ払った一流女優の覚悟を観たようで、息を飲んだ筆者。もし彼女のような女性が身近にいたなら、男女の性別を超えて誰もが彼女に夢中になってしまうだろう。原紗央莉という女優は、この作品によって最も罪深い女になったのかもしれない。
(AV評:文月みほ)
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