1万本AVウォッチャー・文月みほが迫るAV裏舞台

【AV男優という生き方】古参×ハーフ男優が語る“AV業界のリアル”とは…

 
 AV女優は星の数ほどデビューしていると聞くのに、なぜAV男優の顔ぶれはいつも同じなのだろう? これって多くの男性が一度は抱いたことのある疑問ではないでしょうか? しかし、18年間、4ケタに及ぶAV関係者に取材を重ねてきた私にとっては「相当な数の男優さんがいるはずなのに、なぜそう思われてしまうんだろう?」と、正反対の疑問を抱いていたりします。

 事実、ネット検索し名前が挙がってくるAV男優の数は120~30名。うちトップ男優と呼ばれている人数だけでも、約70名が存在します。しかしながら、その中でも一般的なAVユーザーが認識する人数は10名前後というのが現実。

 どの業界においても、ピラミッドの頂点に君臨できる人数は、数名程度というのは常識。しかし、「同じ男優ばかり観たくない」と、散々叩かれているAV業界においては、その悪弊をなんとか断ち切って欲しいものなのですが…。

 そこで、なぜ100名以上の男優が存在する中、限られた人だけが目立つことになってしまっているのか、その真相を探るべくふたりの男優さんから話を聞くことにしました。

 今回、お話をうかがったのは、男優歴27年を誇るベテラン・辻丸(54)と男優歴7年の業界的には若手となるカルロス(30)。(敬称略)

 彼らもまた業界の悪弊に四苦八苦しているのだという。では、早速、取材時間約3時間を要した対談をご覧ください!

 
──これまで私は、人気男優と呼ばれる方々を数多く取材してきましたが、今回、おふたりをお呼びした理由は、今のAV男優界を象徴している方々だと思ったからです。まずは、自己紹介をお願いします。

辻丸(54)男優歴27年、代表作『ジーザス栗と栗鼠スーパースター』(V&Rプランニング)。言葉責めを得意とし現在はHMJM作品などで活躍中

辻丸:デビューは、淫乱ブーム真っ只中の1988年。元々は東京三世社のアルバイト編集部員で、SM雑誌を担当していました。まだ、団鬼六さんもご存命で、原稿を取りに行ったこともありましたね。その後、コアマガジンの編集を経てフリーライターになりまして、AV撮影の現場取材に行くようになったんですよ。で、知り合いの監督の現場に行った時に、これから来る男優がキャンセルになってどうしようってなっていたので、まぁ男の好奇心で「自分でどうですか?」と名乗り出て、始めたのがきっかけです。

──加藤鷹さんやチョコボール向井さんの先輩になるのですか?

辻丸:鷹さんはほぼ同期で、チョコボールさんは3年後輩かな。僕の場合、口コミで評判が広がっていって、いつのまにかライター業より男優業の方が忙しくなって、男優一本で仕事するようになり、現在に至ります。といっても、今は半ば定年みたいなもので、出演本数もかなり少なくなってしまいましたけどね。

カルロス:僕は、コロンビア人の母と日本人の父を持つ30歳のハーフ男優です。最初にAVに出たきっかけは、スポーツ新聞に出ていたモデル・男優募集の記事でした。その後、メーカーのホームページの男優募集に応募してぶっかけやエキストラから始めました。そこで、監督さんやスタッフさんに顔と名前を覚えって、ちょこちょこ連絡をもらうようになって今に至るって感じです。最近の若手は、ほぼそのパターンだと思いますよ。

──最初から男優一本でやっていこうと考えていた?

カルロス:いえいえ。最初はガテン系の工場の契約社員として働いていて、その合間に男優仕事をやっていました。ようやく今は男優一本になったんですけど、それでも仕事が少ないときなんかはバイトをして喰いつないでいます。まぁ、最初は誰でも仕方ないですよね。

カルロス(30)男優歴7年、コロンビア人の母を持つハーフAV男優。巨根を活かしたマニアックなプレイで注目を浴びている

辻丸:バイト!? 昔は、男優なんてものは宵越しの金は持たないっていうか、将来どころか来年の事さえ考えている人も少なかったように思います。目の前の仕事を一生懸命やろうってそれだけでしたね。昔はメーカーが限られていて、20~30社しかなかったし、発売本数も少なく限度があったので、当時は男優で一山当てようとか、そういう意識はなかったように思います。そんなに儲かるなんて誰も考えてなかったっていいますか…(笑)。

カルロス:そうなんですか? 僕は、男優一本でやっていくと決めるまでは悩みましたね。仕事との両立は難しいだろうし、かといって結婚するにあたって収入は安定していなくてはいけないだろうなとか。けっこう悩みましたね。で、いろんな人に相談して男優一本に決断したんです。

──なぜ、そんなに悩んでまでやりたかったの?

カルロス:最初は興味本位で汁男優をはじめたんですけど、その時に大島丈さんや黒田悠斗さんを見ていてカッコイイな~って思ったんです。

──では、AV男優に憧れてAV男優になったと?

カルロス:そうです。

辻丸:いや~、時代は変わりましたよねぇ。昔は、将来どうしようとか、結婚どうしようなんて考えてる男優はいなかったんですけど、ははは。僕自身も、結婚したいなんて考えたこともなかったしね。どっちが女優さんだか男優なんだかわからないですね(笑)。

 
──かつては、影の商売であった男優業ですが、今、AV界では空前の男優ブームと呼ばれていますよね。男優イベントを開催した際、サブカルの聖地『新宿ロフトプラスワン』のイベント観客動員数最高記録を樹立したくらいに。それでも一般の方は、同じ男優しか見かけないっていうでしょ? どうしてだと思います?

カルロス:普通の人は、しみけんさんや大島丈さんや黒田悠斗さんなど、本当に有名な人しか知らないのかも。

辻丸:いえいえ。それどころか、いまだに、加藤鷹さんやチョコボールさんの名前しか上がってこないんじゃないかなと思いますよ。相当なマニア以外は。

──そうですよね。それだけ男優の知名度は低いのが事実で、しかも、限られた数のベテランしか認識されていないともいえますよね。実際、新人AV男優の需要ってあるの?

カルロス:若い男優は常に求められていますよ。僕も頻繁に「もっと若い子知らない?」ってスタッフさんから聞かれますから。でも、若い男優志望者はいますけど、実力が伴う子はいないので、なかなか出てこられないんですよ。僕より下の世代でカラミまでやらせてもらえるのは数える程度です。

辻丸:そうそう、最近の若い子はかわいそうだな~って思いますよ。僕らの時代なんて、ちゃらんぽらんなヤツばっかりでしたけど、今は潮吹きはできて当たり前、女優さんの機嫌を損ねたら、それでおしまいなんだから、出ようにも出てこられない。

カルロス:そうなんです。だから、AVをよく見ている人たちに「またコイツが出てるのか?」って言われても仕方ないと思います。使う側としては、新しいやつ、若いやつ、新鮮なやつを使いたいという気持ちはあるみたいですけど、信頼のない若手を使ってヘマをされるのを、極端に恐れている傾向がありますね。信頼のある男優を使ってスムーズに撮影を終わらせたいってのがあるみたいで、それでトップの数人だけで固定化されちゃうんですよね。

──批判するつもりはないけれど、特にメジャーなメーカーの単体女優作品に関しては、その傾向が強いから、一般の方にはごくごく少数の男優さんしか目にする機会がないのかもしれないですね。ところで、業界全体で、新人男優を育てようという考えはないの?

カルロス:育てたいという意思はあると思うけど、現実的に難しいんじゃないかなって思います。

辻丸:まぁ、厳しいだろうね。

──う~ん。でも、AV黄金期は、元役者からAV男優に転職する方も多かったと聞きますが? 今の時代は、そういった方は即戦力にはなれないのかな…。

辻丸:そうですねぇ。以前は、ピンク映画出身の方もいらっしゃいましたし、男優というより役者の延長。僕も学生時代に芝居をかじっていたので、その点では向いていたってもあると思います。でも、そうではない人もいましたよ。誰かの紹介でなんとなく始めたって男優もいました。いずれにしても、関係者を通じての紹介で、ふらっと始めてみるって感じの商売でしたけど、今はどうかな。技術に関して、求められることが厳しすぎますからね。

──昔は、セックス経験はさほど必要なかったんですか?

辻丸:そこまでは言わないけど、昔はほぼ疑似セックスでしたからね。フェラでさえコンドームを付けさせられたし、指は第一関節までしか入れてはいけないルールだったし、今みたいに潮吹きなんて夢のまた夢。女優もピンキリで、今ほどやる気のある子ばかりじゃなかったから。現場に入るなりブーたれた顔でやってる女優もけっこういましたよ。だから、現場サイドも「こんな状況だし、勃たなくても仕方ないよね」という暗黙の了解があって、実際、勃たなくても成立はしちゃってたんですよ。なので、素性とか経験なんてものはたいして関係なくて、最低限の常識さえあればよかったんです。コンドームだって、エイズが騒がれ出してから、死ぬのは恐いってことで付けるようになったくらいだし。だから、本番女優さんは、いつも生(笑)。

カルロス:え!? 今は、コンドームをつけないなんてありえないし、性病検査票の提出を求められますよね? しかも、ほとんどが実費だから、正直大変なんですよ。

 
──そんなに生活が大変なの? 若くてイケメンでハーフだし、仕事は引く手あまたでしょ?

カルロス:いえいえ、最初の3年は週1日か2日。連絡をいただいても仕事が忙しくてお断りしていて、それが続いてしまったので、仕事を辞める決断をしたんです。だから、いろんな人の助けがなかったら、今はなかったと思います。先輩男優さんやスタッフさんに支えられていますね。しかも、当時は家族にも内緒でしたから、相談もできなくて精神的にもキツかったです。結局、いつの間にか兄弟たちにバレていて、今は受け入れてくれてるんですけどね。しかも、妹まで、けっこうアッサリと(笑)。

──辻丸さんの時代も、家族にAV男優をやっていることをカミングアウトするのは気が引けるものでした?

辻丸:皆、やくざな仕事をしている意識はあって、家族には後ろめたさを感じていたと思いますよ。自分からは言わないし、ごまかせる間はごまかし続けたんじゃないかな。今と違ってネットもなかったし、男優が注目される機会もなかったから、世間一般的にも完全に日陰の仕事という認識が強かったと思いますしね。でも今は、人気が出ると本人が望んでいない場合でもネットやいろんなところに顔が出やすい時代だから、やるからには親バレの覚悟が必要だと思うし、その点でも、新人がデビューし難い環境ではあると思います。

──たしかにそうですね。その反面、男優さんがメジャー化したことで、イメージはいい方向に変わってきましたよね。かつては、怪しいオジサンがカワイイ女子を責めて喜ぶ、いわゆる『女の敵』的な存在だったと思うんです。でも、今の新人女優さんに話を聞くと『男優さんにおもてなしをうけた気分でした』って言うんですよ。『芸能人にあったような気分』だと言う子もいます。それを考えるとAV界における男優さんの立ち位置って変わってきたように感じます。

辻丸:まぁ、そうですね。かつてはカワイイ女子ほど疑似だったし、ヘタに指入れなんてしようものなら怒られましたから、おもてなししようにもできる環境ではなかったですし…ははは。そもそも女優たちも、おもてなしなんて望んでいなかったと思いますよ。でも、メジャー化したのはいいけれど、その分、男優の負担は増えましたよね。ホストと紙一重なんじゃないかと常々感じています。

カルロス:う~ん。そう言われれば、そうかもしれないですね…。

辻丸:今の女優さんたちは、トップレベルの男優が一般的な男優だと思っていて、少しでも力量が落ちると物凄い勢いで怒る傾向にありますよね。しかも、Twitterとかで、それを晒してしまう。だから、新人くんは気の毒だなって思いますよ。いきなり、トップクラスのテクニックを求められて、かつ失敗が許されない。新人が育たない理由は様々あると思いますが、そうしたことも新人くんがなかなか出てこられない要因ではないかと考えています。

カルロス:はい。失敗すれば即NGをくらっちゃいますし、何がいけなかったのかも知らされないから対処しようにもできない。だから、セックスのテクニックというより前に、身だしなみからはじまって、口臭対策からボタンの掛け違えはないかとか服装を気にしたり、女優さんに対する話し方や気づかいも必要以上に気を付けています。女優さんが気分を害してテンションが下がっただけで、現場の雰囲気が悪くなって、それっきり呼ばれなくなりますから。

──厳しいですね…。たとえば、思いつく範囲でどんな理由でNGを喰らったことがある?

カルロス:サイズの問題ですかね。僕、アレが大きいので、女優さんの中には痛いっていう人がいて、それが理由で出演NGを喰らうことがあります(苦笑)

──え~!? それは気の毒というか、何というか(笑)。いずれにしても、そういった身体的な理由であったにしても女優さんの気分を損ねたら次はないの?

カルロス:そういうことが多いですね。

──それは必死におもてなししないといけませんね?

辻丸:そうなんですよね。昔は全く逆だったけどね。女優さんはたとえ売れたいという意思はあっても、できることなら男優に触られたくないし、セックスだって避けたいっていう子が多かったんです。だから、男優は『女の敵』っていう対象でしかなかったし、それをやらせる監督もスタッフも同類。個人差もあると思うけど、全体的に撮影現場ってのは殺伐としているものでしたが…。

カルロス:では、今とは全く逆だったんですね。でも、その点では今のような雰囲気の方がいいかも(笑)。

 
──現場の雰囲気を良くも悪くもするのが、セックステクニックだと思います。気を付けていることはありますか?

辻丸:昔、ミッキーさんという男優が“しゃちほこ”なんてへんちくりんな体位をしてたけど、それくらいで、体位なんて基本の3つだけでしたね。疑似であれ、本番であれ、最初からやる気のない女優さんを、当たり前のカラミだけでいかにして盛り上げるかって、そこに頭を使っていました。今の女優さんはやる気があって何でもやってくれるから、その中で他とどう違いを見せるかが大変なんです。潮吹きだってできて当たり前だからね。その上で、ユーザーさんに印象を残す為に、どうしたらいいのか考えるのが大変なんですよ。

カルロス:そうですよね。僕がいつも言われているのは、ユーザーさんが観ていて飽きないようにメリハリをつけろと。「お前な、ずっと同じことしてたら誰も見ないし、みんな早送りするぞ。メリハリをつけるような展開をつけるのが、男優の仕事だよ」って。監督は流れを説明するだけで、カラミが始まったら女優さんの反応を見ながら男優がいろいろ考えるのが一般的なので。

──発射もコントロールできて当たり前?

カルロス:それは、その日の体調と相手次第ですね。なかなか射精できないこともあれば、逆に女優さんとの相性が良すぎちゃってモタないときもありますし、ドストライクの女の子だったらますますヤバいです(笑)。

──それは他の男優さんも同じ?

カルロス:だと思います。やっぱり男なのでそれはありますよ。でも、むしろ場の雰囲気は良くなりますよ。女優さんが「この男優さん、私でこんなに感じてくれてるんだ」って思ってくれるから。AVとはいえ、理想はノーカットで一連のカラミを魅せることなので、本当に高まってフィニッシュを迎えるならそれが一番なんですよ。

辻丸:まぁ、そうですね。昔は展開なんて考える必要もなかったどころか、監督が合図を出すまで同じ体位をやり続けなくちゃならなかったんですけどね。疑似だし、あとで編集するから、カット割りも多かったんです。だから、女優にお伺い立てる必要も、男優が演出する必要もありませんでした。しかも、本番女優に関しては、現場に入った時点で何でもOKってスタンスだったから、例えは悪いけど、風俗的な感覚もあって勃たなくて困った時も「いいかな?」ってお願いすれば、何とかしてくれました。事務所もうるさく言わなかったので、何の問題もなかったんです。

カルロス:え~!? 僕は、勃ちが悪くて困った時も、女優さんに直接頼むなと先輩たちから言われています。まず監督に「手伝って欲しいんですけど、いいですか?」って聞いて、監督から女優さんに聞いて貰うんです。

辻丸:そうなってきたよね。それは、今の女優さんが「男優だったら勃って当然でしょ?」って考えているせいなんです。人によっては「カメラ回ってないのになんでフェラしなくちゃいけないの?」みたいに言いますから。まぁ、それが男優の仕事だから言われて当然なんだけど、ただ僕の世代の人間が考えてしまうのは、勃起は生理現象なわけだから、いくら男優でもスイッチひとつで勃つわけがないんだよ、ということ。女優さんがスイッチひとつで潮を吹かないのと一緒です。そこの認識は、女優さんもちょっと改めて欲しいかなってのはありますね。

カルロス:う~ん…。

辻丸:今の女優さんって、いい意味でビジネスライクなんです。凄く積極的にハードなこともするんだけど、カメラが回ってないところでは極端にドライ。それがプロ女優として当然だと思っているし、そうやって撮影を楽しんでいる。やる気もすっごくあるけど、その反面で男優が一定のレベルに達していないと「何、あの人?」ってなってしまう。それだけ業界のレベルが全体的に上がったということなんですよ。昔は、もう少し人間的な部分も考慮されていたように思うけど、これも時代なのかなと思っています…。

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