美少女ゲームはダウンロードの時代へ

下手な経済政策よりも効果的? オタクが世界を救う!?

doujin_t.jpgダウンロードサイト「DLsite.com」より

「100年に一度の不況」などと叫ばれる世の中ですが、好調な市場も存在している。それはずばりオタク市場。メディアクリエイトや矢野経済研究所といった機関のレポートによれば、1866億円だの250億円だのと右肩上がりの好調な数値を示していて、この勢いはとどまるところを知らないようだ。まさに不況などどこ吹く風と言わんばかりの様子である。

 それにしても、オタク市場というと敬遠してしまう人もいるかもしれないが、「市場が拡大している=売れている=とりこになっている人が多い」と読めるわけで、少しだけ心の壁を取り払えば、そこには魅惑の世界が広がっているのだ。というわけで、ここではそんな魅惑の扉をちょっとだけ開いてみよう。

 

 オタク市場といっても、さまざまなジャンルがある。その中でももっともパワーがあるのは同人作品だろう。同人とはいわば同好の志の間だけで楽しまれていた作品で、古くは文学の世界で使われる言葉だった。そう夏目漱石だって同人誌を作っていたのである。それから時代は進み、漫画の世界においても同人作品と呼ばれるものが登場し始めた。やがて同人サークルの数も増え、より大きな発表の場を求めるようになったのだ。

 そうした動きが実を結び、1975年12月21日に第一回めのコミックマーケット(以下コミケ)が開催されることになった。今日、コミケは同人作品(漫画やゲーム)の即売会として知られ、今年の夏に東京ビックサイト開催されたコミケ76では、なんと56万人もの来場者を数えている。まさに日本最強の同人イベントといってもいい。しかも来場者が多いだけではなく、経済効果として見ても、(自費出版であることから正確な数字を出すことは難しいのだが)数百億円規模は堅いといわれているのだ。

 ところで、なぜそんなに同人作品は人気があるのだろうか? 一番の理由は表現の自由が(ある程度)認められている点だろう。本来、同人即売会は商業的な意味合いよりも、日本ならではのコンテンツ文化の裾野を広げるために、みんなに発表の場を! ということでスタートしているのだ。そのため著作権や表現の規制については少々甘いところがあり、(近年は厳しくなったといわれるものの)実にアツイ作品が多い。

 そうした同人作品の中には、メジャーデビューを果たしてしたものもあり、07th Expansionがリリースしたサウンドノベル「ひぐらしのなく頃に」は、プレイステーション2やニンテンドーDSでリリースされた他、なんと実写映画化やアニメ化などもされており、同人業界の出世頭として幅広く知られている。

 ほかにも、上海アリス幻樂団の弾幕系シューティング「東方シリーズ」は、同人作品でありながら、さらにその同人サークルが生まれ、東方シリーズの二次著作である同人作品が生まれるといったムーブメントを見せている。実にアツイ。さらに同人作品の勢いはこれだけにとどまらず、一般商業シーンで活躍するプロが、こうしたコミケの面白さにひかれて参加しているケースなどもあり、アマチュア、プロ入り乱れての即売会は、否が上にも盛り上がる。毎年恒例の光景だが、コミケでは開場とともに津波のように走り寄る参加者は、そんな同人作品のパワーを象徴しているとも見えなくもない。

 余談だが、こうした日本ならではと思われていた同人作品の動きは、海外にも波及している。日本ではオタクという言葉にはネガティブなイメージがあるが、海外にいけば”Otaku”はその道のエキスパート、”Otaku is cool”なのだそうだ。まだまだ小さいながらも、一部では日本の同人作家とアメリカの同人作家のコラボレーション企画などが見られ、ひょっとすると同人文化が日米の架け橋なる日が来るかもしれない。

 さて話を戻そう。とはいってもコミケに足を運ぶのはなかなかに大変だ。開催地が東京のみだったりで地方在住の人が参加するには気合がいるし、販売数に限りがあるグッズも多いので参加したはいいが購入できなかったり、長蛇の列に並ばなければならなかったりするのである。また同人ショップなどもあるが、正直恥ずかしくて足を踏み入れるのは……というシャイな人もいるだろう(その気持ち、筆者もよくわかります)。

 そうしたニーズに応えるためか、最近では同人作品のダウンロード販売も活発になっており、コミケなどの即売会にいかなくても、手ごろかつ安心して購入できるようになっている。これなら欲しいと思った瞬間に買えるし、デジタルデータなので在庫切れに悩まされることもない。実に便利だ。

 様々な販売サイトがあるが、その中でも最大手が「DLsite.com」。こちらでは同人作品を中心に、その手のファンにとっては垂涎のタイトルが目白押し。なんと4万5,000作品を超える同人作品、美少女ゲーム、成年コミックを販売中している。月1000本くらいのペースで新商品も増えているので、定期的に閲覧しておいても損はないだろう。きっと好みの同人作品が見つかるはずだ。主な販売メニューは下記のとおり。

「Maniax」
成人向けを含む同人誌、同人ゲーム、同人ソフトの販売サイト。主に男性向け。

「Hanamaru」
女性向け同人誌、同人ゲーム、同人ソフトの販売サイト。

「English」
「Maniax」の英語版サイト

「Professional(ソフ倫)」
美少女アニメ作品を販売。

「Professional」
コンテンツ・ソフト協同組合審査済みの商業美少女ゲーム、美少女アニメ作品や、その他商業作品を販売。

「Books」
電子ブックの販売サイト。成年コミック、小説を掲載。

 ちなみに決済方法は、クレジットカード、電子マネー、銀行振り込みだけではなく、コンビニでの支払いにも対応しているので、ネットでちょっとカードを使うのは……というネットショッピングに抵抗がある人でも、比較的安心して気軽に購入できるはず。またDLsite.comには、成人向けのコンテンツが多いことからフィルタリング(Safety Online 2によるセルフレイティングLV4)に対応しているとのことで、フィルタリングをONにしておくことで、家族に見られる心配がないというのも嬉しい配慮。家族と共用のPCを使っているお父さんも、安心して利用できるかも!

 

『外国人のためのヲタク・エンサイクロペディア』

 
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