【ニッポンの裏風俗】横浜黄金町・栄枯盛衰


 4年ほど前、当時から路地で営業していたスナックに入ってみたところ、客ひとりにママと女性従業員の熟女がふたり。いきなり入ってきた初めて見る筆者を完全に警察と決めつけ、厚化粧の熟女を従業員ではなく客だと必死に隠していました。

 ちょんの間的な営業というより、お酌などの接客はさせていないという意味だったのでしょうが、筆者にはどうでもいいことでした。別の小料理屋の女将にその話をすると、


「そらそうよ。知人のスナックだって、ビール一杯お酌しただけで半年間営業停止よ。最悪だったのは、大家さんに手を回して、店の更新ができなくなったこと。おかげで廃業よ。警察はこの街から違法風俗も違法でない水商売も、すべてを追い出そうとしてるの」


 そう憤った。そういえば、前出のスナックママも、


「伊勢佐木署の巡回がしょっちゅう来るわよ。外から店の中を覗いて帰っていくわ。お兄さんもそっちの口でしょ」


 そう言っていた。

 小料理屋の女将に、これからの黄金町はどうなるのが一番いいのか聞いてみた。すると、


「昔は派手にヤリ過ぎちゃったの。(今の)ギャラリーなんかじゃダメよ。この街に合った商売が必要なの。ブティックがあってもいいけど、ダーツバーや居酒屋とかが並ぶ街にならないと。黄金町っていう名前がイメージ悪いのかもね。『おうごん町』なんていいんじゃない?」

京急のガード下にはカフェやギャラリーが並ぶ。


 その街で生きた人が、その街のことを一番よく知っている。行政が勝手に想像するファンタジーな街よりも、女将が言う飲み屋街の方が現実的な気はするのだが…。

 筆者としては、いまは黄金町より、川向こうの路地に立ちんぼが復活していることが気になるのだった。

(写真・文=松本雷太)

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