メンズサイゾー事件簿

ゾウとのセックスに挑んで圧死した獣姦マニア

『朝日新聞』昭和31年6月14日夕刊より

 1956年(昭和31年)6月14日朝7時30分頃、東京・武蔵野市にある井の頭公園のなかにある動物園「井の頭自然文化園」で、施設内の見回りをしていた飼育係が、象舎にある深さ約2メートルの溝の中で男性が死亡しているのを発見した。

 通報によって駆けつけた武蔵野署の調べで、男性は近くに住む45歳の会社員と判明した。また遺体の状態はひどく、着ていた服は無残に引き裂かれており、ほぼ全裸に近い状態だった。検死の結果、肋骨がすべてメチャメチャに折れていた。そして胸には押しつぶされたような跡があり、さらに全身には強い打撲痕もあった。このことから、死因は象舎で飼われていたインドゾウの花子(9歳)に踏まれたことと分かった。

 つまり、会社員の男性は、夜間に象舎へと忍び込み、花子に踏みつけられて死亡したのである。では、なぜ夜間の動物園になど侵入していたのか。

 報道では、この会社員は「これまでも度々夜半動物の小屋にしのびこみいたずらをして捕まったことがあり」(『朝日新聞』)などとソフトな表現になっている。しかし実はこの男性、自然文化園では知られた獣姦マニアで、妻子がありながらしばしば犯行に及んでいたという。

 最初に会社員が目をつけたのはブタだった。夜間、人気がいなくなったのを見計らって、会社
員はブタ小屋に侵入し、手頃なブタを強姦していた。当然、見回りの係員に発見され、警察に突き出された。時には、あまりに熱中していたためか、係員が懐中電灯で照らし、「何をしている!」と怒鳴りつけても、そのままセックスを続けていたこともあったらしい。

 しかもこの会社員、警察に突き出されて、その場では反省した様子を見せながら、動物を「襲う」ことを一向に止める気配がなく、ブタのほかにもヤギやウシ、ニワトリなども被害に遭う始末だった。

 そしてついに、会社員の性欲はゾウへと向かったらしいのである。

 会社員がどうやってゾウの花子にアプローチしたのかは不明だ。しかし、ゾウといっても女性である。貞操の危機を感じた花子は、怒り心頭。自分をレイプしようとした不埒な男性を力任せに踏み潰した上に、鼻で持ち上げて2メートル下の溝へと投げ捨てたのである。

 現場の状況から、会社員が目的を成し遂げたとは考えられない。ともあれ、マニアもここまで来ると壮絶と表現するしかなかろうか。
(文=橋本玉泉)

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