「お待たせ。ナナセちゃんかな?」
「あ、はい! そうです」
「【イククル】で約束させてもらったショーイチだよ。今日はよろしくね」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
軽く笑みを浮かべながら挨拶してきたナナセちゃん。愛嬌はばっちりと言えそうだ。
ここで筆者がマスクをズラして顔を全部見せる。すると、ナナセちゃんも同じようにマスクを一瞬だけ外して顔を全て見せてくれた。
うん、予想通りだな。
眼鏡を外したら実は美人だった…。そんな漫画のような展開とはいかず、マスクを外したナナセちゃんの顔はやはり残念系だった。
正直言って落胆したのは否めない。だが、それを表情に出すような真似はしない。長年出会える系サイト遊びをしていると、嫌でもポーカーフェイスのスキルが上がってしまうのだ。
「実物の俺はこんな顔だけど、大丈夫そうかな?」
まさか断られるわけがない。そう思いながらも、社交辞令的に聞いてみる。
筆者も彼女と同じように顔面偏差値が低い残念系だ。だが、お人よしそうな顔が幸いしてか、滅多に顔パスされたことがない。女性側にしてみれば安牌そうに見えるのだろう。
「もちろん大丈夫です。ショーイチさんのほうこそ私みたいなので平気ですか?」
「もっちろんだよ! 今の俺の顔、ニコニコしてるでしょ?」
「え?」
「俺ってすぐに表情が顔に出ちゃうタイプなんだ。だから、ナナセちゃんみたいな可愛いコで喜んでいるところなんだよ」
息を吐くように女性を褒められるというこのスキル。これも長年の出会える系サイト遊びの賜物だ。
「そんなぁ、褒め過ぎですよぉ。私なんて全然可愛くないですよぉ」
「いやいや、本当だって。もしそうじゃなかったら、俺は鬼のような顔をしてたと思うよ」
「もう、褒め上手ですね」
「ま、ここで立ち話もアレだから、歩きながら話そうか?」
「はい♪」
やはり女性は愛嬌だ。愛想のいい受け答えをする彼女がますます可愛く見えてきた。
ホテル街に向かいながら世間話をすることに。
「ナナセちゃんはインストラクターって言ってたけど、何のインストラクターなの?」
「ふふ、何だと思いますか?」
こちらの質問に対し、質問で返してきた。どうやら素直に教えてくれないようだ。仕方なくそのクイズに付き合うことにした。
「スタイルが良さそうだからダンスとかエアロビクスとかかな?」
クイズに付き合いながらナナセちゃんを褒めてみる。
「もう、スタイル良くないですよぉ」
即座に否定してきたナナセちゃんだが、まんざらでもなさそうだ。
「それじゃあ水泳とかかな?」
「せ、正解です」
「凄いなぁ。俺は小学4年生まで泳げなかったから、水泳の上手な人って尊敬しちゃうんだよね」
「でも、事務の仕事も多いので、水泳のインストラクターだけじゃないんですけどね」
バイト勤務の彼女は、このコロナ禍で出勤する機会が激減しているとのこと。どうやらヒマを持て余している感じだ。
しかし、実家住みとのことで、生活に困窮するほどではないとのことだった。
そうこうしているうちにラブホテルに到着。チェックインを終え、室内でふたりきりとなる。
ここから話題を下ネタに切り替えていく。
「ちなみに、今日はどんなエッチがしたいのかな?」
「え?」
「どうせならナナエちゃんの好きなエッチがしたいんだ」
「ど、どうしてですか?」
「もうなんとなく分かってるんじゃない? 俺がMってこと?」
「わ、分かんないです」
「俺って女性に奉仕するのが好きな精神的Mなんだ。だから今日はナナセちゃんが望むようなエッチにしたいんだよ」
「そ、そんなこと言われても…」
「別に変な事を聞いてるわけじゃないんだよ。ただどんなエッチが好きなのか教えてほしいな」
「じ、じゃあ、優しくされたいです」
「了解! それじゃあ、今日はナナセちゃんの事をお姫様だと思ってご奉仕させてもらうね」
「お、お姫様ですか?」
「うん。何を言われても絶対に逆らわないから、たくさんわがまま言ってね」
「そ、そんな事できないですよぉ」
「そっか。でも、もし言いたくなることがあったら遠慮しないで教えてね」
「わ、分かりました」
別々にシャワーを浴び、いよいよベッドインすることに。