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こんばんは、弥生さん。
都内の会社員ショーイチ、38歳です。
弥生さんの書き込み拝見しました。
ちょうど今日はずっとヒマしているので、ぜひお会いしたいと思っています。
女性に尽くすのが大好きな私なので、お互いに楽しい時間を過ごせれば素敵ですよね。
新宿でしたら今日の何時でも待ち合わせ可能なので検討してもらえると嬉しいです。
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こんなファーストメールを送信したところ5分もしない内に弥生チャンから返信が届いた。そこから2通ほどのメール交換を経て、無事に約束が成立したのであった。
掲示板の書き込むを読むのに1ポイント、メール3通分の送信で15ポイントの合計16ポイントを消費してアポが取れたわけだ。筆者の場合、この【ワクワクメール】ではいつもポイントをまとめて購入するので1ポイントはおよそ7円ほどの価値となる。つまり今回はわずか112円分のポイントを消費しただけという計算だ。缶コーヒーよりも安い金額でサクサクとアポが取れてしまうので、テレクラやダイヤルQ2といった前時代的な出会いツールよりもずっとコスパに優れていると言えよう。
待ち合わせ場所は新宿アルタ前から徒歩数十秒ほどの大型靴屋の前。あいにくの雨の中、傘をさしながら待っていると約束の時間通りに弥生チャンが登場。
おっ! なかなかスケベそうだな、おい!
弥生チャンの見た目は女性お笑いタレントで元オセロの白いほうの松嶋尚美を水で10倍薄めて地味にしたといった感じだ。スレンダーな体型で、髪の毛はうっすら茶髪ってな具合。化粧は薄めで軽く紅をひいている程度だったが、肌が白いせいでその紅がやけにドギツク見えてしまうほどだった。
「こんばんは、弥生チャンかな?」
「は、はい。もしかして、ショーイチさん?」
「うん。さっき【ワクワクメール】でやり取りしていたショーイチだよ。今日はよろしくね」
「こちらこそよろしくお願いします」
「じゃ、さっそくだけど俺で大丈夫かな?」
「はい。全然OKです」
「良かったぁ。じゃ、さっそく向かいたいんだけど、少し離れて歩いたほうがいいかな?」
「え?」
「ほら、だって弥生チャン結婚してるんでしょ? 万が一知り合いに見られたら大変でしょ?」
「んー、別に腕組んで歩くわけじゃないから普通の距離で大丈夫ですよ」
「そ、そう?」
「それにこんな時間に新宿で遊んでいるような知り合いなんていないし……」
「そっか。じゃあ気持ち俺が先に歩くから離れないでついてきてね」
「はぁい」
こうして弥生チャンの歩くペースを横目で確認しながら、筆者が常に半歩先を行く形でホテル街に向かったのであった。
賢明なる読者諸兄はお気づきだろう。
離れて歩くことを提案したのも、わざとらしく横目で足元を見ながら歩いたのも全て筆者の計算である。一夜限りの逢瀬とはいえ、どうせなら少しでも気持ち良くなりたいではないか! だったら相手の女性の望むべき男性像を全力で演じてあげるのが男ってもんだろう。そう、常に筆者のベクトルは気持ちいいSEXをするためにどうすればいいのかだけを考える方向に向いているのである。
ホテルに到着し、別々にシャワーを浴びてベッドイン開始。