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コミケに行く前に予習しよう! コスプレの歴史 前編

冬コミ直前! 日本初のコスプレイヤーとは!?


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※イメージ画像 photo by ◄ccdoh1► from flickr

 この年末も、東京国際展示場(ビッグサイト)で3日間にわたって冬のコミックマーケット(冬コミ)が開催される。3日間の参加者は例年夏のコミックマーケット(夏コミ)より若干少ないものの、ここ2年は50万人を超えており、今年の夏コミが記録的な人出だったことを考えれば最高記録を更新することは確実だ。

 そんなコミックマーケット(コミケ)会場をサークル参加者や大勢の一般参加者と共に彩るのが、コスプレイヤーである。コスチュームプレイ(コスプレ)は「仮装」を表す熟語だが、同人ジャンルにおいては、好きなアニメやゲームのキャラに扮して愛好の意を表すこと、あるいはメイド服や軍服などのコスチュームを身にまとって自己表現を行うことを指す。ビッグサイト屋外に設けられたコスプレ広場で、ポーズをとるコスプレイヤーをカメラを携えた一般参加者たちが取り囲む光景は、夏・冬を問わずコミケの風物詩になっている。

 そうして撮影された写真は、個人のブログやニュースサイト、2ちゃんねるまとめブログに大量に掲載され、インターネット上に流通している。その性質上、どうしても露出度の高い女性コスプレイヤーの画像(盗撮写真が出回ることもある)が多くなる面は否めず、事情に明るくない人々の間では「同人誌=男性向けエロマンガ」という思い込みに近い短絡的な理解が生じているかもしれない。あるいは「キモい男オタクがセーラームーンの服を着ている」という、逆方向に極端な認識もありうるだろう。

 実際にコスプレ、さらには同人誌即売会がどういうものなのかはまさしく「百聞は一見にしかず」なので、コミケ未経験の方には一般参加していただくのが手っ取り早い。ここではそういう方のために予備知識として、コスプレの歴史をご紹介したい。

コスプレはSFと共に始まった
 
 日本でもっとも古いコスプレはSFファンの祭典、日本SF大会で始まったとされる。はっきりと記録に残っているのは1974年に京都で催された第13回大会・MIYACONでの「コスチュームショー」だ。関西地方の各大学SF研メンバーが、『キャプテン・アメリカ』『スーパーマン』といったSF系アメコミヒーローや、箱型の胴体に管状の手足という姿の機械人間・ジェイムスン教授などに扮して寸劇を演じ、喝采を浴びたというものである。当時の『SFマガジン』(早川書房)には「日本での本格的なコスチュームショーは初めてとあって、大きな期待が寄せられていた」とある。

 日本での、ということは海外に前例があるということでもある。実際、世界SF大会では「マスカレード」と呼ばれる、一般参加者がSFやアメコミのキャラクターに扮する行事が恒例となっていた。もっとも古い例は39年の第1回大会で、著名なSFファンのフォーレスト・J・アッカーマンが、当時のSFイラストをイメージした恋人手製の衣装に身を包んで参加したことが知られている。二次元イラストの立体化および手製のコスチュームという意味で、現在のコスプレに近い。
 
 前述のコスチュームショーはSFファン文化の要素が濃い。3年後の78年の第17回大会・ASHINOCONでは、当時空前のブームだった『スターウォーズ』のコスプレを披露した参加者が出現。またある女性は、スペースオペラの草分け的存在であるエドガー・ライス・バローズの『火星の秘密兵器』のヒロインに扮した。

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※イメージ画像(参照記事より)

 ところが、周囲の参加者はこぞって、彼女――後にSF評論家となる小谷真理のコスプレを、アニメ『海のトリトン』(72年)のトリトン王子だと勘違いしたという。手塚治虫の原作を、『機動戦士ガンダム』の監督・富野喜幸(現・富野由悠季)が監督したこのアニメの主人公トリトン王子には多くの女性ファンがつき、女子中高生を中心にテレビアニメ初とされるファンクラブも結成された。小谷がこのファンクラブ出身だったこともあり、いつしか彼女は同人活動的な意味で「日本初のコスプレイヤー」という扱いを受けるようになる。この表現はひとえに小谷が著名人であることによるもので、必ずしも正しくはない。ASHINOCONの前年・77年には、大田区産業会館(大田区産業プラザPiOの前身)で開催された第5回コミックマーケット(C5)に「トリトン少女」が現れたことが、長きにわたってコミケ代表を務めた故・米沢嘉博などによって語られている。

 75年に開催された第1回コミケは、萩尾望都や竹宮恵子をはじめとする折からの少女マンガブームの影響で、参加者の9割が女子中高生だったという。当初は硬派なマンガ評論や少女マンガのファン同人誌が多かったが、『宇宙戦艦ヤマト』劇場版が公開されてアニメブームが巻き起こった77年頃から、アニメ系サークルも増え始める。

 そんな中で現れたのが、アニメキャラに扮するコスプレだった。翌年、赤字救済のために催されたコミックマーケットスペシャルのパンフレットには「ハデハデ・コスチューム」の例として、前述のトリトンやヤマトに加えて『サイボーグ009』『キャプテンハーロック』『科学忍者隊ガッチャマン』といった作品が挙げられている。いずれも当時から女性に人気があった作品で、男性キャラ同士を恋愛関係に仕立て上げる「やおい」妄想のネタにされていた。

 79年に放映され、ヤマトに引き続きアニメブームを巻き起こしたガンダムも、やおい人気を獲得した作品のひとつだった。アニメブームの影響で、コミケは80年頃から急速に規模を拡大し、コスプレイヤーも激増していくが、現在も語り継がれる当時の典型的なコスプレ風景とは、ガンダムのコスプレをした集団が「花いちもんめ」を繰り広げるというものだった。初期のコスプレには文字通り「プレイ」という側面があったことをうかがわせる。

 この頃、年若くして同人誌活動とコスプレ活動を開始したのが、女性マンガ家・一本木蛮である。82年、高校生だった彼女は大ヒット中のマンガ『うる星やつら』のヒロイン・ラムのコスプレに挑戦した。虎縞模様のビキニという露出度の高いラムのコスチュームは、一本木たち若い女性コスプレイヤーの間で大流行し、一般メディアでも話題を呼ぶ。これをきっかけにコスプレという言葉が広く認知されていくが、そのような格好で会場(当時は晴海にあった国際貿易センター、後の東京国際見本市会場で開催されていた)の外を出歩くコスプレイヤーたちに近隣住民から苦情が出たため、翌年からコスプレ衣装のまま会場外を出歩く行為が制限されてしまった。

やおいブームとコミケの拡大で増えるコスプレ人口

 ちなみに1980年代前半はメディアを問わずロリコンブームの渦中にあり、コミケでも後の男性向創作(コミケでの男性向けエロ専門ジャンル名)につながるロリコン同人誌を求める男性参加者が増えていた。コミケは広く流布しているイメージと異なり、長い歴史を通じてサークル参加者・一般参加者共に女性が過半数を占めることが常態となっているが、ロリコンブーム期は一時的に男性参加者が女性参加者を上回っていたともいわれる。その状況を再び覆したのが、85年から87年にかけて訪れた『キャプテン翼』と『聖闘士星矢』のやおい同人誌ブームだった。

 質・量の両側面でやおい同人誌の飛躍的な発展をもたらしたこのブームにより同人人口は一気に増え、コミケ参加者は2年で倍増。また、89年段階での男女比は2:8ほどにもなっていたといわれる。このことは大量の新規参入層が出現したことも意味しており、ちょうど現在東方シリーズ人気によって取りざたされているような参加者の低年齢化が、キャプテン翼ブーム当時、すでに問題になっていた。

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※イメージ画像 photo by SpirosK from flickr

 ブームのさなか、両作品の女性コスプレイヤーも激増した。特にキャプテン翼は小・中学校のサッカー部を題材としており、市販のユニフォームに手を加えるだけで容易にコスチュームを作れたことが、この傾向に拍車をかけた。また、聖衣(クロス)と呼ばれる鎧が特徴的な星矢では男性コスプレイヤーと女性コスプレイヤーが協力しあってコスチュームを作ることもあり、この時期にコスチュームのクオリティが格段に上がったとされる。

 こうしてコミケ人口・コスプレ人口ともに拡大を続けるなか、同人誌専門の参加者とコスプレイヤーの間に軋轢が生じ始めた。キャプテン翼コスプレイヤーの持ち込んだサッカーボールや、突起物の多い星矢のコスチュームが周囲に迷惑をかけるなどの事例が続発し、マナーも未熟だったことから、この時期のコスプレイヤーは煙たがられるようになっていたのである。

 また、コスプレそのものの位置づけも大きく変化した。86年に登場した使い捨てカメラは、コスプレの気軽な撮影を可能にし、身内やコスプレイヤー同士以外による撮影行為が急増。これに対応した運営側が、コスプレ撮影専用ゾーンを設けると共に一切のアトラクションを禁じたことから、コスプレは「被写体として楽しむもの」へと変貌していった。コスプレ専門のイベントが開催され始めたのもこの頃からで、80年代末には『ドラゴンクエストIII』などのブームで出現したゲーム系コスプレをはじめ、題材が多様化していく。

(後編へ続く)

(文=有村悠)

『コスプレ★ノート〈NO.2〉ウィッグ改造&カラコン大特集』グラフィック社


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