待ち合わせ場所に先着した筆者が道行く不細工ちゃんやおデブちゃんを眺めながら待っていると、ほぼ時間通りにアンナちゃんが現れた。
ん? キツネの祟りか!?
最初に目に飛び込んできたのは、彼女のキツネ風の顔だった。目が細く吊りあがっていて、能面みたいな印象のアンナちゃん。モデルで女優のりょうに似てなくもないが、度を越したキツネ顔といった感じ。タヌキ顔の女性が大好きな筆者からすれば、苦手なタイプだ。
しかし、次に目に飛び込んできたのが、彼女のスタイルの良さだ。身長は170センチほどだろうか、小顔のせいもあって8頭身のモデル体型に見える。着衣の状態であってもボンキュッボンといったスタイルの良さもうかがえて、実にエロそうな体型だ。
ウヒっ、こりゃたまらん!
たとえその女性に100の欠点があっても、ひとつだけでもイイところがあれば、そこしか見えなくなるのがトコショー脳だ。四半世紀以上にも及ぶ女遊びの結果、脳の構造がそうなってしまったのである。
というワケで、ルンルン気分で彼女に近づいていき、声をかけたのであった。
「こんばんは、アンナちゃんかな?」
「あっ、はい。ショーイチさん?」
「うん。さっき【イククル】で約束させてもらったショーイチだよ。今日はよろしくね」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「なんだか元気だね?」
「え? そうですか?」
「うん。なんかしゃべり方とか凄くハキハキしているね」
「あ、普段からこうなんです」
「そうなんだ。元気があってすっごくイイと思うよ」
「でも、そのせいで色気がまったくないとか言われちゃうんですよ」
「そうなの?」
「はい。笑い方もガハハとかなんで、オバサンというよりオッサンっぽいとかよく言われます」
「へぇ、でもウジウジしている人より俺はそっちのほうがよっぽど好きだよ」
「フフフ、ありがとうございます」
「あれ? ガハハじゃないんだ?」
「初対面だから頑張って女性っぽくしているだけですよ」
「そんなぁ。無理しなくてイイよ。オッサンっぽくても、アンナちゃんくらい綺麗なら全然問題ないからね」
「もう、褒めるの上手ですねぇ」
フランクな口調で明るく受け答えするアンナちゃん。傍からみれば、とても初対面の男女には見えないだろう。
いわゆる男前な性格の姉御肌といった雰囲気のアンナちゃんだが、その性格が災いして40歳となった今も独身なのかもしれない。しかし、そんな話はタブーである。どうして未婚なのか興味津々だったが、それは野暮というものである。