制作費10億円の特撮ドラマ『大魔神カノン』主演女優・里久鳴祐果インタビュー

0424rikuna004TOP.jpg天真爛漫という言葉が似合う女優・里久鳴祐果(りくな・ゆか)ちゃん

 かつて大映が制作した特撮時代劇映画『大魔神』が、44年の歳月を経た今年、テレビドラマ『大魔神カノン』(テレビ東京系)として復活した! しかも、テレビドラマとしては異例の10億円という制作費が投入されることも、放映前から話題になっていた。一大旋風を巻き起こした映画版のファン、特撮ドラマファンなどの注目を集めるこの作品で、ピュアな魅力溢れる主演・カノンを演じる里久鳴祐果ちゃんにインタビューを決行。暗い表情が多いカノンですが、素顔の祐果ちゃんは、笑顔が明るい、キュートでフレッシュな女の子でした!

──まず、デビューのきっかけは何だったんですか?

祐果 スカウトでした。テニス部の練習の帰りに、池袋で。最初は信じてなくて、かなり引きながら(笑)名刺をいただいて帰ったんです。家で母に相談して、電話してもらって、後日事務所に行きました。

──元々芸能界に興味はあったんですか?

祐果 いえ、全然(笑)。でもカメラテストを受けてみて、人に『見せる』ために写真を撮ったのが初めてだったので、緊張したと同時に興味も持って。現場にいたタレントさんたちとのお話も楽しかったし、新しいことをしてみたいなと思って芸能界入りを決意しました。母は「やりたいようにやったほうがいい。後悔はしないように」って言ってくれましたね。

──当時は高校生でしたよね。

祐果 高2でバリバリのテニス少女でした。学校には芸能活動のことを内緒にしてたんですけど、部活の合宿のときに事件が起きて。日に焼けて真っ黒になっちゃうんで、事務所の社長からは「部活は抑えて」って言われてたんですけど、合宿には行かざるを得なかったんです。だから先生には「家庭の事情で」って言って、6日間の日程のうち、3日目で迎えに来てもらうことになってました。で、社長が来てくれたんですけど、宿舎に電話するときに「芸能プロダクションの者ですけど」って名乗っちゃって。先生は「えー!?」みたいな(笑)。

──修羅場ですね(笑)。

祐果 結局、先生たちと社長と私とで話し合いをしました。みんなピリピリしてるし、先生には叱られるし「学校は芸能活動を認めていないんだから、仕事とテニス、どっちをとるか決めなさい」って迫られましたね。で「テニス部は今日で辞めます」って答えたんです。ところが、辞めるにしてもその日はもう帰れないし、合宿中何するの? って聞かれて。ボール拾いとかをしようと思って「雑用をします」って返事をしたんです。でもその合宿にはOBの先輩方も参加してて「私たちはテニスを教えてあげたいから、最後まで一緒にテニスをしよう」って言ってくれて。いい先輩たちでしたね。あの言葉は忘れられない。あれがあってこその今です!

0424rikuna002.JPG21歳、ターニングポイントとなるべき
作品と出会った祐果ちゃん

──デビューしてからはグラビアもやっていたんですよね?

祐果 1年くらいはやりましたね。あんまり水着は好きじゃないんです。笑うのは得意だけど、ポーズができなくて……。カメラマンさんに「かわいいね」とか言われても「どうせみんなに言ってるんでしょ!」とか思っちゃう(笑)。母に「水着はイヤだって言ってるけど、夏には海に行くでしょ?」、父には「キレイに撮ってもらっていい思い出になったね。子どもができたら見せてあげなさい」って言われて抵抗はかなりなくなりましたけど、でもね……。自分から「水着がやりたい!」って言ってる子はスゴイと思います。

──お芝居はどうやって勉強したんですか?

祐果 レッスンにも何回か参加しましたけど、あとは自分で考えたり、共演者の方に聞いたり、映画とかを観たりですね。映画は感動モノやコメディが好きで、特に『幸せのレシピ』っていう作品の大ファンなんですけど、子役のブレスリンちゃんがすごくいいお芝居をするんですよ。泣いちゃう。自分の演技に納得できることは一生ないとは思うけど、100に近いところまで持っていきたいです。

──初めてお芝居に挑戦したのは、映画『呪島』ですよね。

祐果 はい。一週間缶詰のロケでしたね。まったくもって初めてだったんで、とにかく体当たりで演技しました。自分が思ってることと実際にやってることの差をモニターで再確認すると辛かったです。でも、もともと負けず嫌いなんで、絶対できるようになりたい! と。 共演者のみなさんも「やめちゃダメだよ」って言ってくれて。先日柴田理恵さんと対談したんですが、その際も「続けることは才能だからね」ってお言葉を頂戴して、心にしみました。

──『大魔神カノン』では1000人を越える応募者のなかから選ばれたという快挙で。

0424kanon02.jpgカノンを”演じる”というより”なる”という言葉が
ふさわしいほどの同化感

祐果 そんなに受けた人が多かったことは、実は新聞で知ったんです。いろいろなことが謎でした(笑)。タイトルも伏せられてましたし、オーディション期間中もカノンがどういう女の子になるのか決まってなかったみたいです。だから最後はタイプもバラバラな子が集まったんですよ。オーディションには半年以上かかりましたね。諦めかけたころに通知が来るって感じで……。最終審査はプロデューサーとのフリートーク。私、おしゃべりが大好きなんで、家族のこと、友だち、恋愛観……とプライベートなことを洗いざらいお話しちゃいました。2時間くらいでしたが、あっという間でした!

──現場の雰囲気はどんな感じだったんですか?

祐果 すごくアットホームな現場で、みんな仲良かったですね。私はリスに似てるって言われて「りすな」って呼ばれてました。同じくリスに似てるメイクさんと仲良くなって、ドンキでチップとデールの着ぐるみを買って、家でふたりで着て鍋をしたり(笑)。朝が早くてしんどくても、現場にはみんないるし行くのが楽しかったです。私はトマトやキュウリ、ナスとかの夏野菜が大好きなんですけど、そういうお話をした翌日にアシさんがクーラーボックスいっぱいの氷とトマト、キュウリ、そして味噌のチューブを用意してくれていて。うれしかったですね。

──食べ物の好みが渋いですね(笑)。

祐果 トマトは塩、キュウリは味噌、ナスは浅漬けで食べるのが好きです!(笑) 私、なぜか「昭和っぽい」って言われるんですよ。最初はどういうこと? って怒ってましたけど、生まれは昭和なんで当然です!(笑)

rikuna001A.jpg子どものように良く笑う祐果ちゃん

──昭和生まれにしては童顔ですね!

祐果 そうなんです。大体17、8歳に見られるし、下手すると15、6歳と思われることも。最初は抵抗があったけどもう慣れました。高校生のころから中学生に見られてたんで、一応成長はしてるじゃん、と(笑)。北川景子さんが大好きで家でも「かわいい!」って騒いでるんですけど、母には「あんたは芋くさいからああいう顔に憧れるのよ」って言われます。51歳のお母さんには言われたくないけど!!(笑) 

──さて、ヒロインのカノンはどんな女の子なんですか?

祐果 元々天真爛漫な性格だったのが突然の裏切りに遭って心を閉ざし、他人と関わりたくないと思ってしまうんです。でも妖怪に助けられて明るくポジティブになっていく。カノンは設定も謎めいているんで、最初は役作りにすごく悩みましたね。プロデューサーさんに「カノンという役はあなたが作っていくものだから」って言われたんですけど、自分は社交的でアメリカンなので(笑)、ギャップも大きくて。現場でもよく笑ってて監督さんに「カノンはそういう役じゃないんだから。考えなさい!」って怒られました。でも面白いときはいっぱい笑いたいし、笑うとガン予防にもなるんですよ! だから、表情の少ないカノンですが「カノンらしい笑顔」を研究しました。シャボン玉に包まれた感じ、というか……。

0424kanon03.jpg大物女優のオーラが漂う存在感!

──泣くシーンも多いですよね。

祐果 そうですね。二話に一回は泣いてる、みたいな。最初はカノンの気持ちへの理解が浅くて、感情を込めて泣くことができなかったこともありました。モニターで客観的に見ると、全然伝わってこないんです。悔しくて泣きましたね。でも、その次からはちゃんとカノンの気持ちになって泣くことができたんです。

──カノンになりきれましたか?

祐果 感情移入できましたね。毎日カノンの事を考えて演じていくうちに、自分の中でカノンのこだわりも出来てきて、それをプロデューサーさんにご相談したりもしたんですよ。

──撮影が終わってどうだった?

祐果 無事に終わってうれしいのと、最後でさみしいのがごっちゃでしたね。箱ティッシュが必要なほどずっと泣いてました。帰りのバスの中でも泣きながら宴会、途中で妹から感動的なメールが来てまた泣いて(笑)。次の日から舞台のお稽古が入ってたのでひと息つく余裕はなくて、舞台の千秋楽の日にガッと体調を崩しましたね。共演者のみんなもフラフラでした。でも久しぶりのお休みだったんで、その日にグアムに出発! 体調最悪で向こうではチーンでしたけど(笑)。

──それはお疲れさまでした(笑)。今後は女優としての活動に力を入れていくんですか?

祐果 そうですね、演技中心でやっていきたいです。がっつり半年も演技に集中したのは初めてだったんで、難しさも知ったけど、自分も成長できたと思います。これからもっともっとお芝居の楽しさを追求したいな。あ、あとせっかく「カノン」なんで、キヤノンさんのCMに出たいです!!(笑)
(取材・文=飛澤良子/撮影=児玉陽司)

●里久鳴祐果(りくな・ゆか)
生年月日:1988年8月31日/身長:163cm/血液型:A型
特技:テニス/好きな食べ物:さくらんぼ

0424kanon01.jpg『大魔神カノン』テレビ東京系 毎週金曜日 深夜1時23分~ 絶賛放送中

「大魔神カノン」公式ホームページ

里久鳴祐果オフィシャルブログ

<イベント情報>
里久鳴祐果ちゃんが秋葉原・東京アニメセンターイベントに登場!

開催日時:4月25日(日)13:00~14:00
会場:東京アニメセンター内イベントギャラリー
入場料:無料
参加方法:開催日11:00よりアニメセンター プレスデスクにて「整理券」配布