【元デリヘル店長の回想録】親睦会を抜け出してカーセックス


【性欲が人一倍強いキャスト】


「エッチって…今は無理に決まってんじゃん!」

「車でやればばれないよぉ(笑)」

 かのんとは何度か体の関係があった。

 初めて肉体関係を結んだときも、彼女からの誘いだった。

 かのんは人一倍性欲が強く、仕事以外でも頻繁に男を引っ掛けてはセックスに明け暮れているらしく、依存症とも言えるレベル。

 そんな彼女の悪い癖…いや発作とも呼べる症状が、あろうことか親睦会で出てしまったようだ。

「ね、ね、お願い! ちょっとだけでいいからぁ」


 かのんは駄々をこねる子供のように、甘えた声ですり寄ってきた。

 その光景は、明らかに関係者に見られてはまずいもの。周りの目を気にした私は、まとわりついてくる彼女を必死に引き離した。


「分かった! 分かったからちょっと離れて(笑)!」

「え、ほんと? エッチしてくれる?」

 指を口に当てて声を小さくするようにジェスチャーすると、それをみてコクリとうなずくかのん。そして、私の口元へと耳を向けた。


「ここを出たスグのところに立体駐車場があるのは分かるよね?」

「うん、分かる!」

「そこの最上階の一番端に俺の車があるから、そこまでおいで」

「一緒には行かないの?」

「さすがに一緒に出ちゃうと怪しまれちゃうからね」


 そもそも親睦会はまだ終わっていない。

 あと一時間ちょっとはワイワイやるだろうが、終了の頃には戻らないと後から何を言われるか…。

 そんなギリギリの状況の中、わざわざセックスのために外に出るなんて、私もどうかしている。

 普通に考えたら、親睦会が終わってからゆっくりホテルで落ち合えばいいだけの話。そうすれば、時間など気にせずに楽しめるのに…。

 だが、体に入ったアルコールが、そんな冷静な判断を許さなかった。

 気が付けば、自分の車の中でタバコを吸いながら、彼女が来るのを待っていた。

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