【元デリヘル店長の回想録】奨学金返済のため嫌々風俗業界入りした女のコ

 ちょっと話しただけだが、彼女のようなコなら、無駄に一回プレイしなければならない講習なんて絶対にやりたくないはずだ。


これでもう働く意欲はなくなっただろう…。


 あとは「やめておきます」という言葉を聞くだけだと思っていたら、彼女の口から予想外の言葉が。


「わかりました…やります」

「えっ!? ほんとにいいの?」

「はい。単価は下げたくないので」


 思ったより真剣に仕事に向き合っているのかも…。

 とりあえず、その真意を確かめるため、ホテルに向かうことにした。

※ ※ ※


「対面した時、笑顔であいさつするの忘れないで」


 部屋に入ってすぐ、基本的な接客について指導した。

 ここに来るまでの会話の中で、彼女は「はぁ…」とか「はい…」といった最低限の受け答えしかせず、コミュニケーション面に不安があった。


「とにかく、笑顔で受け答えして欲しいんだ。今のユアちゃんの態度だと、100%お客様からクレームが来るから」

「風俗でそんな笑顔で接客とか必要なんですか?」

「それができるコたちを集めているから、ウチは高級店として成り立ってるんだ。容姿しか取り柄のない勘違い人間はウチでは働けない」

「わ、わかりました…」


 少し棘のある言い方だが、彼女にはどこか風俗を軽く見ているフシがあり、強めの言葉の方が響く気がした。


「基本はこんなところだね。それじゃ、次はシャワーに行こう」

「本当に脱ぐんですよね…」

「そうだね。洗体も教えるから」

 業界未経験だけあって、やはり会ったばかりの男の前で脱ぐことには抵抗があるようだ。

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