セックス体験談|寂しがり屋の女はセックス好きなのか?

隔たりセックスコラム「寂しがり屋の女はセックス好きなのか?」

隔たり…「メンズサイゾーエロ体験談」の人気投稿者。マッチングアプリ等を利用した本気の恋愛体験を通して、男と女の性と愛について深くえぐりながら自らも傷ついていく姿をさらけ出す。現在、メンズサイゾーにて連載コラム「セックス物語」を寄稿中。「隔たり」というペンネームは敬愛するMr.Childrenのナンバーより。


セックス体験談|寂しがり屋の女はセックス好きなのか?の画像1
※イメージ画像:Getty Imagesより

 「寂しい」という気持ちと「セックスしたい」という気持ちは密接に関係している。

 寂しいから誰かにいて欲しい。寂しいから恋人が欲しい。恋人じゃなくても、寂しさを紛らわせてくれる存在が欲しい。寂しさを紛らわしてくれるなら、いっそのこと、誰だって構わない。

 「寂しい」という気持ちは、心にぽっかりと穴を作る。その穴を埋めるには、友達や家族じゃ足りないときがある。僕らが寂しさを埋めたいと思ったとき、求めてしまうのはいつも「異性」だ。

 男だって女だって、誰だって寂しいときは寂しい。だが、どちらかというと、男よりも女のほうが「寂しい」と感じることが多いように思える。

 心にぽっかりと空いた「寂しい」という穴。それを埋めるために、女性は男性を求める。そして、その男性の肉体で、精神的にも物理的にも、穴を埋めようとする。なぜなら、刹那的でもその穴を塞いでないと、寂しさに押し殺されてしまうから。そういった女性を僕は数多く見てきた。

 そんな女性の「寂しい」という気持ちにつけ込んで、セックスをしようとする男たちがいる。彼氏を常に欲している女性、彼氏と別れたばかりの女性。そういった寂しさが究極になる瞬間を狙い、自分が寂しさを埋めますとばかりに近づく男。

 僕もそんな男のひとりだった。


「ごめん、お待たせ」


 お昼の新宿歌舞伎町は、不気味な匂いがする。周りを見れば学生やサラリーマンなど、普通の街とは変わらない。それでも夜に向けて着々と準備を進めているような、そんな気配がある。まるで荒々しい男が、優しい仮面を少しずつ剥がしていくような。

 その中で昼も夜も変わらずに、堂々とそびえ立っているゴジラビル。その日、僕はそのビルの下で看護師の凛(仮)と待ち合わせをした。


「ううん、全然待ってないよ」


 僕と凛はマッチングアプリで知り合い、あっという間に意気投合して、すぐに会うことになった。彼女は僕より年上のお姉さんで、ノリが良くお酒も大好き。彼女に昼からお酒が飲みたいと誘われたので、この不気味な歌舞伎町の昼に待ち合わせをしたのだ。

 

「今日はいっぱい飲むからね!」


 そう言ってテンションを上げて歩き始めた凛。その姿を見て、少し切ない気持ちになった。僕は彼女が昼から飲みたいといった理由が「寂しいから」だと、なんとなく気づいていたから。

 凛は口に出さないが、無理にテンションを上げているように見える。「寂しい」の具体的な原因は分からない。急に人肌恋しくなったとか、そんなところだろうか。

 適当に昼からやってる居酒屋に入り、酒を頼む。凛がメニューを見ることなく「ビール!」と頼むので「あ、僕もそれで」と合わせる。


「今日、隔たりくんと飲むの楽しみにしてたんだあ」


 当たり前だが、凛とお酒を一緒に飲むのは初めてだ。だから、彼女がお酒に強いのか弱いのかは分からない。でもなんとなくだが、強くないだろうと思っていた。それは単純に僕が、「寂しさを紛らわすためにお酒を飲みたい」と言うお酒が強い女性に1度も出会ったことがなかったからだ。

 僕の予想通り、凛はすぐに酔っ払った。それでも僕のペースを気にせずに、じゃんじゃんお酒を頼む。

 昼、居酒屋、男の僕とふたりきり。そんな状況なのに、なぜこんなペースで飲むのか分からないが、凛はとても楽しそうにお酒を飲んでいた。


「隔たりくんって彼女いるの?」

「いないですよ」

「えー絶対嘘だ!」

「いやいや、いないですよ」

「絶対嘘だあ」

「んーじゃあ嘘ってことでいいですよ」


 え、じゃあ彼女いるの?と、凛が少し寂しそうな顔をした。

 彼女がいないと言ったら「嘘だ!」と言い、その言葉に合わせて「嘘でした」と言えば寂しそうな顔をする。その感情の揺れ動きはよく分からないけど、なんだか愛おしく思えた。


「凛は、僕に彼女がいて欲しいの? いないで欲しいの?」

「そ、そういう話じゃなくてぇ」

「あれ、彼女いるの?って聞いてきたのはどっちだっけ?」


 凛はシュンと困った表情をする。年上女性の子供のような姿って可愛いなあと思った。彼女にしたいかは別として。

 

「聞いたのは、私だけど…」

「うん、なんで聞いたの?」

「それは、気になったから…」

「気になったというのは、恋愛対象って意味?」


 問いつめる口調にならないよう、僕は微笑みながらそう聞いた。相手の恋人の有無を聞くのに、深い理由なんて必要ないと思うが、凛は下を向いて悩む。少し意地悪しすぎたかな。


「ごめんごめん。そんなに深く考えなくていいよ」

「あ、うん。でも、多分、いないほうが嬉しい」

「えっ」

「彼女いないほうが、嬉しい」


 凛は重大なことを発表するかのように、そう言った。

 正直、凛と僕の関係性はまだ浅い。好きとか、付き合うとかを考えるには、少し早い気がする。それは僕が全く自分の心のうちを彼女に明かしてないから、そう思うのだろう。

 恋愛って不思議だ。こちらの全てを見せないほうが好意を持たれることが多い。逆に、知ってほしいと自分の全てをさらけ出すと、大抵の場合うまくいかない。

 僕は何ひとつ見せていない。ただ凛の話を聞いてるだけ。彼女は好意的な眼差しで僕を見つめる。それは彼女の「寂しい」という気持ちがそうさせているに他ならない。


「なんで、彼女いないと嬉しいの?」

「だってぇ…。彼女いたら、この状況まずいし」

「まあ、確かに」

「それに…」

「それに?」


 凛は恥ずかしそうな顔で少しうつむく。そしてゆっくりと顔あげ、上目遣いでこちらを見つめた。その表情は、赤い。その赤さは、お酒の影響なのか、それとも違う意味なのか、その両方なのか、分からない。


「隔たりくん、かっこいいから」


 この状況で、その表情で、僕のことを「かっこいい」と言った凛。その姿はもう、僕を欲しがっているようにしか見えなかった。だから凛が欲しがった僕と、凛がいま欲しがってる言葉を、同時に差し出す。


「凛も、かわいいよ」


 心からかわいいと思って、この言葉を伝えたわけではなかった。これはただ単に、凛が欲しがるものを差し出します、という返答にすぎない。彼女が言った「かっこいい」も同じだ。欲しがるものを提示した言葉でしかない。

 僕が「かわいい」と言ったあと、凛は心から嬉しそうだった。ずっと欲しかったものをやっと手にできた。そんな喜び方だった。

 凛の喜ぶ姿を見て僕も嬉しかった。凛は何度も僕のことを「かっこいい」と言う。同じ量の「かわいい」を返す。その度、凛は照れながらも嬉しそうな顔をした。

 だが、凛の喜びに反比例するように、僕の心の中は黒く渦巻いていく。彼女の純粋さ、いや、楽観さに心を痛めてしまう。彼女は気づいてないのだろう。僕の「かわいい」を受け入れたことは、僕の欲しがっているものを差し出すということを。

 自分の欲しがってるものが、相手も欲しがっているとは限らない。だが、欲しがった故の結果が同じであれば、相手も自分と同じものを欲しかったのだと勘違いしてしまう。

 凛が欲しがっていたもの。 

 それは「彼氏」という存在。

 いや、正確に言えば「寂しさを埋めてくれる存在」か。

 じゃあ、僕は?

 もちろん、「セックス」だけ。

 僕らは夜になる前に居酒屋を出た。そして、凛の家に向かう。互いの異なる欲求が、同じ結果にたどり着いたのだ。そう、「今日の夜、一緒にいる」という結果。

 家に向かっていると、凛はやはり飲み過ぎたようで、ちゃんと歩けずに何度も僕にぶつかった。危ないと思い体を支えると、その流れで彼女は僕の腕に手を回す。僕はそれを拒まなかった。


「こんなに酔っ払っちゃってぇ、面倒くさいと思ってるぅ? もお、嫌いになっちゃったぁ?」


 僕の反応が薄かったからか、凛が呂律の回らない口調でそう聞いてきた。面倒くさいの?と聞きながらも、体を密着させてくる。顔を見ると、全てのパーツが緩んでいるように見えた。

 嫌いという以前に、そもそも好きといった記憶がないのだが、そこは触れないでおく。凛の問いかけには答えず、僕はとりあえず微笑んだ。

 凛が家でも飲むと言ったので、コンビニでお酒を買う。僕の左側は凛でふさがれていたので、右手でコンビニ袋を持った。家に着くまで、僕の左側はふさがれたままだった。

 家に着くと、凛はさっそくコップを取り出し、お酒をつぐ。そして乾杯をして、一気に飲みほした。僕にとってその行動は「私を抱いて」という風にしか見えなかった。

 酒を飲む。酔っ払う。ふらふらする。家に男を入れる。そして酒を飲み直す。その先にあるのは、男の僕からしたら「セックス」以外に考えられない。

 でも女性はこの状況でも、違う結末を考えているのだろうか。男にとって「セックス」以外考えられない状況でも、女性は違うことを考えているのだろうか。凛は、この後に僕とセックスするということを、1ミリでも想像しているのだろうか。

 ここまで来たらセックスできる、と考えるのは、決めつけすぎているのかもしれない。凛は本当に楽しいから、家で飲み直しているだけなのかもしれない。

 でもそうだとしても、ここでセックスを考えてはいけないというのは、もの凄くしんどいことだ。凛が考えてないとしても、僕は想像してしまう。セックスができる。その想像で頭がいっぱいだ。

 

「隔たりくんももっと飲もうよお」


 そう言いながら凛はお酒を飲み続けている。僕はそんな凛を見ながら、いつ仕掛けようかで頭を悩ましていた。客観的に見ても確実にセックスできる。なんなら、凛から誘っているようにもみえる。でも、なぜ躊躇してしまうのだろうか。


自己保身ーー。


 そう、これはただの自己保身にすぎない。いま僕は、凛の「寂しさ」を利用して、セックスをしようとしている。凛の気持ちを知っていてなお、その気持ちを利用しようとしている。そんな自分になるのが怖いだけだ。だって僕は分かっている。セックスしたら、僕は彼女の前から消えようとしていることを。

 凛と会う前のラインでのやり取り。そして今日の居酒屋での会話。彼女はこんなことを繰り返した。


「周りが結婚すると、うらやましいなって思うんだよね」

「誰かの幸せを見ると、独り身の自分が寂しくなるんだ」

「だから、つぎ付き合う人とは結婚したいと思ってるの」

「もう、遊びの恋愛はしたくない」


 そう決めたんだ、と。

 そんな凛の言葉を思い出し、いまから自分のしようとしていることを思うと、どうしても躊躇してしまう。けれど、彼女の行動に矛盾を感じてしまう僕もいる。

 遊びの恋愛はしたくない、と凛は言った。


じゃあなぜ、簡単に僕を家に上げた?

なぜ僕の目の前でこんなに酔っ払っている?


 凛が本気の恋を望むのならば、その行動は適切ではないだろう。その姿は「独り身で寂しい」という部分だけの、一時的な解決策にすぎない。

 酔った勢いなのか、意図的なのか、凛が僕の左側にもたれかかる。同時に、胸が僕の腕に当たった。もう、考えるのはやめよう。

 凛が頭を僕の肩にのせる。僕の左腕を抱きしめる。谷間に腕がはさまれる。指が絡み合う。手が重なる。握る。凛がこちらを見る。僕も凛を見る。目が合う。僕は顔を近づけた。

 しかし、凛は僕が近づいた分だけ顔を引いた。そして少し俯いている。僕がもう一度顔を近づけようとすると、避けるように深くうつむく。

 僕は戸惑い、顔を引いた。ゆっくりと凛がこちらに顔を向ける。さっきまでの酔っ払った、楽しそうな表情ではなかった。

 ゆっくりと、凛が口を開く。

 

「彼氏じゃないと、しない」


 すがるような目で僕を見る。


「体だけの関係は、嫌なの」


 ズルい、と瞬間的に思ってしまった。ズルい、凛、それはズルいよ。

 凛は「セックス」を引き換えに、僕に「彼氏」になってほしいと要求している。セックスを使って、強引に僕を彼氏にしようとしている。ここまで来て、そこまで誘惑して、その言葉は、ズルい。

 だってもう、引き返せないのだから。僕の答えは決まってしまっている。


「体、だけの関係じゃないよ」


 セックスができるのであれば、嘘だって言えてしまう。


「彼氏に、なる」


 そう言って、顔を近づける。今度は避けない。凛は目をつぶり、唇を差し出してくる。その唇に、僕は自分の唇を重ねる。ほのかな酒の香りと口紅の味。凛の柔らかい舌が侵入してくる。僕はそれに応える。そして僕らは強く、互いを抱きしめあった。

 凛と僕は少し似ていると思った。

 酔ってる凛を自分からセックスに誘うこともできたのに、僕はしなかった。それは凛の寂しさを利用する男になりたくない、という自己保身からだった。

 凛もそうだ。自分から酔っ払ったり、体を密着させて誘惑するのに、最後の最後に「体の関係は嫌だ」と言った。それは凛の「軽い女になりたくない」という自己保身からだろう。

 理想の自分であるために自分を守る。凛と僕が互いにしたことは何も変わらない。僕たちは似ているのだ。

 だから、一瞬でも凛の望む「彼氏」になろうと思った。この瞬間だけでも、ちゃんと寂しさを紛らわしたいと思った。僕が望んだ「セックス」を差し出してくれたのだから。だから僕も彼女の望む「彼氏」を、この瞬間だけ差し出す。

 絡まり合った唇が離れ、凛が僕の服を脱がす。そしてあらわれたアソコを、躊躇なく口に含む。絡まりつく舌が、とても暖かい。ジュボジュボと音を立てながら、彼女はアソコをしゃぶっている。


「すごい…硬い…」


 お酒を飲んだら勃ちづらくなるというが、全くそうはならなかった。酔ってるからか、凛が何度も「硬い」を連呼しながらフェラをしている。その姿を見ていると、本当に欲しかったものはチンコだったんじゃないかと思ってしまった。

 すると、凛がフェラをしながら横にあった棚の引き出しを開け、何かを取り出した。ビリビリ、と袋の破れる音がする。そして彼女は袋の中にあったものを、僕のアソコにくっつけた。


「いれるね」


 凛は僕の上にまたがり、騎乗位の体勢でアソコを中にいれた。少し、痛い。あまり濡れていなかったのだろう。キスをしてからここまで、あっという間の出来事だった。

 この間、僕は凛に対して何もしていない。前戯できるスキなんて、一瞬もなかった。胸も攻めてない、クリも触ってない、濡れてるかどうかすら分からない。なのに、僕のアソコは凛の中に入ってしまっている。

 僕には凛が焦っているようにしか見えなかった。やっと手にした「彼氏」という存在を逃さないように、自らの手でコンドームをつけ、そして急いで自分の中にいれる。彼女はそれで満足なのだろうか?

 そんな僕を気にせず、凛は激しく動いている。濡れきってないので、上下するたびに少し痛みを感じた。彼女はそんな僕に気づこうとすらしない。ただ僕のチンコを使って、オナニーしているみたいだった。

 独りよがりに感じてる凛を、ただボーッと眺める。射精感は全く感じない。自分も童貞を卒業したての頃は、こんなことをしていたのだろうか。セックスをしたいという気持ちばかりが先走り、ただ挿入することを目指していたあの頃。チャンスを逃したくないからと、何度焦って挿入したことか。凛の姿に昔の自分がリンクし、少し苦しくなった。


「後ろから入れさせて」


 凛に四つん這いになってもらい、バックの体勢で挿入した。小ぶりなお尻をもち、激しく腰をする。バックになると罪悪感なしに腰を振れるのはなぜなのか。分からないけど、もうこのセックスを終わらせたい。

 だから何も考えずに、何も考えないように、ただひたすらに、後ろから、突く。この関係を終わらすかのように。


「おはよう。ご飯作ったから、食べる?」


 1回セックスをしたあと、僕はそのまま寝てしまった。寝る前に凛がくっついてきたが、気付かないふりをした。寂しさは埋まったのだろうか。キッチンにいる彼女は、なぜか昨日よりも明るく見えた。

 机の上にはご飯とみそ汁と野菜で作った簡単なおかず。時計を見るとまだ6時にもなってない。確か「明日は仕事で朝が早い」と言っていたが、この時間に起きてご飯を作っているとは思わなかった。


「一緒に食べよう?」


 起きたばかりに朝ごはんを食べるのは酷だし、そもそも僕は朝ごはんを食べない。それなのに何も聞かずに勝手に作って一緒に食べようと言うなんて、なんて傲慢なのだろう。

 だが、そんなことは言えない。朝早く起きて僕の分のご飯を作ってくれたことは、彼女がしたかった「優しい彼女」なのだろう。だからこの家を出るまで、僕は「彼氏」でいなければならない。


「みそ汁、美味しいよ」


 ほんと? よかったあ、と凛が笑う。これお母さんに教えてもらって、などと楽しそうに話し始める。僕はみそ汁をすすりながら、そんな彼女の姿を眺めていた。

 

たぶん凛は、こういう事がしたかったのだろう。

こういう「彼女」になりたかったのだろう。


 ただそれだけ、ただそれだけなんだと思った。寂しいとか、彼氏が欲しいとか。その気持ちも本当なのだろうけど、凛はただ、なりたかっただけなのだ。


自分がなりたい自分に。


 ご飯を全部食べきって、皿をシンクに持っていく。凛が洗うと言ったのだが、「ご飯作ってくれたから」と僕は自分で皿を洗う。これがいま、僕がなりたい自分だった。

 皿を洗い終え、着替える。朝早く出かける用なんてないけれど、「用事があるから」と、凛より先に出ることにした。


「いってらっしゃい。あ、今日の夜も私の家あいてるんだけど、くる?」


 僕は振り向いて凛の顔を見る。どこか不安げな表情だった。「あなたは私の彼氏になったんだよね?」と再確認するような、そんな視線で僕を見つめている。僕は何も言えず、ただ笑うことしかできなかった。

 凛の表情がだんだんと崩れていく。昨日の夜に埋めたはずの寂しさが、また顔を出し始めていた。


「用事が早く終わって行けそうだったら、連絡するね」


 そう言うのが精一杯だった。そして、僕はキスをする。凛がすぐに舌を入れて、抱きしめてくる。僕も凛の腰に手を回す。凛は必死に舌を絡めてくる。どれくらいしていたのだろうか、とても長いキスだった。


「隔たりくん、大好きだよ」

「うん、ありがとう。じゃあ行ってくるね」


 いってらっしゃい、と優しい笑顔で凛は言った。その顔に寂しさは見られなかった。

 寂しくて彼氏が欲しかった凛と、セックスしたかった僕。互いの欲望を満たすため、僕らは夜を過ごした。寂しい気持ちと、セックスしたい気持ちが繋がって、結果的に見れば、この日は互いの望む通りになった。

 今日の夜に凛の家に行けば、再び互いの欲望は満たされるだろう。そして、そんな日々が繰り返されていくことを「恋愛」と呼ぶのかもしれない。

 独り身の自分が寂しくなるんだーー。という、凛の言葉を思い出す。

 僕は「寂しい」という気持ちに対して、ものすごくネガティブなイメージを抱いていた。寂しいという女性は男に利用されてしまう、寂しいからと訳の分からない恋愛をしてしまう、寂しいから彼氏と別れたくても別れられないと辛くなってしまう。寂しいという理由で異性と繋がってしまうのは、ただ自分自身を傷つけるだけだと思っていた。

 でも、僕はどうなのだろう。僕の「セックスしたい」という気持ちは、「寂しい」という気持ちから生まれたものではないと言い切れるのだろうか。その気持ちをごまかすために、僕自身が自らの性欲を利用しているのではないのか。

 凛も、もしかしたらセックスがしたかったのかもしれない。その気持ちを「寂しい」と置き換えていたのかもしれない。

 けれども共通することは、僕も凛も異性を求めたということだ。寂しいとか、セックスしたいとかは、その理由付けに過ぎない。どんな気持ちを持ったところで、異性を求めたという事実は変わらない。だから、理由はなんだっていいのだ。けっきょくは異性の前で、理想の自分になりたいだけなのだから。

 ただ、それだけ。

 ただそれだけの理由を大切にして、夜、僕は凛の家に行った。凛はとびっきりの笑顔で僕を迎えてくれた。

 その日以降、僕が凛に会うことはなかった。

 (文=隔たり)

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 どんなに苦手なものでも、「あのときに比べれば」と思えれば、けっこう乗り越えられるものだ。それはセックスも同じだと思う。  以前、僕は「自分のタイプから大きく外れた、ぽっちゃりで強烈な見た目の女性」とエッチをした(※)。それ以降、僕には「あのコを抱いたんだから、どんな女性でも抱ける」という変な自信がついてしまった。いろいろな女性を誘うようになったわけだ。

 目を覚ますと、僕は裸でコタツの中にいた。僕の家にはコタツがないから、ここが自分の家でないことは分かった。でもなぜ自分が裸なのかは分からなかった。不思議な気持ちになりながら寝返りを打つと、そこには裸の女性がいた。

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