1万本AVウォッチャー・文月みほが迫るAV裏舞台

【AV男優という生き方】古参×ハーフ男優が語る“AV業界のリアル”とは…

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──その他にも、新人男優さんが増えない理由に、ギャラの低下の問題もあると聞きました。90年代の初めはナンパ作品が人気で、当時は学生バイトの男優さんが、ナンパが成功するたびに5万なり10万なり簡単に貰えたと聞いたことがあるのですが?

辻丸:そうそう、その当時は5万が平均になったこともありましたね。なんでも、AV創世記はかなり安かったので、当時活躍している男優たちが交渉して、平均値3万円にしたって聞いています。昔は1現場が朝から晩までで、今みたいに1カラミで帰るってことはありませんでしたから。僕の場合は、3万からすぐに4万円になって、そこから5~6年くらいして5万円になりました。でも、そこまでの値段になってしまうと、話がこないメーカーが多くなってくるのも事実です。

──なるほど。そうなると、ますますユーザーさんの目に留まる機会が減ってしまうんですね。

カルロス:やっぱりそうなってきますよね~。だから、値段をあげて本数は少なめでもいいのか、安くてたくさんの現場に行くのかでわかれますよね。僕は今、多くて月15現場。週2~3日平均です。日によっては1日に2現場ってこともありますね。これで一応、生活できるレベルで稼いではいますね。値段は、僕のキャリアだと1現場2万円。拘束時間が長かったり、地方ロケでも最高3万円しかないので、1日2現場で4万円貰ったほうが嬉しいです。

辻丸:え? 今ってそんなに安いんですか!?

カルロス:はい。同世代は似たり寄ったりです。カラミまでして1万円の男優も結構いますよ。

辻丸:う~ん。まぁ、ギャラが下がってるのは女優さんも同じ。一時期は、女の子も協力的で意識が高くなってきて、そうすると作る方も楽しくなってきて、どんどん予算をつぎ込んでいいものをつくろうって風潮もありました。でも、今はそういう山を超えちゃって、作り手も煮詰まってきて、しわ寄せが男優をはじめ、女優さんにもきてるんです。手コキだけの出演の女の子なら、ヘタすると男優より安いかもしれませんよ。

──ちなみに、男優さんのギャラってどう決まるんですか?

カルロス:単純に言うと、監督とかプロデューサーの査定です。この男優ならこれくらい出してもいいねとか、そういう決め方です。

──上げたいときはどうするの?

カルロス:基本的には自己申告です。「今月からこのくらい欲しいんですけど」って交渉をします。で、制作側が「いいよ~」って言ってくれればすんなり上がります。でも「全然仕事できね~くせに、ふざけんじゃね~よ」って思われて仕事がなくなってしまうパターンもあるので、難しいですね。自分が思っている価値と、現場サイドの価値観が合わないとギャラが変わることはないですね。今は『お買い得感』みたいなのが重視されているので、上げた途端に仕事がパタッとなくなることもあります。

辻丸:まぁね。当時は現場も少なかったけど、男優も少ないし、ある意味男優は希少価値があったので交渉しやすかったんです。募集をかけてもなり手が少なかったので、男優がギャラ云々言っても「まぁ、いいか」って。そういう意味でも、今の志願者は苦労しますよね。

カルロス:今は、売れるまでは、よくて電車賃。しかも、発射できなかったり、勃たなかったらノーギャラですし、性病検査の証明書を持っていかなくてはならないし、負担の方が多いんです。僕の場合、それが2年くらい続いて、ぶっかけから手コキ、フェラ、パイズリと少しずつ上がっていって「じゃ、カラんでみようか?」って言われるまでいって。でも、カラミといっても乱交の中の1人や、先輩男優の補助で3Pの相手だったりしたので、最初のうちはプレッシャーで勃たなくって、苦労しっぱなしでしたね。女優さんにではなく、先輩男優さんに緊張しちゃって、さらに監督にも渋い顔されちゃって…。

辻丸:そうなんですよね。でも、ギャラに関しては運が圧倒的だと思います。たまたま知り合いの紹介でポンと出てきて、いきなりカラミをやらせてもらえる男優もいれば、実力はあるのに、乱交やら汁男優やらの仕事ばかりで勃つものも勃なないような現場しか来ない人はいつまでも「あいつはダメだ」って評価になってしまう。一番運がいいのは、“業界人に人気のある作品”に出られること。業界人が観るから話題になって「あいつ面白いから使ってみよう」ってなって仕事がくる。僕なんかは特にそうなんだけど、業界内で話題になった『ジーザス』があったから、今があるんです。その点では、普通の役者さんと変わらないと思いますよ。

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