新しい対人恐怖症解決法! 見知らぬ女性にムチでしばいてもらう男

この一件を報じるサイト「騰訊新聞」より

 人前に出ると、どうしてもあがってしまう。とくに見ず知らずの女性に話しかけられたら、うつむいて黙ることしかできない……。そんな対人恐怖症の方に朗報だ。中国で画期的な克服法が登場した。

 今月10日、四川省成都市のSM広場に、対人恐怖症に悩む26歳の男性が現れた。マントを羽織り、黒いマスクで目元を隠し、手錠で自らの腕を拘束していた。彼は道行く女性に声をかけ、持参したムチを渡して言った。

「私を叩いてください!! 私が他人を受け入れられるように、勇気づけてください!!」

 どストレートな変態行為にドン引きしてしまうこと必至だが、これは彼が数少ない友人と共に考えた、治療行為なのだそうだ。ちなみに、男性が行為に及んだ「SM広場」はサドともマゾとも関係のない普通の広場らしいが、そこで行われていたことはどう見てもSMプレイ。男性が通りがかりの女性たちから叩かれる様子はインターネット上の掲示板に公開され、男性はネットで話題の有名人となった。

 彼は中国メディアの取材に対して、自らの境遇を語っている。彼は幼少期から祖母に甘やかされて暮らすうち、徐々に他人との交流が怖くなっていった。これまでに2度、就職をしたものの、いずれも長続きしなかった。彼はその後、典型的な「ニート」としてインターネットにどっぷり浸かり、オンラインゲームとネット通販にハマっていった。

 20代も半ばを過ぎ、ようやく自身の現状が不安になった彼は一念発起し、ネットで知り合った心理学を学ぶ友人に相談を持ちかけた。そうして考案された治療法が、このSMチックな荒療治なのだ。しかし、こんな方法で本当に効果があるのだろうか。新宿で心理療法士を務めているA氏はこう分析している。

「この方法はまったくのデタラメ、というわけでもないと思いますよ。心理学用語で『フラッディング』という、患者を恐怖症の原因と向き合わせることで、半ば強制的に克服させる方法があるのです」

 なるほど、公共の場で変態プレイをしているようにしか思えないが、治療行為からは外れているわけではないらしい。しかし、日本で同様の行為を行った場合、警察を呼ばれてしまうこともあり得る。また、A氏によると、実際に医療の現場で行われているフラッディングは弱い刺激から徐々に段階を上げていくものだという。さすがに最初から手錠付きというのは、ハード過ぎるようだ。

 さて、本人達は大真面目にやっているであろうことが、端から見るととんでもないプレイにしか思えないという事象は、特に欧米で多く見られる。

 2001年からアメリカを中心に広められている「フリー・ハグズ」は、近年では日本のテレビでも紹介され話題になった。「FREE HUG」と書かれたメッセージボードを手にし、賛同してくれた見知らぬ人と抱擁をするという運動だ。温もりや愛情などを自由に感じ取ろうという、非常にピースフルな活動なのだが、ハグの習慣がない日本では奇異の目で見られがちだ。ちなみに、これが日本に紹介されたとき、都市の繁華街には「FREE HUG」のプラカードを持った、イマイチな容貌の男性がちらほら見られるようになったというが、今ではほとんど見ることはない。

 先月末、ウクライナの首都で人権団体の女性たちによる”トップレス”での抗議デモが行われた。これはロシア企業によるウクライナのガス資源調査に反発するためだというが、彼女たちの政治的主張は正しく伝わったのだろうか……。良くも悪くも、エロは注目を集める。

 抗議活動を行う団体には、プロパガンダにエロさを利用するケースも多い。世の男性を訴求対象としたい運動の場合に、これは顕著である。

 そんなエロさばかりが際だって、本来の趣旨が伝わっているかわからない活動の代表と言えば、動物愛護団体「PETA」のキャンペーンだろう。あるときは毛皮を身につけるセレブを批判するためトップレスになり、またあるときは菜食主義を広めるためレタスの葉で作ったビキニを身にまとい、彼らはアツい抗議行動を行っている。彼らの活動範囲は南国から雪国まで幅広く、真冬のフィンランドでも露出デモを敢行。ヒョウ柄ボディペイントと黒いTバックという扇情的な姿で、毛皮の着用に反対している。

 対人恐怖症の治療にせよ、動物愛護の活動にせよ、ここまで「エロさ」を全面に押し出す必要があるのだろうか。あれこれ理由をつけたところで、一般の人からは変態的欲求を満たしているだけにしか思えないのだが……。
(文=タコ野パウル)

『ネガティブを愛する生き方 光と闇の法則 』著:伊藤美海

 
ポジティブが正しいわけじゃない


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