過剰演出=やらせ!? バラエティーの現場はどうなのか

※画像:日本テレビ系「ベストアーティスト2011」オフィシャルサイト

 11月30日に放送された歌番組『ベストアーティスト2011』(日本テレビ系)で、一部出演者の歌唱シーンが、収録されたものにもかかわらず生放送のように中継されたとして物議をかもしている。ソース元のasahi.comは、関係者からの話として、「スタッフが観覧客に『生放送の司会者から呼びかけられた設定で反応してほしい』と依頼」したという。このニュースのネタ元がどこかは不明だが、おそらく関係者からの情報か番組観覧者からの垂れ込みというところだろう。

 同局は、このニュースが流れた直後、「2組の出演時には”中継”の表示を出していない。通常の演出の範囲」と釈明している。しかし、ネットを中心に徐々に批判が大きくなると、「演出は現場のプロデューサーらの指示によるもの」「視聴者の皆さまに楽しんでいただくための演出として、一部、事前に収録した映像を放送いたしました。ご不快の念をいだかれた方がいらっしゃったとすれば遺憾です」というコメントを出してきた。

 つまり局の見解は、「現場が勝手にやったことだけど、まあ、それも視聴者のためを思ってのことだったわけ。もし、お気に召さないのであれば残念です」といったところ。番組関係者への聴取も進めているというが、しょせんは身内同士の調査。局とすれば、こんなことはそのうち静まる些事で、まったくの他人事なのだろう。

「番組を見ていた限り、少なくとも司会を務めていた嵐の櫻井翔は、生放送もどきの中継を承知していたでしょうね。あれだけすんなり進行できたわけですからね。ただ、それで櫻井がとがめられるということはないでしょう。彼は台本どおりに仕事をしただけですから。むしろ、滞りなくやって株を上げたんではないでしょうか」(放送関係者)

 あくまでも演出への批判は制作サイドに向けられると語る関係者。しかし別の関係者は、バラエティーだとこうはいかないだろうと話す。

「俗にいう”やらせ”と”演出”の線引きは非常に難しいですが、事前に収録したVTRを生放送のように見せるという、明らかな”やらせ”をバラエティー番組がすることはないと思います。もし、そうしなければならないとしても、あえて生放送を強調することはないでしょう。バラエティーは、音楽番組やドキュメンタリー系の番組と違って、その批判が出演者に向けられますからね。”やらせ”によって、普段顔の見えない制作サイドが批判される番組と、出演者が非難される番組とでは意味がまったく違ってくるわけです。もし、バラエティーで”やらせ”が発覚すれば、真っ先に叩かれるのは出演者で、それは番組にとって命取りになります」(バラエティー放送作家)

 テレビバラエティーでよく見かける「残さず食べる系」の企画では、「絶対に完食している」と、この放送作家は断言する。収録途中に休憩することもあるが、他のスタッフが食べたりというイカサマはあり得ないというのだ。

「そんなことがバレたら、一気に視聴者は冷めてしまいますからね。それこそ、少し前までは大食いタレントの”やらせ”も日常茶飯事でしたが、今ではそんなことはあり得ませんよ。また、私は経験したことはありませんが、ドッキリなんかにも”やらせ”はないといえるでしょう。もちろん、そのクオリティに差はありますし、仕掛けられている最中にタレントが気付いて、そのままだまされ続けるということはあると思います」(前出・バラエティー放送作家)

「ドッキリだというネタばらしをしたドッキリ」というのが、なんの新鮮味もないほど、バラエティーのドッキリ文化は発達した。これまで、ずっとそれに触れてきた今の視聴者にしてみれば、そのドッキリが本当かどうかを見破るのはたやすいことかもしれない。しかも、現代にはインターネットというものがある。誰もが簡単に情報を発信できるシステムは、”一億総タレこみ屋時代”を作り上げた。そうした状況に対する認識が甘いテレビマンが生放送もどきの番組を放送してしまうのだろう。
(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/
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口パクはやらせじゃない?


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