価格破壊が進む吉原ソープの現状

※イメージ画像:『秘密の高級ソープへおいでませ』
ブレインハウス

 昨年10月27日、東京・吉原でソープランドを運営する「サン・ワールドホールディングス」の代表ならびにグループ会社社長が売春防止法違反で警視庁に逮捕された。4カ月経った現在でも、同社が運営していた「オレンジグループ」各店は営業を停止したままで、ホームページはすでに閉鎖されている。

 事件発生当時は、同チェーンが低価格を売りにしていたために同業者からねたまれていたからとか、同チェーンでは吉原のしきたりを無視した方式をとっていたためだとか、いろいろな噂が飛び交った。しかし、どれも憶測の域を出ていない。

 そもそも、同チェーンによる低料金路線での営業はすでに20年以上前からである。筆者が確認しているところでは、すでに1991年頃には同チェーンの中核店舗である『オレンジクラブ』や『11チャンネル』その他が早朝に低料金でスタートし、時間を追って料金が変化していく現在のシステムを取り入れており、グループ内で最も低料金の『シャイ』などは、開店時には8,500円で利用できた。これは、文字通り吉原で最も安かった。当時、『シャイ』には開店前から平日でも男性客の列ができるほどだった。

 また、当時から総額1万円台の、俗にいう「激安店」は吉原でも珍しくはなかった。確かに同チェーンは低料金だったが、ほかにも総額1万2,000円から1万8,000円のソープは20店ほど営業していた。ただ、同チェーンの場合、ほかの激安店に比べて若い女性をそろえていたという点が違っていた。この点で、他店を大きく引き離していたことは十分に考えられる。

 それに、ひと口に吉原ソープと言っても、料金やサービスの点で大きく両極化していたわけではない。予算やサービス内容にかなりのバリエーションがある。同チェーンが人気店だったとしても、他店からやっかみを買うほどだったかは疑わしい。

 ともかく、同チェーンが摘発された決定的な理由は、現在もよくわからない。

 ただ、同チェーン摘発と前後して、吉原の一部ではあるが劇的な価格破壊が進んだ傾向が認められる。以前は総額6万円レベルの高級店が早朝に時間を短縮した総額2万5,000円程度のコースを設置する程度だったが、いくつかの店舗やチェーンで、それまでの総額をいきなり3分の1から4分の1にまで値下げするケースが現れた。

 たとえば、あるチェーンでは総額3万4,000円から3万7,000円だったものを、総額9,000円から1万2,000円まで値下げした。ほかにも、総額3万円から4万円の店舗が総額1万円台や2万円台にリニューアルするケースが目立つ。

 吉原ソープでここまで料金体系が変化するのは、80年代末のバブル経済期以来のことである。88年頃までは、吉原ソープといえば、入浴料1万円、サービス料2万円の、いわゆる「ワン・ツー店」と呼ばれる総額3万円の店が大半を占めていた。ところが、バブルの到来で吉原ソープ各店はこぞって値上げを実行。瞬く間に吉原ソープのほぼ半数が、総額5万円以上の高級店になってしまった。

 その後、バブルが崩壊し、不況だ不景気だといわれても、吉原は高級店主流のまま継続したのである。

 そして、価格破壊が進んでいるといっても、およそ140店前後といわれる吉原ソープの約3割、60店以上が依然として高級店として営業を続けている。

 最近、吉原を歩くとかつてのにぎわいが幻のようにひっそりとしている。以前は平日でも盛んに行き来していた、タクシーや送迎車の影も本当に少なくなった。高級店の客の大半は、企業の接待との話も聞く。総額3万円以下の大衆店や2万円台を目安とした格安店、さらに同チェーンのような激安店に客足が戻るようになれば、アベノミクスやらもある程度は効果があるということだろうか。ともかく、江戸時代以来の歴史を持つ吉原が、今後どのようになっていくかは注目に値するところである。
(文=橋本玉泉)

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