毒をもって毒を制す!? 対“品川祐”戦を制した小籔千豊の異才

※イメージ画像:左 こやぶかずとよ 『プリン』ネギヤキ
右 『品川食堂』ヨシモトブックス

 14日に放送された『アメトーーク!』(テレビ朝日系)の「カメラかじってる芸人」が久々の問題作だとして話題を集めている。中でもゲストとして出演した小籔千豊(39)VS品川祐(40)が激しかったとネットユーザーたちから熱い視線を注がれているようだ。

 共にお気に入りのカメラを持って登場した2人。他にも、劇団ひとり(36)や前田健(41)などがゲストとして出演していたが、とにかくこの日の番組では冒頭から小藪の品川批判が激しかった。たとえば、小藪は、品川のカメラについて、「あれはまず、ボディが中級なんですよ。で、レンズが24ミリ70ミリの2.8。これ高いんですけど、ハッキリ言って、アイツはイキったから買うたんです、あれは」と一蹴。対する品川はもうこの時点で苦笑いをするしかない。

 また、品川自慢の愛娘を撮った写真を見た小藪は、「これはもうCanonさんの技術力です」と吐き捨て、「一眼レフであるだけですね、これは。ハッキリ言うて。一眼レフさえ持てば、あれ撮れます」と散々な言いよう。品川は、「俺、打ち合わせではホメ合うって聞いたんだけど…」とつぶやくしかないようだった。さらに、品川がセンターでカメラ講座をする小籔に対して「子供なんかを撮るときは、じゃあシャッタースピードを上げたほうがいい?」と聞くと、小藪は「ハア?」と面倒くさそうに返事をし、「質問もダメなの?」と言う品川に対して、「(笑)いや、最初のほう聞こえんかっただけ。お前ビビって声小さくなってんねん!」と言うのだった。

 番組中、小藪はほかの出演者にも言いたい放題だったが、とにかく品川に対しては、まるで目の敵のような振る舞いだった。そして、そんな小藪の発言に、品川はなすすべもなく半泣き状態。品川といえば、自伝的小説『ドロップ』(著:品川ヒロシ/リトルモア)のイメージから無頼な印象があるが、その品川をガリガリの小藪がけちょんけちょんに言いくるめている様子が、視聴者のハートをがっちり掴んだようだ。

 とはいえ、そもそも小藪というのは普段から独特で辛らつな毒舌が特徴の芸人でもある。彼のこうした後輩イジりはそこまで珍しいものではない。しかし、今回はその態度と口調があまりにも激しかった。なぜ激しかったのか。それはやはり相手が品川だったからだろう。品川といえば、“嫌われ者”としてのキャラがすっかり定着した存在だ。そんな彼に中途半端な口調でイジっても効果はない。だから小藪は、あれだけ激しい口調で品川をイジり倒したといえる。もちろん、その結果、小藪自身にも火の粉が降りかかってくることになるには違いない。実際、視聴者の中には小藪の口調に嫌悪感を覚えるものも多かったようで、ネット上には「コヤブうるさい」「怒られてる気がして不愉快」「コヤブって何様?」などのコメントが散見している。しかしそんな批判より、小藪とすれば、品川をイジるという笑い優先したのだろう。

 また、そこまで小藪に言われながら、ほとんど擁護されなることのない品川という芸人の嫌われ具合も並じゃない。小藪とすれば、そうした品川への助け舟が出ないことは承知だったに違いない。相手を間違えていれば、小藪自身もただの火の粉では済まなかっただろう。しかしそんな間違いは起こさないのが小藪という芸人の真骨頂だ。きっちりと理屈を踏まえて品川を叩きのめし、なおかつ笑いを誘う小藪のトークはさすがの一言に尽きる。また、そうまでされながら人から同情されない品川という芸人もたいしたものである。よくプロ野球には野茂VS清原などの勝敗を超えた人々を魅了する名勝負があるが、バラエティ界にも久々の歯ごたえのある対決が生まれた。しかもそこには圧倒的な力量差がある。その力の差が笑いを生むのは言うまでもない。
(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/
著書『松本人志は夏目漱石である!』(宝島社新書)

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