芸人から一目置かれる“売れっ子”バカリズムの「ネクストブレイク」扱いに違和感

※イメージ画像:『バカリズムライブ「運命」』アニプレックス

 1月18日に発売された『オリ★スタ』(オリコン)が、今年活躍が期待される「第4回ネクストブレイク芸人2013」を発表した。しかし、このランキング、まだまだ知名度の低い若手芸人を対象にしているのかと思いきや、名前が挙がっている芸人の中には、すでに売れていて、十分な人気と知名度を持っている面々が見受けられる。なぜ、「ネクスト」と言いながら、実力派中堅芸人がランクインするような事態が起こってしまうのだろう。

 今回発表された「ネクストブレイク芸人2013」は、1位に千鳥が選ばれ、以下、ニッチェ、バカリズム、パンサー、バイきんぐ、アンジャッシュ、スギちゃん、ジャングルポケット、平成ノブシコブシ、ウーマンラッシュアワーと続く。すでに、『ピカルの定理』(フジテレビ系)などのレギュラーを持ち、知名度も全国区といえる千鳥が1位なのにも多少違和感があるが、バカリズムとアンジャッシュがここにランクインされるというのは違和感以外のなにものでもない。

「その大きな理由は、やはり読者アンケートによる調査だということでしょう。『オリ★スタ』という雑誌はそもそも若い世代の女性が読者層ですから。彼女たちにしたら、バカリズムやアンジャッシュという芸人をもともと知らないということなのではないでしょうか。特にバカリズムの独特の芸風は、若い世代の女の子向けではありませんし、そうした意味で接点が薄いのかもしれません。それでも、最近では『日曜×芸人』(テレビ朝日系)などで若い子たちからも人気のある山崎弘也と共演したりするなどで目に触れる機会が増えたのでしょう。また、長年若い世代のアイドルたちと一緒に番組を続けてきたことで、ようやく新しい世代にも知名度が浸透してきたのかもしれませんね」(業界関係者)

 今田耕司が「1番面白い芸人」として名前を挙げ、有吉弘行が「大喜利エリート」と呼び、芸人が一目置く芸人として知られるバカリズム。定期的に開催される単独ライブは瞬く間に完売するほどの人気で、バカリズムはピン芸人として確かな地位を確立している。また、2010年に行われた「最も面白いと思う“ピン芸人”」(オリコン調べ)でも堂々の1位を獲得している。そんな彼が「ネクストブレイク」に選出された理由を前出の関係者は「新しい世代に認知された結果ではないか」と指摘する。なぜここまでの売れっ子でありながら、彼はこれまで若い世代に認知されてこなかったのか。

 本人曰く「共演者や出演番組にNGが多い」というバカリズム。さすがに具体的なタレント名や番組名は明かしていないが、彼が「クイズ番組」に出演することをNGとしているというのは有名な話だ。たとえば、唯一出演したことのある『クイズプレゼンバラエティー Qさま!!』(テレビ朝日系)で、バカリズムは、司会の大竹一樹に「バカリズムは出来ないとイヤだよね」と言われ、「そういう風に見られてることもわかってたんですよ。だからこれまで一切出なかったんです」と返している。彼は自分の芸風が、クイズができないことによって崩れてしまうのを心配する。

 独特のフリップ芸やシュールなコント、発想力豊かな大喜利での回答などで、時に天才と称されるバカリズム。そんな彼の芸風は確かに万人に通じるわかりやすいものではなく、一般ウケしないものも多い。しかし最近では、前出したように山崎との共演などで、これまでの作り上げたキャラとは別に、天然の部分やイジられる様子が浮き彫りになってきた。そうしたわかりやすい一面が、若い世代の目に触れ、今回のランキングに反映されたのだろう。そして、そのことはバカリズムの新しい魅力につながる。すでに十分ブレイクしている芸人を「ネクストブレイク」と呼ぶのは違和感があるが、芸歴18年目を迎えたバカリズムは「ネクストステージ」に進もうとしているのかもしれない。
(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/
著書『松本人志は夏目漱石である!』(宝島社新書)

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